コンテンツにスキップ

「カイジ (キノコ)」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
論文からのコピペ部分を削除
タグ: サイズの大幅な増減
1行目: 1行目:
{{複数の問題
{{複数の問題
|精度=2011年5月
|精度=2011年5月
|宣伝=2018年8月
|単一の出典=2011年5月
|単一の出典=2011年5月
}}
}}
26行目: 27行目:
===歴史===
===歴史===
カイジは古くから漢方薬として知られており、1500年程前の唐代の医学書「新修本草」にはカイジには「治風、破血、益力、主治五痔、心痛の効果がある」との記載が見られる。また、他の漢方文献「肘后方」、「唐本草」にも、「味は苦く、辛く、無毒で、効能は治風、破血、益力」などの記載が見られる。明代の「[[本草綱目]]」にもカイジの記述があり、古来から中国では広く知られて、民間でも薬用としてさまざまな用途に使用されていたものと思われる。しかし、清代以降はカイジは入手困難となり、カイジの薬としての記述は見られなくなっていく。
カイジは古くから漢方薬として知られており、1500年程前の唐代の医学書「新修本草」にはカイジには「治風、破血、益力、主治五痔、心痛の効果がある」との記載が見られる。また、他の漢方文献「肘后方」、「唐本草」にも、「味は苦く、辛く、無毒で、効能は治風、破血、益力」などの記載が見られる。明代の「[[本草綱目]]」にもカイジの記述があり、古来から中国では広く知られて、民間でも薬用としてさまざまな用途に使用されていたものと思われる。しかし、清代以降はカイジは入手困難となり、カイジの薬としての記述は見られなくなっていく。

===近年の研究===
1978 年に、カイジを摂取した肝臓がん患者が完治したことをきっかけに、カイジが再び脚光を浴び、8 つの医薬、研究機関、100 人近くの研究者が参加した開発プロジェクトがスタートし、1992 年に医薬品認可、1997 年に漢方薬製造許可、2000 年に国家 I 類漢方抗がん新薬の認証を中国衛生部(日本の厚生労働省にあたる)より取得した。現時点で使用されているカイジ製品は、カイジエキスを主成分とする槐耳顆粒と、カイジエキスに黄精エキス、枸杞子エキスを加えた槐杞黄顆粒という二つのタイプがある。前者は主に腫瘍科、後者は呼吸器内科、腎臓内科で使用されている。以下、本文中のカイジ製品は槐杞黄顆粒を指し、日本では食品として流通している<ref>腫瘍以外の分野での カイジ製品の応用,日本補完代替医療学会誌 第 11 巻 第 1 号 2014 年 3 月:1–7</ref>。

抗がん・がん予防への期待から中国では研究・開発が進んでいる。野生のカイジが入手困難となっているため、[[菌糸体]]を培養して有効成分を抽出する方法がとられている。中国国家の8医薬研究機関の100人近い研究者が、自然のカイジと人工培養カイジに対して、薬理作用・毒性作用・品質検査と基礎試験及び臨床試験などの研究を行った。結果として人工培養カイジと天然カイジの成分・効果効能がほぼ一致することが判明している。また、カイジは臨床検証を経て、20年かけてようやく「漢方第一類抗がん新薬」として発売された。

カイジ製品が中国で発売してから十年以上が経った。膨大な基礎論文および臨床論文数でエビデンスを確立し、数多くの患者を助けてきた。原発性がんでも転移がんでも、カイジ単独使用でも抗がん剤や放射線療法との併用でも、抗がん作用および抗がん剤や放射線による副作用への軽減作用が様々な角度から確認できた。最近、肝臓がん肝臓移植術後にも用いられ、拒絶反応を起こさずにがんの再発や転移を抑制する臨床研究も報告されている。過去は中国国内の論文がほとんどだったが、2010年には日本癌学会の学会誌でもある国際誌のCancer Scienceに「カイジ水抽出エキスがアポトーシスを起こすことで乳癌細胞の増殖を抑制する」という論文が発表された<ref>{{citation|authors=Ning Zhang et al.|title=Huaier aqueous extract inhibits proliferation of breast cancer cells by inducing apoptosis|year=2010|journal=Cancer Science|Volume=101|Issue=11|pages=2375–2383|doi=10.1111/j.1349-7006.2010.01680.x}}</ref>。

それは東洋医学を西洋医学の手段を使って評価した試みであった。カイジは中国にとどまらず、統合医療への認識の普及とともに、東洋医学に関心を持つ欧米や日本など西洋医学の先進国にも影響を及ぼしている。日本において、有効かつ患者にやさしいという特徴で日本統合医療学会に評価され、関連テーマの学会発表を始め、日本統合医療健康食品認定機構により認定され、カイジ顆粒研究会まで学会主催で開催されている。

2011年の「アドリアマイシン誘発ネフローゼ症候群モデルラットへのカイジ製品の保護作用」という論文では、カイジ製品は有意に実験動物のタンパク尿を減少し、被蓋細胞の損傷を防ぎ、尿細管間質のダメージを改善することが示された<ref>{{citation|authors=Chunhua Zhu et al.|title=Protective effects of Huang Qi Huai granules on adriamycin nephrosis in rats.|year=2011|journal=PEDIATRIC NEPHROLOGY|Volume=26|Issue=6|pages=905-913|doi=10.1007/s00467-011-1808-y}}</ref>。


中国では、カイジ菌糸体エキスを利用して開発した国家級一類新薬―槐耳顆粒、登録商標―金克です。中国及び海外での英字論文は槐耳顆粒に対し、一般表記Huaier,jinkeですが、Huaierは槐耳の中国語の発音で、Jinkeは金克中国語の発音です。カイジは槐耳の日本語読み方で、中国での薬登録番号Z-20000109(State Drug Administration License of China No Z-20000109)です、カイジは多数の臨床論文が発表されています。カイジは槐栓菌で、学名 Trametes robiniophila Murr.です。

===化学的分析===
カイジ菌糸体は有機成分の多糖蛋白及び20余種の[[ミネラル]]を含有している。主な活性成分はPS-Tという多糖蛋白で、6種類の単糖からなる雑多糖と18種のアミノ酸が結合した[[蛋白質]]である。PSはPolySaccharide、T は本種(''Trametes robiniophila'')を意味する。
===臨床上の応用===

2014年9月から2016年12月までの間に、肝細胞癌と診断された合計751人の患者が登録された。実験群の患者をカイジ顆粒と併用した肝動脈化学塞栓術に対し、対照群の患者は肝動脈化学塞栓術のみであった。主な観察指数には、無増悪生存期間(PFS)およびカイジ顆粒による有害反応が含みました。

結果:2017年6月までに6,78人の患者が評価対象となり、全体的な追跡期間は282日であった。実験群の330人の患者の無増悪生存期間中央値は381日であったが、対照群の348人の患者の無増悪生存期間中央値は237日であった。 Kaplan – Meier分析を用いて、2つの群の間の差は統計的に有意であった(P = 0.0003)。実験群でのCOX回帰分析は、肝動脈化学塞栓術後の腫瘍進行の独立した予測因子は、門脈静脈腫瘍血栓の有無にかかわらず、Child-Pughグレード(肝障害度分類の一つ)であることが示された。経過観察中、カイジ顆粒を使用した31人の患者において、主に悪心および嘔吐を含む様々な副作用が生じた。すべての有害作用は、特別な処置なしに自然に軽減された。

結論:カイジ顆粒と組み合わせた肝動脈化学塞栓術は、肝細胞癌の管理において効果的かつ安全であり、臨床的推進に値する。<ref>{{Cite web|url=http://www.cnki.com.cn/Article/CJFDTotal-SXZL201805023.htm|title=基于真实世界肝动脉化疗栓塞术联合槐耳颗粒治疗肝细胞癌的临床研究--《现代肿瘤医学》2018年05期|accessdate=2018-05-28|website=www.cnki.com.cn}}</ref>

カイジ顆粒は、原発性肝臓癌術後に治療群患者にカイジ顆粒を60g/ 日×6 ヶ月間投与した.6 ヶ月後カイジ顆粒も他の抗癌剤も摂取しなかった対照群に比べて,治療群の再発率が低く(40.9 % vs. 61.7 %),CD4(44.6 vs. 39.5)及びNK細胞(13.3 vs. 11.2)が高く,治療効果は有意に優れていた.治療群術後6 ヶ月後のVEGF 及び追跡期間中の転移再発率も対照群より有意に低かった.平均22 ヶ月間の追跡期間に,治療群の累計生存率は81.82 % と対照群(63.83 %)より有意に高かった.カイジ顆粒は免疫機能を改善し,血清VEGF 発現を抑制し,癌の転移再発率を下げることで生存率を高め,予後を改善すると考えられた。<ref>{{Cite journal|last=ZOU|first=Buhao|last2=FUKUZAWA|first2=Yoshitaka|last3=ABE|first3=Tetsuro|last4=KYO|first4=Hoko|last5=OHTA|first5=Tomihisa|last6=SUZUKI|first6=Nobutaka|date=2016|title=Trametes Robiniphila Murr. and Hepatocellular Carcinoma|url=https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcam/13/2/13_35/_article/-char/ja/|journal=Japanese Journal of Complementary and Alternative Medicine|volume=13|issue=2|pages=35–41|language=ja|doi=10.1625/jcam.13.35|issn=1348-7922}}</ref>

原発性肝癌(PHC)を治療するため、カイジ(huaier)顆粒を用いた動脈動脈塞栓術(TACE)の安全性および有効性を評価するために、2009年6月から2011年12月までに、対照群(n = 31)または実験群(n = 31)に無作為に割り当てられた。対照患者は、350〜560μmのGSPとロバプラチン化学療法を併用したTACEを受けた。実験群の患者には、TACE + カイジ顆粒を投与した。治療の安全性および中長期的な有効性を評価した。フォローアップは12ヶ月から24ヶ月の範囲で平均28.7ヶ月であった。 6カ月および12カ月の全生存率は、実験群でそれぞれ100%および93.5%であり、対照群ではそれぞれ90.3%および80.6%であった。実験群(20.6ヵ月)および対照群(17.1ヵ月)の患者の生存期間中央値の差は優勢があったが、統計有意差ではなかった(χ= 0.745、χ= 5.213、P <0.05) 、P> .05)が、実験群(2.9±8.7)および対照群(4.1±7.3)患者におけるTACE処置の数は、有意に異なっていた(χ= 7.262、P <0.05)。実験群および対照群における6ヶ月間(87.1%対73.3%、χ= 5.945)および12ヶ月間(72.4%対64.3%、χ= 6.384)の腫瘍の客観的奏功率は、有意に異なっていた(P <0.05 )。 2群で治療関連有害反応の発生に統計的に有意な差はなかった.カイジ顆粒顆粒を用いた動脈化学塞栓術はPHC患者の治療に安全かつ有効であった。<ref>{{Cite journal|last=Zhao|first=Guang Sheng|last2=Liu|first2=Ying|last3=Zhang|first3=Qing|last4=Li|first4=Chuang|last5=Zhang|first5=Yue Wei|last6=Ren|first6=Zhi Zhong|last7=Zhou|first7=Jun|last8=Zhang|first8=Ming|date=2017-07|title=Transarterial chemoembolization combined with Huaier granule for the treatment of primary hepatic carcinoma|url=http://Insights.ovid.com/crossref?an=00005792-201707210-00064|journal=Medicine|volume=96|issue=29|pages=e7589|language=ENGLISH|doi=10.1097/md.0000000000007589|issn=0025-7974|pmid=28723799|pmc=PMC5521939}}</ref>

====呼吸器疾患の治療====
臨床報告は小児反復性気道感染や気管支喘息に集中している。小児反復性気道感染は気管支喘息の発症誘因であり、患者の体内に免疫反応の異常が存在する。免疫調節作用のあるカイジ製品は治療または予防によく使われる。急性症状が寛解した小児反復性気道感染患者にカイジ製品を 4–8、8、または 12 週間投与し、その後 6 ヶ月間追跡した。治療後 IgA, IgG), IgM),CD3+ ), CD4+), CD4+/CD8+ ) が有意に上昇し、追跡期間中の再発回数や程度などを基準に評価した総有効率は 80%以上であった。入院中の脳性麻痺を持つ小児反復性気道感染患者に 28 日カイジ製品を投与する研究では、有効率は 90.3%にものぼった。

気管支喘息は毛細気管支炎の繰り返す発作からなるケースが多い。約 3 割の患者は後日気管支喘息になると指摘されている。毛細気管支炎の予防効果は気管支喘息の発症率を大きく左右する。孫らが 277 例の毛細気管支炎患者を対照群とカイジ製品摂取群に分け、3 年間追跡したところ、対照群の 151 人に 33 人(21.85%)が気管支喘息になった。一方、年に少なくとも 1 ヶ月以上カイジ製品を摂取した介入群の 126 人のうち、気管支喘息になったのは 12 人(9.52%)と、有意に少なかった。このことから、カイジ製品は気管支喘息の発症を予防できると考察されている。

Global Initiative for Asthma (GINA) のガイドラインに従った治療をベースにした研究では、2 ヶ月間カイジ製品を併用した治療群は、昼間の症状、咳嗽および発作回数が明らかに併用しなかった群より改善した。6 ヶ月の追跡期間中の再発回数を基準に評価した効果および中医学証候の改善を基準に評価した効果はともにカイジ製品併用群がすぐれた。一部免疫機能測定を受けた併用群患者のデータを見ると、治療後に IgG, CD4+/CD8+ が有意に上昇し、CD8+ と総 B 細胞が有意に低下した。金らの研究では、カイジ製品併用群の小児喘息コントロールテスト (C-ACT) の結果が対照群よりすぐれ、PEF, PEF25,PEF50, PEF75 での評価もそれを支持した。2 群の間に有効率の差が倍近くあった。毛細気管支炎、咳喘息、または乳幼児喘息で喘鳴の症状を有する 45 名の乳幼児を治療した報告に、糖質コルチコイド噴霧器(マスク付き貯霧容器使用)とカイジ製品との組み合わせは、咳と喘鳴の寛解、多汗、風邪を引きやすい症状の改善、半年間の再発の予防に関して全員に有効で、7割以上の患者に顕著な効果をもたらした<ref>日本補完代替医療学会誌 第 11 巻 第 1 号 2014 年 3 月:1–7、https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcam/11/1/11_1/_pdf</ref>。

====腎症の治療====
腎臓病に対する関心は、ここ数年透析患者数および医療費の増加の報道で一段と高まってきた。日本は透析患者数が極めて多い国であり、これらの透析費用をはじめ、膨大な医療費を抱えている。慢性糸球体腎炎、慢性腎不全、ネフロ-ゼ症候群など腎臓病の補完医療としてカイジ製品が注目を浴びつつある。

小児尿路感染症の治療にカイジ製品を加えると、免疫グロブリンの中、IgG および IgA が抗菌剤だけでの治療より有意に上昇したことは郭より報告されている。小児尿路感染症は不適切な治療により、容易に再発する事が多い。上部尿路の感染が繰り返し慢性化して、また腎に瘢痕を残すことで腎機能の低下につながる。カイジ製品は体液性免疫を高め、抗菌治療を補助し、再発の予防にも役に立つと考えられる。

病理診断で確認された、血尿かタンパク尿(≦2 g/日)を持つ 45 人の成人軽度 IgA 腎症(ステージI–II)患者を無作為にカイジ製品群か対照群(既存治療群)に振り分け、12 週間を観察した。0, 4, 8, 12 週目の24 時間尿タンパク排出及び血尿は評価に用いられた。対照群に比べて、カイジ製品群の 24 時間尿タンパク排出は8, 12 週目に有意に低下し、血尿完全寛解率は有意に高かった。12 週目に、カイジ製品群のタンパク尿完全寛解率は対照群より高く、血尿は軽かった。カイジ製品群に有害事象もなかった。カイジ製品はステロイド剤や免疫抑制剤を耐えきれないIgA腎症患者にとって、新しい保存療法の選択肢として考えられる<ref>Huai Qi Huang ameliorates proteinuria and hematuria in mild IgA nephropathy patients: A prospective randomized controlled study. J Formos Med Assoc 2013; 112(12):766–772.</ref>。

カイジ製品が臨床的に腎臓病の進行を遅延させるあるいは、慢性腎臓病の新治療法としての可能性は現在検討されている。第 4 回世界中西医結合大会で発表された段らの研究によると、18 歳以上でステージ I–III (eGFR =45 mL/min/1.73 m2, SCr < 200 μmol/l) の原発性糸球体疾病患者に、カイジ製品を投与したところ、赤血球数と尿タンパクが 50%以上減少し、SCr の低下および eGFR の上昇傾向が確認された。投与後 1 ヶ月目から数値が改善したため、普及する価値が高いとされている。

糖尿病性腎症は糖尿病によって腎臓の糸球体が細小血管障害のため硬化して数を減じていく疾病である。高血糖状態が長引くと、全身の動脈硬化が進行し、腎臓に障害が及び、蛋白尿、ネフローゼ症候群等を経て最終的に慢性腎不全に至る。糖尿病性腎症に及ぼすカイジ製品の効果も臨床研究で検討されている。平均年齢 (57.01 ± 9.8)歳、糖尿病歴(5 年~18 年)、全員尿タンパク陽性 (+~+++)、そのうち代償性腎不全期 33 例、高窒素血症期 32例の 65 例(男 42 例、女 23 例)の患者に血糖コントロール+カイジ製品の治療を行ったところ、24 時間尿タンパクは 4 週目に有意に減少し、8 週目と 12 週目の数値はさらに有意に低下した。一方、血漿アルブミンは 8 週目から有意に高値を示した<ref>https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcam/11/1/11_1/_pdf</ref>。


==脚注==
==脚注==
77行目: 32行目:
==参考文献==
==参考文献==
* 漢方抗がん剤「カイジ」の秘密、ゴマブックス株式会社、2005年、ISBN 4-7771-0233-5 C0075
* 漢方抗がん剤「カイジ」の秘密、ゴマブックス株式会社、2005年、ISBN 4-7771-0233-5 C0075

==関連項目==
==関連項目==
*[[菌類]] / [[キノコ]]/ [[サルノコシカケ科]]
*[[菌類]] / [[キノコ]]/ [[サルノコシカケ科]]
*[[漢方薬]]
*[[漢方薬]]

==外部リンク==
* 鄒歩浩、許鳳浩、鈴木信孝、[https://doi.org/10.1625/jcam.11.1 腫瘍以外の分野での カイジ製品の応用] 日本補完代替医療学会誌 2014年 11巻 1号 p. 1-7, {{doi|10.1625/jcam.11.1}}


{{fungi-stub}}
{{fungi-stub}}

2018年8月17日 (金) 08:21時点における版

カイジ
分類
: 菌界 Fungi
: 担子菌門 Basidiomycota
: 真正担子菌綱 Homobasidiomycetes
: ヒダナシタケ目 Aphyllophorales
: サルノコシカケ科 Polyporaceae
: 栓菌属 Trametes
: カイジ T. robiniophila
学名
Trametes robiniophila
Murrill

カイジ(槐耳)はサルノコシカケ科キノコの一種である。槐蛾、槐栓菌ともいう。

概要

中国の老齢な槐(エンジュ)の木に寄生する。槐の木に半円形で寄生する姿が「人間の耳」のように見えることからカイジ(槐耳)と呼ばれるようになった。子実体は硬質で味は苦い。また、宿主であるエンジュの蕾には止血作用が認められている。同様に中国では古くからカイジにもさまざまな薬効があるとされ、煎じるなどして民間療法に用いられてきた。

分布

中国の河北省、山東省、陝西省に分布。近年はエンジュの古木が少なくなったこともあり、野生のカイジは希少なものとなっている。

漢方薬として

歴史

カイジは古くから漢方薬として知られており、1500年程前の唐代の医学書「新修本草」にはカイジには「治風、破血、益力、主治五痔、心痛の効果がある」との記載が見られる。また、他の漢方文献「肘后方」、「唐本草」にも、「味は苦く、辛く、無毒で、効能は治風、破血、益力」などの記載が見られる。明代の「本草綱目」にもカイジの記述があり、古来から中国では広く知られて、民間でも薬用としてさまざまな用途に使用されていたものと思われる。しかし、清代以降はカイジは入手困難となり、カイジの薬としての記述は見られなくなっていく。

脚注

参考文献

  • 漢方抗がん剤「カイジ」の秘密、ゴマブックス株式会社、2005年、ISBN 4-7771-0233-5 C0075

関連項目

外部リンク