「固有状態」の版間の差分

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ある[[量子状態#純粋状態|状態ベクトル]]や[[波動関数]]のことを単に「固有状態」とか「固有関数」と呼ぶことがある。しかしその意味は「定常状態のシュレーディンガー方程式の解であり、エネルギーが確定しているような特別な状態」ということであり、任意の状態を意味しているわけではない。
ある[[量子状態#純粋状態|状態ベクトル]]や[[波動関数]]のことを単に「固有状態」とか「固有関数」と呼ぶことがある。しかしその意味は「定常状態のシュレーディンガー方程式の解であり、エネルギーが確定しているような特別な状態」ということであり、任意の状態を意味しているわけではない。

== 同時固有状態 ==
2つのオブザーバブル<math>\hat{A}</math>と<math>\hat{B}</math>が交換するとき、つまり
:<math>[\hat{A},\hat{B}]=0</math>
のときは、<math>\hat{A}</math>と<math>\hat{B}</math>のどちらの固有ベクトルでもあるベクトル<math>|A,B\rangle</math>が存在する。これを'''同時固有状態'''(または'''同時固有ベクトル'''、'''同時固有関数''')という。同時固有状態は、物理量<math>\hat{A}</math>と<math>\hat{B}</math>の両方が確定しているような状態である。


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==

2017年2月23日 (木) 12:20時点における版

量子力学において、ある物理量 A の「固有状態」とは、その物理量(オブザーバブル)を表すエルミート演算子 固有ベクトル のことである。

よって物理量 A の固有状態 は以下の固有値方程式を満たす。

一般に、量子系について物理量の測定を行った時、どんなに同じように状態を用意して同じように測定をしても、測定値は測定によってバラバラである。しかし系が固有値 に属する固有状態 であるときは、物理量 を観測すれば必ず という値を得る(オブザーバブルを参照)。よって「物理量 の固有状態 は、物理量 が確定した値 を持っている状態である」と解釈できる。

また はエルミート演算子なので、その固有値はすべて実数である。

エネルギー固有状態

定常状態のシュレディンガー方程式は、エネルギーを表す演算子であるハミルトニアンの固有値方程式である。

よってその解 は、エネルギー固有状態である。

状態がエネルギー固有状態のひとつ であった場合、エネルギーを測定すると、測定値は に対応するエネルギー固有値 が必ず得られる。よってエネルギー固有状態は「エネルギーが確定しているような状態」とも言える。

ある状態ベクトル波動関数のことを単に「固有状態」とか「固有関数」と呼ぶことがある。しかしその意味は「定常状態のシュレーディンガー方程式の解であり、エネルギーが確定しているような特別な状態」ということであり、任意の状態を意味しているわけではない。

同時固有状態

2つのオブザーバブルが交換するとき、つまり

のときは、のどちらの固有ベクトルでもあるベクトルが存在する。これを同時固有状態(または同時固有ベクトル同時固有関数)という。同時固有状態は、物理量の両方が確定しているような状態である。

関連項目