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'''プロター'''(''Protar'' )は[[パウル・ルドルフ]]により発明された[[カール・ツァイス]]のレンズ名である。1900~1920年代の大型カメラ用レンズとして広く普及した。[[ウナー]]を経由して[[テッサー]]の原型となった。
'''プロター'''(''Protar'' )は[[パウル・ルドルフ]]により発明された[[カール・ツァイス]]のレンズ名である。[[1900年代]]~[[1920年代]]の大型カメラ用レンズとして広く普及した。[[ウナー]]を経由して[[テッサー]]の原型となった。


当初は単にツァイス・アナスチグマットであったが1900年にプロターに改名された。ツァイス・アナスチグマットのうちシリーズIAが[[プラナー]]、シリーズIBが[[ウナー]]、シリーズIIBとシリーズICが[[テッサー]]、シリーズVIIIがアポクロマティックテッサーとされ、それ以外がプロターとなっている。
当初は単にツァイス・アナスチグマットであったが[[1900年]]にプロターに改名された。ツァイス・アナスチグマットのうちシリーズIAが[[プラナー]]、シリーズIBが[[ウナー]]、シリーズIIBとシリーズICが[[テッサー]]、シリーズVIIIがアポクロマティックテッサーとされ、それ以外がプロターとなっている。


ここでは「プロターシリーズ〜」という表記をしたが日本では「プロター第〜類」という表記も多い。プロターを2本組み合わせたドッペルプロターは「複プロター」「組み合わせプロター」あるいは「ダブルプロター」とも表記される。
ここでは「プロターシリーズ〜」という表記をしたが[[日本]]では「プロター第〜類」という表記も多い。プロターを2本組み合わせたドッペルプロターは「複プロター」「組み合わせプロター」あるいは「ダブルプロター」とも表記される。


レンズ銘板が'''プロターリンゼ'''(''Protarlinse'' )という表記のものもあるが、"linse"はドイツ語でレンズのことであり、これもプロターである。
レンズ銘板が'''プロターリンゼ'''(''Protarlinse'' )という表記のものもあるが、"linse"はドイツ語でレンズのことであり、これもプロターである。
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== 製品一覧 ==
== 製品一覧 ==
=== 大判用 ===
=== 大判用 ===
*'''プロターシリーズI'''(1891年) - 前群2枚後群3枚F4.5、プロターの中では最も明るいレンズで人物撮影用。
*'''プロターシリーズI'''([[1891]]) - 前群2枚後群3枚F4.5、プロターの中では最も明るいレンズで人物撮影用。
*'''プロターシリーズII'''(1891年) - 前群2枚後群3枚F6.3。
*'''プロターシリーズII'''(1891年) - 前群2枚後群3枚F6.3。
*'''プロターシリーズIIA'''(1893年) - 前群2枚後群3枚。包括角度75度。
*'''プロターシリーズIIA'''(1893年) - 前群2枚後群3枚。包括角度75度。
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**7番 - 350mmF8。
**7番 - 350mmF8。
**8番 - 433mmF8。
**8番 - 433mmF8。
*'''プロターシリーズIII'''(1890年) - 前群2枚後群2枚F7.5、包括角度90度。
*'''プロターシリーズIII'''([[1890]]) - 前群2枚後群2枚F7.5、包括角度90度。
*'''プロターシリーズIIIA'''(1891年) - 像面湾曲が極端に少ない。前群2枚後群2枚、包括角度97度。
*'''プロターシリーズIIIA'''(1891年) - 像面湾曲が極端に少ない。前群2枚後群2枚、包括角度97度。
**0番 - 75mmF9。
**0番 - 75mmF9。
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**9番 - 632mmF18。
**9番 - 632mmF18。
**10番 - 947mmF18。
**10番 - 947mmF18。
*'''プロターシリーズVI'''(1893年) - F14.5、1群3枚。'''プロターシリーズVII'''の発売により製造中止された。
*'''プロターシリーズVI'''([[1893]]) - F14.5、1群3枚。'''プロターシリーズVII'''の発売により製造中止された。
*'''ドッペルプロターシリーズVIA'''(1893年) - '''プロターシリーズVI'''を2本組み合わせて使用するもの。無論前群後群それぞれ単独でも使える。
*'''ドッペルプロターシリーズVIA'''(1893年) - '''プロターシリーズVI'''を2本組み合わせて使用するもの。無論前群後群それぞれ単独でも使える。
*'''プロターシリーズVII'''(1895年) - '''プロターシリーズVI'''の改良版。ボシュロムにもライセンスされ1960年代まで生産されていた。包括角度85度。
*'''プロターシリーズVII'''([[1895]]) - '''プロターシリーズVI'''の改良版。ボシュロムにもライセンスされ[[1960年代]]まで生産されていた。包括角度85度。
**0番 - 100mmF11。
**0番 - 100mmF11。
**00番 - 135mmF11。
**00番 - 135mmF11。
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**28番 - シリーズVIIの10番+シリーズVIIの10番。515mmF6.3。
**28番 - シリーズVIIの10番+シリーズVIIの10番。515mmF6.3。
**30番 - シリーズVIIの11番+シリーズVIIの11番。595mmF6.6。
**30番 - シリーズVIIの11番+シリーズVIIの11番。595mmF6.6。
*'''プロターセット''' - '''シリーズVII'''レンズ、シャッター、マウントが箱入りになったセット。
*'''プロターセット''' - '''シリーズVII'''レンズ、[[シャッター (カメラ)|シャッター]][[レンズマウント]]が箱入りになったセット。
**'''Boセット''' - 1番2番3番の3本セット。
**'''Boセット''' - 1番2番3番の3本セット。
**'''Cセット''' - 5×7in判用で2番3番4番の3本セット。
**'''Cセット''' - 5×7in判用で2番3番4番の3本セット。

2011年5月13日 (金) 10:03時点における版

プロターの一例[1]

プロターProtar )はパウル・ルドルフにより発明されたカール・ツァイスのレンズ名である。1900年代1920年代の大型カメラ用レンズとして広く普及した。ウナーを経由してテッサーの原型となった。

当初は単にツァイス・アナスチグマットであったが1900年にプロターに改名された。ツァイス・アナスチグマットのうちシリーズIAがプラナー、シリーズIBがウナー、シリーズIIBとシリーズICがテッサー、シリーズVIIIがアポクロマティックテッサーとされ、それ以外がプロターとなっている。

ここでは「プロターシリーズ〜」という表記をしたが日本では「プロター第〜類」という表記も多い。プロターを2本組み合わせたドッペルプロターは「複プロター」「組み合わせプロター」あるいは「ダブルプロター」とも表記される。

レンズ銘板がプロターリンゼProtarlinse )という表記のものもあるが、"linse"はドイツ語でレンズのことであり、これもプロターである。

カール・ツァイス以外にボシュロムでもライセンス生産された。

製品一覧

大判用

  • プロターシリーズI1891年) - 前群2枚後群3枚F4.5、プロターの中では最も明るいレンズで人物撮影用。
  • プロターシリーズII(1891年) - 前群2枚後群3枚F6.3。
  • プロターシリーズIIA(1893年) - 前群2枚後群3枚。包括角度75度。
    • 1番 - 110mmF8。
    • 2番 - 136mmF8。
    • 3番 - 167mmF8。
    • 4番 - 205mmF8。
    • 5番 - 244mmF8。
    • 6番 - 295mmF8。
    • 7番 - 350mmF8。
    • 8番 - 433mmF8。
  • プロターシリーズIII1890年) - 前群2枚後群2枚F7.5、包括角度90度。
  • プロターシリーズIIIA(1891年) - 像面湾曲が極端に少ない。前群2枚後群2枚、包括角度97度。
    • 0番 - 75mmF9。
    • 00番 - 95mmF9。
    • 1番 - 120mmF9。
    • 2番 - 150mmF9。
    • 3番 - 172mmF9。
    • 4番 - 196mmF9。
    • 5番 - 230mmF9。
    • 6番 - 272mmF9。
    • 7番 - 317mmF9。
    • 8番 - 407mmF9。
    • 9番 - 505mmF9。
    • 10番 - 600mmF9。
    • 11番 - 690mmF9。
    • 12番 - 820mmF9。
  • プロターシリーズIV(1890年) - 前群2枚後群2枚F12.5、複写用。1番から7a番は包括角度110度。
  • プロターシリーズV(1890年) - 前群2枚後群2枚、1番から5番は包括角度110度、その他は90度の広角レンズ。包括角度60度の範囲ではアナスチグマットである。
    • 0番 - 40mmF18。
    • 00番 - 62mmF18。
    • 1番 - 86mmF18。
    • 2番 - 112mmF18。
    • 3番 - 141mmF18。
    • 4番 - 182mmF18。
    • 5番 - 212mmF18。
    • 6番 - 265mmF18。
    • 7番 - 315mmF18。
    • 7a番 - 390mmF18。
    • 8番 - 460mmF18。
    • 9番 - 632mmF18。
    • 10番 - 947mmF18。
  • プロターシリーズVI1893年) - F14.5、1群3枚。プロターシリーズVIIの発売により製造中止された。
  • ドッペルプロターシリーズVIA(1893年) - プロターシリーズVIを2本組み合わせて使用するもの。無論前群後群それぞれ単独でも使える。
  • プロターシリーズVII1895年) - プロターシリーズVIの改良版。ボシュロムにもライセンスされ1960年代まで生産されていた。包括角度85度。
    • 0番 - 100mmF11。
    • 00番 - 135mmF11。
    • 000番 - 170mmF11。
    • 1番 - 183mmF12.5。
    • 2番 - 224mmF12.5。
    • 3番 - 285mmF12.5。
    • 4番 - 350mmF12.5。
    • 5番 - 412mmF12.5。
    • 6番 - 480mmF12.5。
    • 7番 - 590mmF12.5。
    • 8番 - 690mmF12.5。
    • 9番 - 782mmF12.5。
    • 10番 - 862mmF12.5。
    • 11番 - 1000mmF12.5。
  • ドッペルプロターシリーズVIIA(1895年) - プロターシリーズVIIを2本組み合わせて使用するもの。無論前群後群それぞれ単独でも使える。
    • 0番 - シリーズVIIの0番+シリーズVIIの0番。61mmF6.3。
    • 00番 - シリーズVIIの00番+シリーズVIIの00番。82mmF6.3。
    • 000番 - シリーズVIIの000番+シリーズVIIの000番。102mmF6.3。
    • 1番/1.1番 - シリーズVIIの1番+シリーズVIIの1番。105mmF6.3。
    • 2番/2.1番 - シリーズVIIの2番+シリーズVIIの1番。115mmF7。
    • 3番/3.1番 - シリーズVIIの3番+シリーズVIIの1番。127mmF7.7。
    • 4番/2.2番 - シリーズVIIの2番+シリーズVIIの2番。128mmF6.3。
    • 5番/3.2番 - シリーズVIIの3番+シリーズVIIの2番。143mmF7。
    • 6番/4.2番 - シリーズVIIの4番+シリーズVIIの2番。156mmF7.7。
    • 7番/3.3番 - シリーズVIIの3番+シリーズVIIの3番。163mmF6.3。
    • 8番/4.3番 - シリーズVIIの4番+シリーズVIIの3番。179mmF7。
    • 9番/5.3番 - シリーズVIIの5番+シリーズVIIの3番。192mmF7.7。
    • 9a番 - シリーズVIIの5番+シリーズVIIの4番。F7.7。
    • 10番/4.4番 - シリーズVIIの4番+シリーズVIIの4番。200mmF6.3。
    • 11番/5.4番 - シリーズVIIの5番+シリーズVIIの4番。216mmF7。
    • 12番/6.4番 - シリーズVIIの6番+シリーズVIIの4番。232mmF7.7。
    • 13番/5.5番 - シリーズVIIの5番+シリーズVIIの5番。235mmF6.3。
    • 14番/6.5番 - シリーズVIIの6番+シリーズVIIの5番。254mmF7。
    • 15番/7.5番 - シリーズVIIの7番+シリーズVIIの5番。277mmF7.7。
    • 16番/6.6番 - シリーズVIIの6番+シリーズVIIの6番。275mmF6.3。
    • 17番/7.6番 - シリーズVIIの7番+シリーズVIIの6番。303mmF7。
    • 18番/8.6番 - シリーズVIIの8番+シリーズVIIの6番。324mmF7.7。
    • 19番/7.7番 - シリーズVIIの7番+シリーズVIIの7番。337mmF6.3。
    • 20番/8.7番 - シリーズVIIの8番+シリーズVIIの7番。364mmF7。
    • 22番/8.8番 - シリーズVIIの8番+シリーズVIIの8番。395mmF6.3。
    • 25番 - シリーズVIIの9番+シリーズVIIの9番。465mmF6.6。
    • 28番 - シリーズVIIの10番+シリーズVIIの10番。515mmF6.3。
    • 30番 - シリーズVIIの11番+シリーズVIIの11番。595mmF6.6。
  • プロターセット - シリーズVIIレンズ、シャッターレンズマウントが箱入りになったセット。
    • Boセット - 1番2番3番の3本セット。
    • Cセット - 5×7in判用で2番3番4番の3本セット。
    • Dセット - 7×9in判用で3番4番5番6番の4本セット
    • Fセット - 8×10in判用で5番6番7番8番の4本セット。

関連項目

関わった設計者

脚注

  1. ^ シリーズIIIまたはシリーズV。