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== 希少性 ==
== 希少性 ==
1頭から採れるコードバンの量はごくわずかであり、また[[サラブレッド]]や[[ポニー]]等の通常知られる馬からは採れず、ヨーロッパ地方で食肉用としてごく少数生産されている農耕馬からのみ、副産物として採ることができる。農耕馬自体は年々生産量が低下しており、数年後は現在よりも更に入手困難な素材になる事が予想される。なお、コードバンを加工するなめし工場は全世界で日本とアメリカに1軒ずつしか存在しないと言われているが他国産の物も市場に出ており真相は不明。
1頭から採れるコードバンの量はごくわずかであり、また本来は[[サラブレッド]]や[[ポニー]]等の通常知られる馬からは採れず、ヨーロッパ地方で食肉用としてごく少数生産されている農耕馬からのみ、副産物として採ることができるが代用馬での生産も確認されている。農耕馬自体は年々生産量が低下しており、入手困難な素材になると言わ続けている。なお、コードバンを加工するなめし工場は全世界で日本とアメリカに1軒ずつしか存在しないと言われているが他国産の物も市場に出ており真相は不明。


コードバンを使用した製品として有名なランドセルも、現在ではそのほとんどがコードバンに似せた牛革か、合成皮革(クラリーノ)である
コードバンを使用した製品として有名なランドセルも、現在ではそのほとんどがコードバンに似せた牛革か、合成皮革(クラリーノ)である

2010年1月10日 (日) 09:05時点における版

コードバンの靴

コードバンcordovan)は、ヨーロッパの農耕用馬の臀部から採れる皮革ランドセルなどに主に使用され、昨今では小物用素材としても普及している。臀部以外の比較的柔らかい部分は靴の内革に多く使用される。

由来

通説ではスペインコルドバ地方の山羊革(コードバン)に似ていることから、同じくコードバンと呼ばれるようになったと言われている。しかし、その起源は未だ謎のままであり、文献も見つかっていない。また、コルドバはアルゼンチンにも存在しており、馬革のコードバンがスペインのコルドバ地方からきているのか、アルゼンチンのコルドバ地方から来ているのかは不明。

希少性

1頭から採れるコードバンの量はごくわずかであり、また本来はサラブレッドポニー等の通常知られる馬からは採れず、ヨーロッパ地方で食肉用としてごく少数生産されている農耕馬からのみ、副産物として採ることができるが代用馬での生産も確認されている。農耕馬自体は年々生産量が低下しており、入手困難な素材になると言われ続けている。なお、コードバンを加工するなめし工場は全世界で日本とアメリカに1軒ずつしか存在しないと言われているが他国産の物も市場に出ており真相は不明。

コードバンを使用した製品として有名なランドセルも、現在ではそのほとんどがコードバンに似せた牛革か、合成皮革(クラリーノ)である

特徴

構造

従来の革が「床」と呼ばれるベースの上に「銀面」と呼ばれる表革が張付いている2層構造なのに対し、コードバンは「床」であるコードバン層のみを使用する単層構造である。

コードバン層
一般的な皮革はコラーゲン繊維が絡み合いながら横に走っているのに対し、コードバンはコラーゲン繊維が整然と縦に並んでいる。コードバン層はこのコラーゲン繊維の断面が表面組織となっているため、綿密でしなやかである。

質感

整然と並んだキメの細かな繊維がむき出しとなった状態であるため、非常になめらかでしっとりとした質感が特徴である。

品質、丈夫さ

2層構造で出来ている一般的な革は、手入れを怠れば長期間使用するにしたがってだんだんと表皮である銀面が歪んでくる。そのため、床と銀面の間に隙間が生じ、「浮き」と呼ばれる現象が起きる。

コードバンは単層構造のため、「浮き」の現象が起きない。そのため長期間使用してもヒビが入ったり、よれることもない。これが丈夫であると言われる由縁である。その一方繊維が縦に並んでおり吟面が無い為に引っ張り強度は低く、部位が悪ければ負荷の方向によっては簡単に裂ける。

通称

従来の皮革との質、希少性の違い、またその独特な採取方法から様々な通称が存在する。

革の宝石
臀部の分厚い革に守られた厚さ2mm程度のコードバン繊維を、丁寧に表と裏から削り出す採取方法が宝石採掘のようであるとして、革の宝石と呼ばれている。
革のダイアモンド
上記のような採取方法に加え、従来の革と比べて突出した丈夫さと安定性を持ち合わせていることから、高い硬度と安定性を持った希少価値の高い宝石であるダイヤモンドに比喩されている。
幻の革
どのようにして発見され、素材として使用されるに至ったかその起源についても謎のままであり、特異な質を持った革であること、更に入手困難であることから幻の革と称される。

関連項目

外部リンク