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2009年12月5日 (土) 17:52時点における版
コードバン(cordovan)は、ヨーロッパの農耕用馬の臀部から採れる皮革。ランドセルや靴などに主に使用され、昨今では小物用素材としても普及している。臀部以外の比較的柔らかい部分は靴の内革に多く使用される。
由来
通説ではスペインのコルドバ地方の山羊革(コードバン)に似ていることから、同じくコードバンと呼ばれるようになったと言われている。しかし、その起源は未だ謎のままであり、文献も見つかっていない。また、コルドバはアルゼンチンにも存在しており、馬革のコードバンがスペインのコルドバ地方からきているのか、アルゼンチンのコルドバ地方から来ているのかは不明。
希少性
1頭から採れるコードバンの量はごくわずかであり、またサラブレッドやポニー等の通常知られる馬からは採れず、ヨーロッパ地方で食肉用としてごく少数生産されている農耕馬からのみ、副産物として採ることができる。農耕馬自体は年々生産量が低下しており、数年後は現在よりも更に入手困難な素材になる事が予想される。なお、コードバンを加工するなめし工場は全世界で日本とアメリカに1軒ずつしか存在しない。
コードバンを使用した製品として有名なランドセルも、現在ではそのほとんどがコードバンに似せた牛革か、合成皮革(クラリーノ)である
特徴
構造
従来の革が「床」と呼ばれるベースの上に「銀面」と呼ばれる表革が張付いている2層構造なのに対し、コードバンは「床」であるコードバン層のみを使用する単層構造である。
- コードバン層
- 一般的な皮革はコラーゲン繊維が絡み合いながら横に走っているのに対し、コードバンはコラーゲン繊維が整然と縦に並んでいる。コードバン層はこのコラーゲン繊維の断面が表面組織となっているため、綿密でしなやかである。
質感
整然と並んだキメの細かな繊維がむき出しとなった状態であるため、非常になめらかでしっとりとした質感が特徴である。
品質、丈夫さ
2層構造で出来ている一般的な革は、長期間使用するにしたがってだんだんと表皮である銀面が歪んでくる。そのため、床と銀面の間に隙間が生じ、「浮き」と呼ばれる現象が起きる。牛革などが長く使うにつれて表面にヒビが入るのもこのためである。
コードバンは単層構造のため、「浮き」の現象が起きない。そのため長期間使用してもヒビが入ったり、よれることもない。これが丈夫であると言われる由縁である。
通称
従来の皮革との質、希少性の違い、またその独特な採取方法から様々な通称が存在する。
- 革の宝石
- 臀部の分厚い革に守られた厚さ2mm程度のコードバン繊維を、丁寧に表と裏から削り出す採取方法が宝石採掘のようであるとして、革の宝石と呼ばれている。
- 革のダイアモンド
- 上記のような採取方法に加え、従来の革と比べて突出した丈夫さと安定性を持ち合わせていることから、高い硬度と安定性を持った希少価値の高い宝石であるダイヤモンドに比喩されている。
- 幻の革
- どのようにして発見され、素材として使用されるに至ったかその起源についても謎のままであり、特異な質を持った革であること、更に入手困難であることから幻の革と称される。
関連項目
外部リンク
- コードバンとは (Vincis Gate) - コードバンと従来の革との比較
- コードバンのお話 (So Fine!)
- コードバンとは (財布市場)
- コードヴァンの靴をケアする (All About)