「モチーフ (音楽)」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
「動機」のより根本的な説明となるよう修正し、「動機」の説明と直接関係がないと思われる部分は整理致しました。
Ks (会話 | 投稿記録)
編集の要約なし
2行目: 2行目:
音楽において'''モチーフ'''またはモティーフ(独:Motiv)とは、独立した楽想を持った最小単位のいくつかの音符ないし休符の特徴的な連なりを言う。'''動機'''(どうき)と訳される。基本的には2小節からなるとされることが多い。これは、1小節以下の長さの楽句では[[拍子]]が確定できないためである。この動機をさらに細かく特徴的な各部分に分けたものを'''部分動機'''と呼ぶ。
音楽において'''モチーフ'''またはモティーフ(独:Motiv)とは、独立した楽想を持った最小単位のいくつかの音符ないし休符の特徴的な連なりを言う。'''動機'''(どうき)と訳される。基本的には2小節からなるとされることが多い。これは、1小節以下の長さの楽句では[[拍子]]が確定できないためである。この動機をさらに細かく特徴的な各部分に分けたものを'''部分動機'''と呼ぶ。


[[クラシック音楽]]の[[楽式]]論においては、ひとまとまりの[[旋律]]を[[主題 (音楽)|主題]]と呼び、たいていは8小節程度を標準として、場合によっては数小節程度のものから数十小節の長さの規模を持つものもあるが、この主題はいくつかの動機が集まることで成り立っている。もちろん、ひとつの主題の中に同じ動機が繰り返されることもある。また、大規模な作品において、1つの動機が全体を構成する根本的な要素となっていることもある。
[[クラシック音楽]]の[[楽式]]論においては、ひとまとまりの[[旋律]]を[[主題 (音楽)|主題]]と呼び、たいていは8小節程度を標準として、場合によっては数小節程度のものから数十小節の長さの規模を持つものもあるが、この主題はいくつかの動機が集まることで成り立っている。もちろん、ひとつの主題の中に同じ動機が繰り返されることもある。


たとえば、[[ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン]]の[[交響曲第5番 (ベートーヴェン)|交響曲第5番]]の第1[[楽章]]は、あまりに有名な
また、大規模な作品において、1つの動機が全体を構成する根本的な要素となっていることもある。たとえば、[[ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン]]の[[交響曲第5番 (ベートーヴェン)|交響曲第5番]]の第1[[楽章]]は、あまりに有名な
:[[Image:FuenfteDeckblatt.png|300px]]
:[[Image:FuenfteDeckblatt.png|300px]]
で開始される。これはこの楽章の第一主題の冒頭であり、第一主題の一部である。そして、上の譜例の部分は、同じ形の2個の動機から成り立っている。この2個の動機の後、第一主題はこの動機を第二[[ヴァイオリン]]、[[ヴィオラ]]、第一ヴァイオリンの順で追いかけるように繰り返して進んでゆく。この動機は、第二主題の序においても、また[[展開部]]においても多少形を変えて執拗に繰り返される。のみならず、第3楽章でも同じリズムが[[拍節]]を変えて現れている。このように、一定の動機が曲全体にちりばめられ、またいくつかの動機が互いに関連を持つことで曲全体に統一感が与えられる。
で開始される。これはこの楽章の第一主題の冒頭であり、第一主題の一部である。そして、上の譜例の部分は、同じ形の2個の動機から成り立っている。この2個の動機の後、第一主題はこの動機を第二[[ヴァイオリン]]、[[ヴィオラ]]、第一ヴァイオリンの順で追いかけるように繰り返して進んでゆく。この動機は、第二主題の序においても、また[[展開部]]においても多少形を変えて執拗に繰り返される。のみならず、第3楽章でも同じリズムが[[拍節]]を変えて現れている。このように、一定の動機が曲全体にちりばめられ、またいくつかの動機が互いに関連を持つことで曲全体に統一感が与えられる。

2008年2月8日 (金) 08:59時点における版

音楽においてモチーフまたはモティーフ(独:Motiv)とは、独立した楽想を持った最小単位のいくつかの音符ないし休符の特徴的な連なりを言う。動機(どうき)と訳される。基本的には2小節からなるとされることが多い。これは、1小節以下の長さの楽句では拍子が確定できないためである。この動機をさらに細かく特徴的な各部分に分けたものを部分動機と呼ぶ。

クラシック音楽楽式論においては、ひとまとまりの旋律主題と呼び、たいていは8小節程度を標準として、場合によっては数小節程度のものから数十小節の長さの規模を持つものもあるが、この主題はいくつかの動機が集まることで成り立っている。もちろん、ひとつの主題の中に同じ動機が繰り返されることもある。

また、大規模な作品において、1つの動機が全体を構成する根本的な要素となっていることもある。たとえば、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン交響曲第5番の第1楽章は、あまりに有名な

で開始される。これはこの楽章の第一主題の冒頭であり、第一主題の一部である。そして、上の譜例の部分は、同じ形の2個の動機から成り立っている。この2個の動機の後、第一主題はこの動機を第二ヴァイオリンヴィオラ、第一ヴァイオリンの順で追いかけるように繰り返して進んでゆく。この動機は、第二主題の序においても、また展開部においても多少形を変えて執拗に繰り返される。のみならず、第3楽章でも同じリズムが拍節を変えて現れている。このように、一定の動機が曲全体にちりばめられ、またいくつかの動機が互いに関連を持つことで曲全体に統一感が与えられる。


Template:Link FA