古川可動橋

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古川可動橋(ふるかわかどうきょう)は、東京都港区の芝浦臨港線に架設された跳上橋である。高名な橋梁技術者である山本卯太郎の設計。芝浦跳開橋ともいう。

概要[編集]

1929年昭和4年)の竣工で、当時、東洋一の可動橋[1]と言われた。跳上橋には双葉式と片葉式があるが、本橋梁は片側のみが開閉する片葉式である。その片側可動部の長さは、昭和期に製作された跳上橋において日本最長である。昭和初期の竣工にもかかわらず、複雑な構造をもつ可動橋において、高度な技術力を示す鉄道橋の跳上橋(鋼製跳開式可動橋)。撤去前には、カウンターウエイトなどを外して固定橋となり、1980年代に芝浦臨港線が廃線となったのち、撤去された。

1930年(昭和5年)1月発行の『土木建築工事画報』に、古川可動橋についての文献[2]があり、諸元などについて、次のように記されている[3]

東京芝浦に4年末竣功した東洋第一の大跳上橋は、長104尺のうち有効径間90尺、設計荷重 E-33、可動桁の総重量300噸にして、僅か1分30秒で開閉出来る。…(中略)…バスキュールの専門家として知られてゐる山本卯太郎氏の工務所である。尚ほ同橋のかゝつた芝浦臨港線は4年内に開通。
(写真は同橋の偉観)

諸元[編集]

長: 31.5 メートル(104尺)
有効径間: 27.3 メートル(90尺)
設計荷重: E-33
総重量: 300 トン
開閉時間: 1分30秒[4]
  • 設置場所: 港区海岸1 - 海岸2[5]
  • 設計製作: 山本工務所(山本卯太郎

参考事項[編集]

開閉時間について、文献[4]に、次のような記述がある[6][7]

其の垂直面に動く様式はバスキュール式リフト式等あり、何れも二十秒以上九十秒にて一回の開閉を掌らしむる事が出来至極便利な…(中略)…、我国の東西十数箇所に架設され、何れも所期の成績を挙げてそれぞれの目的を充分にしてゐる。
(28ページの続き)

脚注[編集]

  1. ^ 「工事タイムス 橋梁 福島市の可動橋」『土木建築工事画報』第6巻第2号、工事画報社、1930年(昭和5年)2月。
  2. ^ a b 「90尺の可動鉄道橋」『土木建築工事画報』第6巻第1号、工事画報社、1930年(昭和5年)1月。
  3. ^ 「徑」を「径」にするなど、新字体などに直す。
  4. ^ a b 山本卯太郎 「産業都市発達と可動橋の現代性」『土木建築工事画報』第6巻第6号、工事画報社、1930年(昭和5年)6月。
  5. ^ 新浜崎橋のやや海側付近。
  6. ^ 文中で、「スピード時代の可動橋」と題して記されている。
  7. ^ 「樣」を「様」にするなど、新字体などに直す。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

座標: 北緯35度39分8.2秒 東経139度45分38.2秒 / 北緯35.652278度 東経139.760611度 / 35.652278; 139.760611