セントジョージ海峡
セントジョージ海峡(英: St George's Channel、ウェールズ語: Sianel San Siôr、アイルランド語: Muir Bhreatan[1])は、グレートブリテン島とアイルランド島のあいだにある海峡。北にアイリッシュ海、南西にケルト海がある[2]。
古くより、この水域はアイリッシュ海 (Irish Sea) やアイリッシュ海峡 (Irish Channel) とも呼ばれてきた[3][4]。その範囲については、ウェールズとレンスターのあいだとする地理学者がいる一方で[3][4]、サウス・ウェスト・イングランドとマンスター東部のあいだまで至るとする説もあるが[4]、後者の延伸部は1970年代よりケルト海と呼ばれるようになった。アイルランドでは、ウェックスフォード県のカーンソア岬とペンブルックシャーのセントデービッズ岬のあいだにあたる、海峡の北西部のみを「セントジョージ海峡」と呼び習わしている。「海峡間旅行」や「海峡間ダービー」など、グレートブリテン島とのあいだという意味で海峡間 (cross-channel) ということばが使われることも多い[5] 。
国際水路機関の『大洋と海の範囲』(第3版、1953年)では、「アイリッシュ海およびセントジョージ海峡」の南限は「セントデービッズ岬とカーンソア岬を結ぶ線」であるとされており、アイリッシュ海とセントジョージ海峡は区別されていない[6]。しかし、2002年に出された第4版の草稿では「セントジョージ海峡」の語が省略されている[7][8]。
海峡の名前は古代にビザンティン帝国からブリタンニアまで旅した聖ゲオルギオスが、この海峡を通ってグレートブリテン島に到達したという伝説に由来するとされ[9]、1578年、マーティン・フロビッシャーの第二次航海の記録にみられるのが初出である[10]。アイルランドに入植したイングランド人により、アイルランドにもこの呼び名が広まった[3]。
関連項目
[編集]- ノース海峡 (イギリス) - アイリッシュ海北端の海峡。
- ニコバル諸島 - 大ニコバル島と小ニコバル島のあいだの水域もセントジョージ海峡と呼ばれる。
脚注
[編集]- ^ “Muir Bhreatan”. logainm.ie. Placenames Branch (Department of Community, Equality and Gaeltacht Affairs). 18 September 2010閲覧。
- ^ C.Michael Hogan. 2011. Irish Sea. eds P.Saundry & C.Cleveland. encyclopedia of Earth. National Council for Science and the Environment. Washington DC
- ^ a b c Andrews, John Harwood (January 1997). Shapes of Ireland: maps and their makers 1564–1839. Geography Publications. pp. 87–88, 155. ISBN 978-0-906602-95-9 18 September 2010閲覧。
- ^ a b c Thomas Curtis, ed (1839). “George's Channel (St.)”. The London encyclopaedia. 10. p. 133 18 September 2010閲覧。
- ^ Heslinga, Marcus Willem (1979). The Irish border as a cultural divide: a contribution to the study of regionalism in the British Isles. Van Gorcum. p. 8. ISBN 978-90-232-0864-8 18 September 2010閲覧。
- ^ “Corrections to pages 12 and 13”. Limits of Oceans and Seas, 3rd edition. International Hydrographic Organization. (1953) 28 December 2020閲覧。
- ^ Choo, Sungjae (2007). “The Cases of International Standardization of Sea Names and Their Implications for Justifying the Name East Sea”. Journal of the Korean Geographical Society 42 (5): 751; Table 3, footnote 15 August 2012閲覧。.
- ^ “2002 Draft of Limits of Oceans and Seas”. IHO. 25 May 2016閲覧。
- ^ Room, Adrian (2006). “St George's Channel”. Placenames of the world: origins and meanings of the names for 6,600 countries, cities, territories, natural features, and historic sites. McFarland. p. 326. ISBN 978-0-7864-2248-7 18 September 2010閲覧。
- ^ Taylor, Isaac (1896). “St. George's Channel”. Names and their histories, alphabetically arranged as a handbook of historical geography and topographical nomenclature. Rivington, Percival. p. 243 18 September 2010閲覧。