シルヴィアに
『シルヴィアに』(An Silvia)作品106-4、D.891は、オーストリアの作曲家フランツ・シューベルトによる歌曲。イングランドの劇作家ウィリアム・シェイクスピアの戯曲『ヴェローナの二紳士』の劇中歌の詩をエドゥアルト・フォン・バウエルンフェルトがドイツ語訳したものに作曲した。
シューベルト自身はただ単に『歌』(Gesang)と自筆譜に記しているが、通常は歌いだしの『シルヴィアって誰?』(Was ist Silvia?)か、あるいは『シルヴィアに』の題名で呼ばれる(なお、シルヴィアのスペリングはSilviaとSylviaの2通りが存在する)。
オリジナルの英語の詩には、エリック・コーツ、ジェラルド・フィンジ、ロジャー・クィルターが曲を付けている。P. D. Q. バッハことピーター・シックリ―は合唱曲にしている(「Liebeslieder Polkas」に収録)。
概要
[編集]村娘のシルヴィアを讃える、明るく、屈託のない詩である。シューベルトは3節の有節歌曲とし、のどかな田園風の音楽をつけた。イ長調4/4拍子、ギターかマンドリンを模したような単純な伴奏に乗って、軽やかに、シルヴィアへの賛辞が歌われる。
原詩全文
[編集]An Silvia
- William Shakespeare / Eduard von Bauernfeld
Was ist Silvia, saget an,
daß sie die weite Flur preist?
Schön und zart seh ich sie nahn;
auf Himmelsgunst und Spur weist,
daß ihr alles untertan.
Ist sie Schön und gut dazu?
Reiz labt wie milde Kindheit;
ihrem Aug eilt Amor zu,
dort heilt er seine Blindheit,
und verweilt in Süßer Ruh'.
Darum Silvia tön, o Sang,
der holden Silvia Ehren;
jeden Reiz besiegt sie lang,
den Erde kann gewähren:
Kränze ihr und saitenklang!