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Wikipedia:外来語表記法/エジプト語

このページでは、ヒエログリフで書かれた古代エジプト語を別の表記体系で書き表すときの目安を提示します。表記法は、翻字 (Translitration)化、英語化 (Anglization)、カタカナ化がありますが、この中でもカタカナ化は統一されておらず、なんと同一学者でも時により表記法が異なり、様々なバリエーションが生み出されてきたため混乱のもととなっています。この文書では翻字化と英語化の目安を提示します。カタカナ化に関しては論争が多いため現在は掲載していません。

翻字

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意味の切れ目までハイフンで繋ぐ。翻字を見た時にどこで意味が切れているのかを把握しやすくするためです。特に末期王朝時代の長い称号などになると、すべてを繋げると見づらくなってしまいます。この例ではMdCを用いていますが、必ずしもこれを用いなければならないわけではありません。

付記(意味)
wAH-nsyt mi-ra m-pt 訳:Enduring of Kingship like Ra in the sky. (この場合はmi-ra-m-ptとしてもよい)

特殊記号を用いる時

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1.等位接続詞(~の、~による)の"n"は前と接続させ".n"という用法で用いる。
付記
stp.n-ra chosen of Ra
2.人称代名詞(接尾・従属代名詞)は、"="を用いてつなげる
付記
Xt=f His body
Ax.t.n-hy=s Effective for her husband
3.両数形、複数形、女性形語尾
付記
tA.wy Two Lands(男性名詞)
sn.ty Two sisters(女性名詞)
xpr.w manifestations(forms)
anx.t 3子音強動詞"anx"女性形

ただし、元から女性名詞で語尾にtを持つものは.tとしません。

付記
HAt front

Nefer neferu aten のように抽象名詞化しているnfrwの扱いについては考え中です。

以上をすべて適用すると、以下のようになります。

付記
kA-nxt, mri-ra, rdi.n=s(w)-itm-Hr-nst=f-r-grg-tA.wy Strong bull, beloved of Ra, whom Atum put him upon his throne in order to found Two Lands[注釈 1](オソルコン1世ホルス名)

何もしないと以下のようになりますが、上に挙げた方がよりわかりやすいでしょう。

付記
kꜢ-nḫt-mri-rꜤ-rdi.n-s(w)-itm-ḥr-nst.f-r-grg-tꜢwi

英語化

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基本的に間に"e"を挿入して英語化します。ここにおいてはaとAとの区別はつけません。

  • nfr→nefer
  • s.Htp→sehotep(Htpはhotep, hetepと二通りありますがどちらも広く普及しているとみなされており、どちらを用いても構いません)
  • s.mnx→semenekh

特殊

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  • Dsr→djeser, nTr→netjer, aSA→asha, zmA→sema

例外

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  • anx→ankh(×anekh)
  • s.anx→sankh(×seankh)、使役動詞の語頭が母音の場合。
  • imn→Amen(神名の場合は、語頭のiをAに変える場合がある(itn→Aten, inpw→Anpw)。)

後に母音が来てしまう場合

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その場合には、"e"を挿入しません。

  • mrit→merit(×mereit)
  • hrw herw(×herew)

脚注

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注釈

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  1. ^ なお、Hrは場所(~の上に)、rは目的(~のために)を表す前置詞です(吉成 (1999), pp.116~117)。
  2. ^ ちなみにnxtは語尾tでありながら男性名詞である数少ない例外の一つです。