文化的人工物
文化的人工物 (ぶんかてきじんこうぶつ、英語: cultural artifact)は、社会科学分野、特に人類学[1]、民族学[2]、社会学[要出典]において、人間が制作したもので、それを創作し、利用する人々の文化にまつわる情報を提供するものを指す用語。英語では「artifact」という綴りが北アメリカ英語では好まれ、他の地域では「artefact」が好まれる。
日本語では「文化的人工物」[3][4]のほか、「文化的工芸品」、「文化遺物」といった訳語が当てられることがある[5]。
文化的人工物は、類似した、しかしより狭義のニュアンスを帯びた社会的人工物 (social artifact) や考古学的遺物 (archaeological artifact ) に対して、より一般的な用語である。文化的人工物には、遺跡からの出土品なども含まれるが、近現代の社会における文物である、社会的人工物も含まれる。例えば、人類学的文脈からすれば、17世紀の旋盤、ファイアンス焼きの陶磁器、テレビなどは、いずれもそれぞれが製造され、使用された当時の時代についての情報を豊富に提供するものである。
文化的人工物は、古代のものであれ、現代のものであれ、その背景にある技術的諸過程や、経済的発展、社会構造、その他の諸々の側面についての洞察の契機を提供するものとして重要である。
哲学者のマルクス・W・ワルトフスキーは、人工物を以下の三つに分類した[6]。
- 一次人工物 (primary artifacts):生産に用いられるもの(ハンマー、フォーク、ランプ、カメラなど)
- 二次人工物 (secondary artifacts):一次人工物に関連するもの(カメラのユーザー・マニュアルなど)
- 三次次人工物 (tertiary artifacts):二次人工物を表象したもの(カメラのユーザー・マニュアルを表現した彫刻など)
社会的人工物は、考古学的遺物とは異なり、必ずしも物理的な実体を伴わず(例えば、仮想アーティファクト)、歴史的価値をもつ必要もない(数秒前に生み出されたものであっても、社会的人工物となり得る)。
脚注
- ^ Richard J. Watts (1981). The pragmalinguistic analysis of narrative texts. Gunter Narr Verlag. ISBN 978-3-87808-443-3
- ^ Rob Amery. Warrabarna Kaurna!
- ^ 山住勝広. “創造的な学習活動のためのクロス・スクール・ワーキング” (PDF). 関西大学. 2016年11月19日閲覧。
- ^ 片桐準二. “博士学位論文 文脈アプローチによる言語学習ビリーフの形成・変容過程の質的研究” (PDF). 名古屋大学. 2016年11月19日閲覧。
- ^ “英辞郎 on the WEB: cultural artifact”. アルク. 2016年11月19日閲覧。
- ^ Wartofsky, Marx W. (1979). Models: Representation and scientific understanding. Dordrecht, The Netherlands: Reidel.
関連項目
関連文献
- Habib, Laurence, and Line Wittek (2007). The portfolio as artifact and actor. Mind, Culture and Activity, Vol. 14, No. 4, ISSN 1074-9039.
外部リンク
- Hilpinen, Risto. "Artifact". Stanford Encyclopedia of Philosophy.