コンテンツにスキップ

ファラオズ・アイランド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
テムズコートから見たファラオズ・アイランド

ファラオズ・アイランド (英語: Pharaoh's Island) はイングランドサリー州テムズ川にある島である。シェパートン・ロックの上流にある。島名にちなみ、エジプト風の名前がついた住宅が多数ある。

地理

[編集]

サリー州シェパートンの近くにある、全長280メートルほどの島である[1]。シェパートン・ロックの上流にある[2]。細長く、「カヌーの形[3]」の島だと言われている。ボートでのみアクセスできる[2]

歴史

[編集]
ファラオズ・アイランドの岸

ホレーショ・ネルソン

[編集]

イギリス財務省が購入し、1798年のナイルの海戦の後にホレーショ・ネルソン提督に贈与したと言われている[4]。ネルソンはこの島を釣り用の別荘として使っていた[5]。19世紀頃まではこの島は「ドッグ・エイト」(Dog Ait「犬の島」、"ait" は「川中島」という意味)と呼ばれていた[6]

宅地開発

[編集]

保守党庶民院議員高等法院判事であったサー・シリル・アトキンソンが1903年にこの島に最初の大きな邸宅を建設した[7]。この頃から島の名前も「ドッグ・エイト」ではなく「ファラオズ・アイランド」と呼ばれるようになったという[8]。島の改名はネルソンがエジプトで戦争に勝利したことにちなむものだったと言われている[9]。アトキンソンはエジプト学に関心があったため、新しく建てた自宅を「スフィンクス」と名付けた[10]

2019年頃までには、スフィンクスの他に個別にボート係留設備を有する22棟の家がこの地域に建てられた[9]。ほとんどの家には「ピラミッド」「オサイリス」「ルクソール」など、エジプト風の名前がつけられている[9]

2011年1月の事故

[編集]

2011年1月、島の人々を乗せた小型のディンギーが転覆して2名が死亡した。死者は地理教育の専門家でケンブリッジ大学の教員をつとめた後に退職していたレックス・ウォルフォード(OBE)と音楽プロデューサーのキース・ロードであった[11][12]

メディアへの登場

[編集]
ファラオズ・アイランドの風景

映画監督であるジョン・ブアマンの家族はこの島に住んでおり、このためファラオズ・アイランドは監督の半自伝的な作品である『戦場の小さな天使たち』(1987) と『クィーン アンド カントリー英語版』(2014) の舞台となっている[13][14]

著名な出身者・居住者

[編集]

俳優であったイアン・ヘンドリーとジャネット・マンローの夫妻がこの島に住んでいたことがある[15]

脚注

[編集]
  1. ^ O'Brien, Christy (2022年9月3日). “Surrey island that's like being in Egypt and once home to famous actors” (英語). SurreyLive. 2023年4月29日閲覧。
  2. ^ a b The best riverside houses on the market in the UK” (英語). The Week UK (2018年4月6日). 2023年4月29日閲覧。
  3. ^ The boy I'll never forget” (英語). The Independent (2011年1月11日). 2023年4月29日閲覧。
  4. ^ The Thames Path, page 75, Leigh Hatts, Cicerone Press Limited, 3rd Ed. 2016 (1st. Ed. 1998)
  5. ^ Living with the Nelson touch”. The Guardian (29 June 2003). 25 January 2018閲覧。
  6. ^ Armitage, Jill (2022). Secret Shepperton : England's Hollywood. Stroud: Amberley Publishing. p. n.p.. ISBN 978-1-3981-0717-5. OCLC 1308598746. https://www.worldcat.org/oclc/1308598746 
  7. ^ Luxury riverside home for sale but you can only reach it by boat.”. SurreyLive (25 June 2018). 5 September 2018閲覧。
  8. ^ Armitage, Jill (2022). Secret Shepperton : England's Hollywood. Stroud: Amberley Publishing. p. n.p.. ISBN 978-1-3981-0717-5. OCLC 1308598746. https://www.worldcat.org/oclc/1308598746 
  9. ^ a b c Alexandra Fraser (2019年2月2日). “A house on the island in the Thames gifted to Lord Nelson, with a heated swimming pool and a 90ft mooring” (英語). Country Life. 2023年4月29日閲覧。
  10. ^ Shepperton's Islands”. Shepperton Matters (3 June 2013). 5 September 2018閲覧。
  11. ^ Mike Younger and Joan Whitehead (10 March 2011). “Rex Walford obituary”. The Guardian. https://www.theguardian.com/education/2011/mar/10/rex-walford-obituary 29 July 2013閲覧。 
  12. ^ Harrison, David (9 January 2011). “The Sunday lunch on a river island that ended in tragedy”. 2023年4月29日閲覧。
  13. ^ O'Brien, Christy (5 September 2022). “Surrey island that's like being in Egypt and once home to famous actors and scene of boat tragedy”. Surrey Live. https://www.getsurrey.co.uk/whats-on/whats-on-news/surrey-island-thats-like-being-24922040 16 March 2023閲覧。 
  14. ^ Boorman, John (2020). Conclusions. London. ISBN 978-0-571-35379-8. OCLC 1129705627. https://www.worldcat.org/oclc/1129705627 
  15. ^ Ian Hendry Rowing Home Across The Thames To Sphinx, Pharoah's Island, Shepperton”. Ian Hendry.com. 25 January 2018閲覧。

外部リンク

[編集]

座標: 北緯51度22分57秒 西経00度27分53秒 / 北緯51.38250度 西経0.46472度 / 51.38250; -0.46472