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'''マツバラン目'''(-もく、Psilotales)は[[シダ植物]]の分類群。[[マツバラン科]]と[[イヌナンカクラン科]](マツバラン科に含めることもある)からなる。
'''マツバラン目'''(-もく、Psilotales)は[[シダ植物]]の分類群。[[マツバラン科]]と[[イヌナンカクラン科]](マツバラン科に含めることもある)からなる。


[[葉]]はなく、[[茎]]が[[分枝 (生物学)|分枝]]しながら伸び、[[胞子嚢]]をつける。イヌナンカクラン科では先端の茎が扁平で、葉のように見える。
根がなく、地下部は枝分かれした地下茎からなる。[[葉]]はなく、[[茎]]が[[分枝 (生物学)|分枝]]しながら伸び、[[胞子嚢]]をつける。ただし、茎には短い針状の突起があり、これを小葉と見る向きもある。イヌナンカクラン科では先端の茎が扁平で、葉のように見える。


従来の形態学的研究からは、分類学的位置は明確でなかった。原始的な[[維管束植物]]とされる[[化石]]植物のリニア(Rhynia)に近縁と考えられたこともある。現在は[[ヒカゲノカズラ植物門]](小葉類)に含める考えもある。
従来の形態学的研究からは、分類学的位置は明確でなかった。原始的な[[維管束植物]]とされる[[化石]]植物のリニア(Rhynia)に近縁と考えられたこともある。そのため、リニアやそれに類する植物を[[古生マツバラン類]]と呼んだこともある。現在は[[ヒカゲノカズラ植物門]](小葉類)に含める考えもある。


近年では[[分子系統解析]]により、従来[[シダ植物門]]に含められていた[[ハナヤスリ]](見かけはシダに似ているが形態的に異なる面が多い)に近縁とする考えが有力になっている。[[マツバラン綱]](Psilotopsida)または[[マツバラン植物門]](Psilotophyta)は従来マツバラン目のみから構成されていたが、ハナヤスリ科をこれらに含める考えもある。
近年では[[分子系統解析]]により、従来[[シダ植物門]]に含められていた[[ハナヤスリ]](見かけはシダに似ているが形態的に異なる面が多い)に近縁とする考えが有力になっている。[[マツバラン綱]](Psilotopsida)または[[マツバラン植物門]](Psilotophyta)は従来マツバラン目のみから構成されていたが、ハナヤスリ科をこれらに含める考えもある。


==参考文献==
==参考文献==

2007年9月7日 (金) 02:31時点における版

マツバラン目(-もく、Psilotales)はシダ植物の分類群。マツバラン科イヌナンカクラン科(マツバラン科に含めることもある)からなる。

根がなく、地下部は枝分かれした地下茎からなる。はなく、分枝しながら伸び、胞子嚢をつける。ただし、茎には短い針状の突起があり、これを小葉と見る向きもある。イヌナンカクラン科では先端の茎が扁平で、葉のように見える。

従来の形態学的研究からは、分類学的位置は明確でなかった。原始的な維管束植物とされる化石植物のリニア(Rhynia)に近縁と考えられたこともある。そのため、リニアやそれに類する植物を古生マツバラン類と呼んだこともある。現在はヒカゲノカズラ植物門(小葉類)に含める考えもある。

近年では分子系統解析により、従来シダ植物門に含められていたハナヤスリ類(見かけはシダに似ているが形態的に異なる面が多い)に近縁とする考えが有力になっている。マツバラン綱(Psilotopsida)またはマツバラン植物門(Psilotophyta)は従来マツバラン目のみから構成されていたが、ハナヤスリ科をこれらに含める考えもある。

参考文献

  • Soltis et al.: The Phylogeny of Land Plants Inferred from 18S rDNA Sequences: Pushing

the Limits of rDNA Signal?. Bolecular Biology and Evolution 16(12) 1774 (1999)[1]

  • Smith et al.: A classification for extant ferns. Taxon 55(3) 705 (2006)[2]