「オレステース」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
m +commons
編集の要約なし
3行目: 3行目:
'''オレステス'''([[ギリシア語|希]]:{{lang|el|Ὀρέστης}})は[[イリアス]]に登場するギリシャ軍の総大将[[アガメムノン]]の息子で[[ミュケナイ]]の王子。殺伐とした復讐譚[[オレステイア]]の主人公で、[[イリアス]]を巡る[[因果応報]]を精算する人物として描かれている。
'''オレステス'''([[ギリシア語|希]]:{{lang|el|Ὀρέστης}})は[[イリアス]]に登場するギリシャ軍の総大将[[アガメムノン]]の息子で[[ミュケナイ]]の王子。殺伐とした復讐譚[[オレステイア]]の主人公で、[[イリアス]]を巡る[[因果応報]]を精算する人物として描かれている。


子供の頃に父[[アガメムノン]]を殺した母[[クリュタイムネストラ]]と情夫[[アイギストス]]に命を狙われるが、姉[[エレクトラ]]の手引きで脱出する。成長したオレステスは従兄弟の[[ピュラデス]]を伴い父の仇である[[アイギストス]]を殺し、次いで息子に命乞いをする実母[[クリュタイムネストラ]]を手にかけた。しかしこの後、母殺しの罪によって復讐の女神たちの呪いを受け狂人となってしまう。だが、太陽神アポロンの助けを借りた[[エレクトラ]]によって正気を取り戻し、自分の犯した殺人の正否を問うため、アレオパゴスの丘で神々の裁判を受ける。神々の意見は二つに割れたが、[[アポロン]]と[[アテナ]]がオレステスを弁護したため無罪となる。
子供の頃に母[[クリュタイムネストラ]]とその情夫[[アイギストス]]によって父[[アガメムノン]]を殺され、自身も命を狙われるが、姉[[エレクトラ]]の手引きで脱出する。成長したオレステスは従兄弟の[[ピュラデス]]を伴い父の仇である[[アイギストス]]を殺し、次いで息子に命乞いをする実母[[クリュタイムネストラ]]を手にかけた。しかしこの後、母殺しの罪によって復讐の女神たちの呪いを受け狂人となってしまう。だが、太陽神アポロンの助けを借りた[[エレクトラ]]によって正気を取り戻し、自分の犯した殺人の正否を問うため、アレオパゴスの丘で神々の裁判を受ける。神々の意見は二つに割れたが、[[アポロン]]と[[アテナ]]がオレステスを弁護したため無罪となる。


神々の許しを得たオレステスは、さらなる復讐の旅に出かけまず自分の義理の伯母でありトロヤ戦争のきっかけとなった美女ヘレネを殺した。殺害理由は、父アガメムノンを10年に及ぶ戦争に連れ出し、家族崩壊の原因を作った不義の女を成敗するというものだった。さらに、幼少時の自分の恋人であったヘレネの娘[[ヘルミオネ]]が[[アキレウス]]の息子[[ネオプトレモス]]に嫁いでいることを知ると、彼に決闘を申し込み殺した。[[ネオプトレモス]]は、[[トロイア戦争]]で[[トロイア]]の王[[プリアモス]]を殺し、勇将[[ヘクトル]]の遺児[[アステュアナクス]]を城壁の外に投げ捨て、寡婦[[アンドロマケ]]を戦利品(奴隷)にした人物である。そのため、ヘレネと同様にトロイア戦争での自身の行いの報いを、オレステスの刃によって受ける形になっている。
神々の許しを得たオレステスは、さらなる復讐の旅に出かける。まず自分の義理の伯母でありトロヤ戦争のきっかけとなった美女ヘレネを殺した。殺害理由は、父アガメムノンを10年に及ぶ戦争に連れ出し、家族崩壊の原因を作った不義の女を成敗するというものだった。さらに、幼少時の自分の恋人であったヘレネの娘[[ヘルミオネ]]が[[アキレウス]]の息子[[ネオプトレモス]]に嫁いでいることを知ると、彼に決闘を申し込み殺した。[[ネオプトレモス]]は、[[トロイア戦争]]で[[トロイア]]の王[[プリアモス]]を殺し、勇将[[ヘクトル]]の遺児[[アステュアナクス]]を寡婦[[アンドロマケ]]の手から奪い城壁の外に投げ捨て惨殺、[[アンドロマケ]]を戦利品(奴隷)にした人物である。そのため、ヘレネと同様にトロイア戦争での行いの報いを、オレステスの刃によって受ける形になっている。


その後、オレステスは[[ミュケナイ]]に戻り王となり、スパルタの王である義父[[メネラス]]の死後は[[スパルタ]]王も兼任した。
その後、オレステスは[[ミュケナイ]]に戻り王となり、スパルタの王である義父[[メネラス]]([[ヘレネ]]の夫)の死後は[[スパルタ]]王も兼任した。


{{CommonscatN|Orestes}}
{{CommonscatN|Orestes}}

2007年5月24日 (木) 08:53時点における版

The Remorse of Orestes - ウィリアム・アドルフ・ブグロー (1862)

オレステスὈρέστης)はイリアスに登場するギリシャ軍の総大将アガメムノンの息子でミュケナイの王子。殺伐とした復讐譚オレステイアの主人公で、イリアスを巡る因果応報を精算する人物として描かれている。

子供の頃に母クリュタイムネストラとその情夫アイギストスによって父アガメムノンを殺され、自身も命を狙われるが、姉エレクトラの手引きで脱出する。成長したオレステスは従兄弟のピュラデスを伴い父の仇であるアイギストスを殺し、次いで息子に命乞いをする実母クリュタイムネストラを手にかけた。しかしこの後、母殺しの罪によって復讐の女神たちの呪いを受け狂人となってしまう。だが、太陽神アポロンの助けを借りたエレクトラによって正気を取り戻し、自分の犯した殺人の正否を問うため、アレオパゴスの丘で神々の裁判を受ける。神々の意見は二つに割れたが、アポロンアテナがオレステスを弁護したため無罪となる。

神々の許しを得たオレステスは、さらなる復讐の旅に出かける。まず自分の義理の伯母でありトロヤ戦争のきっかけとなった美女ヘレネを殺した。殺害理由は、『父アガメムノンを10年に及ぶ戦争に連れ出し、家族崩壊の原因を作った不義の女を成敗する』というものだった。さらに、幼少時の自分の恋人であったヘレネの娘ヘルミオネアキレウスの息子ネオプトレモスに嫁いでいることを知ると、彼に決闘を申し込み殺した。ネオプトレモスは、トロイア戦争トロイアの王プリアモスを殺し、勇将ヘクトルの遺児アステュアナクスを寡婦アンドロマケの手から奪い城壁の外に投げ捨て惨殺、アンドロマケを戦利品(奴隷)にした人物である。そのため、ヘレネと同様にトロイア戦争での行いの報いを、オレステスの刃によって受ける形になっている。

その後、オレステスはミュケナイに戻り王となり、スパルタの王である義父メネラオスヘレネの夫)の死後はスパルタ王も兼任した。

このテンプレートは廃止により使われていません。{{Commonscat}}に張り替えてください。