ラッセル・クラーク (ギャング)
ラッセル・リー・クラーク Russell Lee Clark | |
|---|---|
| 生誕 |
1898年8月9日 アメリカ合衆国・インディアナ州ビーゴ郡 |
| 現況 | 死没(70歳) |
| 死没 |
1968年12月24日 アメリカ合衆国・ミシガン州デトロイト |
| 別名 | ブービー |
| 職業 | ギャング |
| 罪名 | 銀行強盗 |
| 有罪判決 | 終身刑(1968年に健康上の理由で仮釈放) |
| 収監場所 | オハイオ州刑務所 |
ラッセル・クラーク(Russell Lee Clark,1898-1968)は1930年代のアメリカ合衆国のギャング。1933年10月から1934年1月に逮捕されるまでの3ヶ月間はデリンジャーギャングの主要メンバーの1人だった。
略歴[編集]
生い立ち[編集]
1898年8月9日、インディアナ州ビーゴ郡で生まれる。1919年に海兵隊を不名誉除隊し、翌年に強盗を犯して彼の犯罪歴が始まった[1]。1926年にイリノイ州で密造酒業者2名を誘拐し、インディアナ州では殺人容疑がかけられた。
さらに翌年インディアナ州北東部での複数の銀行強盗を行い逮捕され、20年の禁固刑を言い渡された[2]。
刑務所の仲間[編集]
収容先のインディアナ州刑務所でハリー・ピアポント、チャールズ・マクレイ、ジョン"レッド"・ハミルトン、ジョン・デリンジャーらと知り合った。陽気で気立ての良い性格のクラークは人気者になり「ブービー」 ”Boobie“(冗談好きな男を表す当時の俗語)という愛称で呼ばれるが、看守には反抗的で脱走に3度失敗し1929年に起きた囚人のハンガーストライキを先導した1人になった[3]。
1933年5月にデリンジャーが仮釈放され、デリンジャーは仲間を解放してやろうと刑務所に拳銃を差し入れた。1933年10月、クラークを含む9名がインディアナ州刑務所を脱獄した。
すぐにデリンジャーと合流するはずだったが彼は4日前に逮捕されていた。ピアポントはクラークとマクレイらを連れて逃走資金を得るため銀行を襲い、その後オハイオ州ライマの拘置所を襲ってデリンジャーを解放した。その際ピアポントとマクレイは保安官を殺害した。
デリンジャーギャングの形成[編集]
デリンジャーを救出した数日後、彼らはインディアナ州の2つの警察署から武器と弾薬、防弾チョッキなどを強奪した。
デリンジャーギャングの最初の銀行強盗は1933年10月23日のインディアナ州グリーンキャッスルだがここではクラークは参加しておらず、その次の11月のウィスコンシン州ラシーンから加わった。この時点でデリンジャー、ピアポント、ハミルトン、マクレイに次ぐ「公共の敵No,5」にランクされた[4]。マスコミは彼らを『デリンジャーギャング』と呼ぶようになった。
クリスマスをフロリダ州デイトナビーチで過ごしたあと、クラークと恋人のオパール・ロング（ピアポントの恋人メアリー・キンダーの妹）はアリゾナ州ツーソンに向かった。デリンジャーらは1月15日にイーストシカゴで銀行強盗を働いたあと、ツーソンでクラークと合流した。
ホテル・コングレスの火災[編集]
彼らはツーソンで貸家を借りてしばらく隠れる計画だったが、貸家は床のワックスをかけたばかりだったので数日間ホテル・コングレスに泊まることにした[5]。ところが滞在して2日目の1934年1月22日の朝、ホテルの地下ボイラー室から火災が発生した。
3階に泊まっていたクラークとマクレイははしご車で救助され、銃や現金が入ったカバンを消防士に運び出して貰った[6]。クラークは2人の消防士に気前良く12ドル(現在の250ドル)を渡すのだが、高額な謝礼と重たいカバンが気になった消防士は署に戻って犯罪誌 ”True Detective”のバックナンバーを読み返し、クラークとマクレイの手配写真を見つけた[7]。
報告を受けたツーソン警察は彼らを尾行し、最初に貸家にいるクラークを取り押さえた。彼は激しく抵抗し銃を取ろうとしたため、拳銃で頭を殴られ気を失ったと伝えられている。
それから3日以内に全員が逮捕された。クラーク、ピアポント、マクレイの3人は保安官殺害の裁判を受けるためアイダホ州に移された。デリンジャーはインディアナ州に引き渡された。
裁判～投獄の試み[編集]
1934年2月14日、裁判が始まった。クラークは自分の裁判だというのに興味を示さず法廷で大きなあくびをして居眠りしたという。判決はピアポントとマクレイに死刑、クラークに終身刑が言い渡された。
オハイオ州刑務所に入れられたピアポントとマクレイは脱獄を計画した。石鹸と靴墨でリボルバー2丁を自作し、1934年9月22日の10時半、食事を運びに来た看守にリボルバーを突き付け脱獄を決行した。同じ房の死刑囚6名を誘い出し、クラークも連れ出そうとしたがクラークは自ら独居房に引き返した。すぐに武装した看守がやって来てマクレイを射殺、ピアポントは重傷を負った。ピアポントは翌月死刑に処された[8]。
死亡[編集]
クラークは34年間をオハイオ州刑務所で過ごし、1968年8月14日に70歳で仮釈放された。しかし既に末期の癌を患っており、4ヶ月後のクリスマスイブにデトロイトの妹の家で死亡した[9]。
ミシガン州トロイのホワイトチャペル記念公園墓地に墓標もないまま埋葬されている。
登場する作品[編集]
- 「デリンジャー」”Dillinger” 演 - デヴィッド・ニードルフ（1991年のテレビ映画）
脚注[編集]
出典[編集]
- ^ “名前。生年。死亡年。「Find a Grave」 メモリアル”. ja.findagrave.com. 2024年3月25日閲覧。
- ^ “Russell Clark” (英語). Babyface nelson journal. 2024年3月25日閲覧。
- ^ “Russell Clark” (英語). Babyface nelson journal. 2024年3月25日閲覧。
- ^ “名前。生年。死亡年。「Find a Grave」 メモリアル”. ja.findagrave.com. 2024年3月25日閲覧。
- ^ Vega, Alicia (2019年1月18日). “How bad boy John Dillinger put Tucson on the map” (英語). This is Tucson. 2024年3月25日閲覧。
- ^ Verdugo, Elvia (2024年1月13日). “John Dillinger's eventful capture in Tucson: the history and how it's remembered today” (英語). This is Tucson. 2024年3月25日閲覧。
- ^ hradmin (2021年6月1日). “Dillinger's Daring Escape - The History Reader” (英語). The History Reader. 2024年3月25日閲覧。
- ^ Writer, Staff. “Columbus Mileposts: Sept. 22, 1934 | Fake gun doesn't wash with guards” (英語). The Columbus Dispatch. 2024年3月25日閲覧。
- ^ “名前。生年。死亡年。「Find a Grave」 メモリアル”. ja.findagrave.com. 2024年3月25日閲覧。