ヘキサシアニドコバルト(III)酸カリウム
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ヘキサシアニドコバルト(III)酸 カリウム | |
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ヘキサシアニドコバルト(III)酸カリウム | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 13963-58-1 |
特性 | |
化学式 | K3[Co(CN)6] |
モル質量 | 332.335 |
外観 | 黄色固体 |
水への溶解度 | 水に極めて易溶[1] |
関連する物質 | |
その他の陽イオン | ヘキサシアニド鉄(III)酸カリウム |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
ヘキサシアニドコバルト(III)酸カリウムは、化学式K3[Co(CN)6]の無機化合物である。
製法
[編集]ヘキサシアニドコバルト(III)酸カリウムは塩化コバルトとシアン化カリウムの反応により得られ、反応中にCo(II)がCo(III)に酸化される[2]。:
- CoCl2 + 5 KCN → K3[Co(CN)5] + 2 KCl
酸素が存在する場合、
- 2 K3[Co(CN)5] + O2 → K6[(CN)5CoOOCo(CN)5]
- K6[(CN)5CoOOCo(CN)5] + 2 KCN → 2 K3[Co(CN)6] + K2O2
不活性気体中で、
- 2 K3[Co(CN)5] + 2 KCN + 2 H2O —煮沸→ 2 K3[Co(CN)6] + H2 + 2 KOH
物理的性質
[編集]ヘキサシアニドコバルト(III)酸カリウムは水に非常に溶け、エタノールには不溶でありまた反磁気を呈する。
化学的特性
[編集]酸との反応
[編集]ヘキサシアニドコバルト(III)酸カリウムの水溶液は光照射下で次第に分解する[3]:
- K3[Co(CN)6] + H2O → K3[Co(CN)5OH] + HCN
ヘキサシアニドコバルト(III)酸カリウムは、濃硫酸と反応して一酸化炭素を放出する :
- 2 K3[Co(CN)6] + 11 H2SO4(濃) + 13 H2O → 3 K2SO4 + 6 (NH4)2SO4 + 2 CoSO4 + 11 CO↑ + CO2↑
また稀硫酸と作用しシアン化水素を放出する:
- 2 K3[Co(CN)6] + 6 H2SO4(稀) + 2 H2O → 3 K2SO4 + 2 CoSO4 + NH4HSO4 + 11 HCN↑ + CO2↑
過量の硝酸と反応し、ヘキサシアニドコバルト(III)酸を生成する:
- K3[Co(CN)6] + 3 HNO3 —Δ→ H3[Co(CN)6] + 3 KNO3
硝酸との反応は、条件を変更した場合、以下のように進行する:
- 3 K3[Co(CN)6](濃) + 9 HNO3 + H2O —Δ→ KH2Co3(CN)11·H2O(紅色) + 8 KNO3 + 6 HCN + HOCN + NO2↑
塩溶液との反応
[編集]ヘキサシアニドコバルト(III)酸カリウムは、幾つかの金属の塩溶液と反応して沈澱を生成する:[3]
- 2 K3[Co(CN)6] + 3 ZnSO4 → Zn3[Co(CN)6]2↓(白色) + 3 K2SO4
- 2 K3[Co(CN)6] + 3 FeSO4 → Fe3[Co(CN)6]2↓(黄色) + 3 K2SO4
- 2 K3[Co(CN)6] + 3 CuSO4 → Cu3[Co(CN)6]2↓ + 3 K2SO4
- K3[Co(CN)6] + 3 AgNO3 → Ag3[Co(CN)6]↓ + 3 KNO3