パーレー万国史
(パーレー萬國史から転送)
『パーレー万国史』(パーレーばんこくし、Peter Parley's Universal History, on the Basis of Geography)は、1837年に初版が出版され、少なくとも1886年まで版を重ねた、世界各国の歴史を取り上げた子ども向けの書籍[1]。
日本語では、様々な表記の揺れがあり、『パーレーの万国史』[2]のほか、『巴来万国史』、『パアレイ万国史』、『パーリー氏万国史』などの表記による言及がある[3]。
概要[編集]
明治時代の日本において、初期には歴史書として、後には英語の教科書、副読本として広く親しまれ、多数の翻刻本、翻訳書などが出版され、大きな影響力をもった[4]。「当時の日本でもっともよく読まれた教科書の一冊」であったとされる[5]。
成立[編集]
ピーター・パーレー (Peter Parley) は、サミュエル・グリスウォルド・グッドリッチが大衆向けの歴史書、啓蒙書などを出版する際に用いていた筆名であり[6]、本書も多数あるピーター・パーレーもののひとつとして出版された[7]。
しかし、実際に執筆にあたったのは、グッドリッチと関係のあり、当時まだ無名であった作家ナサニエル・ホーソーンで、グッドリッチは、ホーソーンが姉エリザベスの支援を受けて書き上げた原稿を100ドルで買い取り、自分の筆名を冠して出版したのだとされている[8]。
世界の歴史を取り扱ってはいるが、内容は一貫してキリスト教第一主義の観点が貫かれている[9]。
脚注[編集]
参考文献[編集]
- 馬本勉「『パーレー万国史』独習書に関する研究」(PDF)『英語と英文学と:田村道美先生退職記念論文集』第1巻、2014年、53-62頁、CRID 1010282257181924356、国立国会図書館書誌ID:027337874。
- 佐藤孝己「S.G.グッドリッチと「パーレーの万国史」」『英学史研究』第1970巻第2号、日本英学史学会、1970年9月、1-24頁、CRID 1390001205118577280、doi:10.5024/jeigakushi.1970.1、ISSN 03869490、国立国会図書館書誌ID:302721。
- 満井隆行「明治期の万国史教科書」『社会科教育研究』第1963巻第17号、日本社会科教育学会、1963年、52-53頁、CRID 1390282680749849856、doi:10.18992/socialstudies.1963.17_52、ISSN 0915-8154。