ノート:ネズミ
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齧歯類の大分類には、とにかく異論が多いので、なかなか難しいですね。 ウェブに上がっている情報ではどういう感じになっているか、ちょっと見てみようと思ったのですが、日本語環境に限って言えば、思っていた以上に貧困でした。たとえば、Google で「ネズミ上科」を検索したところ、ヒットはわずか6件のみでした(うち2件は Wikipedia 、1件は Inukawa 自身のサイト)。 そんなわけで、ちょっと裏づけが十分ではないかもしれないのですが、気になったことを2点挙げさせていただきます。
- 最近の齧歯類の分類法では、「上科」よりも1つ上の「下目」のレベルに重点を置く場合が多いのではないかと思います。本項の直上項目であるネズミ目の分類表は、英語版のen:Rodentから起こしたもののようですが、このen.ページは discussion に発言が1件しかなく、それ(分類の異同についての質問)に対するリプライがついていないところなどからも、意外に不活発なようで、特に最新の研究を踏まえたさまざまな議論に対する目配りが十分であるとは思われず、必ずしも情報の妥当性は当てにはできないような気がします。
- 上記を踏まえた上で、Myomorpha は英語版のように上科の水準ではなく、下目の水準でとらえて「ネズミ型(ネズミ形)下目」とするのが一般的なのではないかと思います(~morpha という分類名は、「~型(形)」という意味です)。トビネズミ上科やホリネズミ上科もこのネズミ型下目に含まれますから、あらためてこれを広義の「ネズミ」と相同とすれば、まず妥当な扱いと見えるかもしれません。しかし、どちらにせよアメリカトゲネズミやヨシネズミ、モルモットなどははずれてしまうので、いずれかの生物学的な分類群名で「ネズミ」という言葉を定義しようとするのは、やっぱり無理があるかな、という気もします。ちなみに、英語版では en:rat を、まずネズミ“属”の動物として定義した上で、「本当の『ネズミ』以外の小型の哺乳類たちもネズミと呼ばれる」としていますね。
- 参照:遠藤秀紀『哺乳類の進化』東京大学出版会, 2002, p.78,富田幸光ほか『絶滅哺乳類図鑑』丸善, 2002, p105