倉敷海底トンネル事故

「JX水島製油所海底トンネル掘削現場落盤事故」は2012年2月7日に岡山県倉敷市にあるJX日鉱日石エネルギーの石油精製工場にて発生した落盤事故である。

2012年2月7日午後0時半ごろ、岡山県倉敷市の水島コンビナート内のJX日鉱日石エネルギーの水島製油所の海底トンネルの掘削現場にて落盤事故が発生したと119番通報があった。

現場はJX日鉱日石エネルギーの水島製油所の中にある、直径10メートル、深さ30メートルの縦穴で、2010年-2013年の4年の工期で、合併した後の効率的な運用を促すために、水島コンビナートの西側の旧新日本石油の「A工場」と東側の旧ジャパンエナジーの「B工場」の2つの石油精製工場間を結ぶ長さ800メートルのパイプラインを敷設するために、直径5メートル、長さ820メートルの海底トンネルで対岸に向けてシールドマシンでの掘削工事を実施しており、この日は、直径およそ11メートルの縦穴を約30メートルの深さまで掘り、その後、直径4.5メートルの横穴をを140メートル進んだ付近で作業していて、横穴から漏れた海水が一瞬でトンネルの中を満たした後に、縦穴を抜けて、その為、上部3メートルまで海水が入り、午後0時53分頃には縦穴が水没、敷地内の道路に流れた。

この掘削作業は8時-17時と20時-翌日5時の2交代制で、作業内容としてはシールドマシンで掘った時に出される土砂をトロッコを使って運搬、そして、トンネルを補強するときにコンクリート製の板をトンネル内に貼りつけるといった作業を行っていた。

なお、完成した後は配管を行い、燃料や蒸気などを流すことにしていた。

海底トンネルの掘削工事が専門の岡山大学環境理工学部・教授の西垣誠は事故の原因について、「落盤が起きた地点は、トンネルにかかる水圧が高くなっていた可能性がある。」としたうえで、「コンクリートの型枠の隙間から水が漏れだした可能性や、掘削機が内壁を傷つけてしまい、水が入り込んだ可能性などが考えられる」としている。

事故当時はトンネル工事を行っていた、鹿島建設の下請け建設会社で、愛知県知多市にある一次下請けの「弘新建設」と、東京にある二次下請けの「弘栄建技」の30代-60代のシールド工の作業員、計6人が、B工場側の縦穴の底から西へ140メートル付近の海底で作業をしていた。このうち、作業員の1人はB工場側の入り口で作業をしていた時に、「危ない、逃げろ」という声を聞き、縦穴に設けられている階段を上がって、自ら脱出した。残る5人の作業員が行方不明。

行方不明の捜索は海水がトンネルの中に入り込み、縦穴の大半も水で塞がった状態だったため、岡山県警が潜水班を投入して捜索をしてきたが、事故現場は海水の視界が悪化しており、さらに、がれきが多く、2次被害の恐れが出てきたと判断し、7日15時30分に捜索を中断し、関係機関が今後の捜索について協議。

愛知県知多市にある「弘新建設」がこの現場での工事を始めたのは2011年からで、社員が行方不明の作業員3人の情報収集に追われたが、情報が入らないため、急きょ倉敷市に社員を派遣。