閉測地線

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数学微分幾何学および力学系の分野において、あるリーマン多様体上の閉測地線(へいそくちせん、: closed geodesic)とは、その多様体上の測地流の閉軌道の射影のことを言う。

定義[編集]

リーマン多様体 (M,g) において閉測地線は、計量 g についての測地線であり、周期的であるような曲線 である。

閉測地線は、変分原理によって特徴付けられる。M 上の滑らかな 1-周期曲線の空間とするとき、周期 1 の閉測地線は、次式で定義されるエネルギー函数 臨界点である。

が周期 p の閉測地線であるなら、再びパラメータ化された曲線 は周期 1 の閉測地線であり、したがって E の臨界点である。E の臨界点であるなら、各 に対して で定義される曲線 E の臨界点である。したがって、M 上のすべての閉測地線はエネルギー E の臨界点からなる無限列を生成する。

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通常の円形リーマン計量を伴う単位球面 上のすべての大圏は、閉測地線の一例である。すべての測地線が閉測地線であるような多様体は、数学関連の文献において綿密に調べられてきた。基本群がねじれを持たないようなコンパクト双曲曲面上で、閉測地線は、その曲面のフックス群英語版の元の非自明な共役類と一対一対応を持つ。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  • Besse, A.: "Manifolds all of whose geodesics are closed", Ergebisse Grenzgeb. Math., no. 93, Springer, Berlin, 1978.
  • Klingenberg, W.: "Lectures on closed geodesics", Grundlehren der Mathematischen Wissenschaften, Vol. 230. Springer-Verlag, Berlin-New York, 1978. x+227 pp. ISBN 3-540-08393-6