財政破綻

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財政破綻(ざいせいはたん、英:Economic_collapse)とは、政府が債務不履行に陥ることである。すなわち、政府が対外債務(国債、地方債のこと)の利払いや、元本償還ができなくなったことである。[1]

日本政府の財政破綻(国債の債務不履行)の可能性を否定する見解

1. 「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。」[2]と財務省のホームページには記載していて、政府が債務不履行で財政破綻する事を否定している。

2. 「政府には「通貨発行権」があります。その権限を行使すれば、いくらでもおカネをつくり出すことができるのです、円である限りにおいて。」[3]と記載していて、政府の財政破綻の可能性を否定している。

3. 「吉川洋や伊藤隆敏ら経済学者は、2003年に「政府債務のGDPが140% に達したが、このままだと200%を超える。 これは国家財政の事実上の破綻を意味すると 言ってよい。」と、財政破綻の意味も具体的 内容も示さないまま日本経済新聞の経済教室 で訴えた。 しかし、現在200%を超えたが、日本国債の長期金利は世界最低レベルできわめて低いまま推移しており、破綻の兆しなどどこにも 見えない。」[4]と記載して、債務残高対GDP比が増加し続けていても財政破綻の兆しもないと述べている。

4. MMT(現代貨幣理論)では、「自国通貨建てであれば、政府債務がどれだけ増加しても、政府は通貨発行で当該債務の償還が可能なため債務不履行(デフォルト)には陥らない。」としており、日本政府の財政破綻を否定している。

5. 日本円を作っているのは日本政府なのだから、自分で「作ることのできる日本円」を「返せなくなる」なんてことはありえない。どれだけ借金をしていても、返済を求められたときに自分で作って返せばそれで事足りるからだ。[5]

6. 無から行なう国債発行により得た政府預金を用いた財政出動は信用創造である。政府が信用創造すると企業などの民間銀行預金残高が増えるし、民間銀行の日銀当座預金が増える。民間銀行は日銀当座預金を用いて国債を購入する。日本銀行が民間銀行から国債を購入すると日本銀行は民間銀行に対して日銀当座預金を供給する事になる。民間銀行が国債を購入する資金は民間銀行が保有する日銀当座預金であり、日本銀行が供給している。日銀当座預金には金利が付かないので、民間銀行は金利を稼ぐために国債を日銀当座預金で購入する。だから、民間銀行が国債を購入しないという事はないので、新規国債が売れないということは発生しない。すなわち、新規国債が売れなくて既発国債の償還のための財源が得られない、すなわち財政破綻するという事は起こり得ない。[6]

日本政府の財政破綻(国債の債務不履行)の可能性を肯定または懸念する見解

1. 「今後、財政構造改革(財政赤字削減)を行うことによって、この状況を打開することは即座に可能ではあるが、目下のところ、わが国は財政破綻が懸念される状況に直面している。」[7]と、土居丈朗氏は述べている。

2. 「債務残高対名目GDP比が、将来にわたり上昇し続ければ、財政破綻。」[8]と、平成25年5月27日の財政制度審議会の資料にて記載している。

3. 「いますぐには,危機にならない,としても日本が危機にむかって一歩一歩近づいている。それならば, 国債金利はしだいに上昇していくはずだ。ところが,日本では,1990 年以降国債金利は一貫して下がって きた。なぜ財政破綻にむかっているという,市場からの警告は出ないのか。 いったん,財政危機(=金利の急上昇)がおきると,財政破綻(=債務不履行)を防ぐためには,いくつかの緊急措置が必要となる。」[9]と、伊藤隆敏氏は述べている。

4. 「債務残高が発散・拡大し、財政破綻に陥った場合には、どのような事態になるのだろうか。この場合、新規国債の民間消化が困難になるほか、財政法により日本銀行による引き受けも禁止されているため、国債の元利支払い以外の支出(社会保障、公共投資、諸々の行政サービスのための支出)を大幅に削減したり、大幅な増税をして、超緊縮財政をとらなければならないことになる。」[10]と内閣府の平成13年度 年次経済財政報告では述べており、債務残高が発散・拡大すると財政破綻するとしている。

5. 「このままでは国家財政は破綻する」[11]と財務省の現役事務次官の矢野康治氏が文藝春秋で発表して、多くの反響を呼んだ。[12][13][14]

財政破綻と財政危機の関係

IMFのワーキングペーパー「Fiscal Crises(2017.1)」においては、 財政危機を「政府による例外的措置の実施を招くような財政的困窮状態の高まりが続く期間」とし、その種類として、①信用事由(債務の返済の不履行等)、②例外的な公的財政支援(IMFからの多額の財政支援)、③潜在的な財政破綻(ハイパーインフレ等)、④市場からの信認の喪失(市場からの資金 調達の困難化等)を挙げている。

外部リンク

  1. ^ “[https://www.konan-u.ac.jp/hp/econ_ehiro/zemi/zemi2013/zemi2_2013/20140108report_publicfinance.pdf 第43回インゼミ報告書 日本の財政は破綻するのか?]”. 2020年9月30日閲覧。
  2. ^ 外国格付け会社宛意見書要旨”. 財務省. 2021年6月18日閲覧。
  3. ^ 借金1220兆円の日本がギリシャと違って財政破綻しない理由”. goo. 2022年10月9日閲覧。
  4. ^ 財政をめぐる7つのウソ (その3・「ウソ」の最終回)”. 一般社団法人 全日本建設技術協会. 2022年10月9日閲覧。
  5. ^ 日本の財政が「絶対破綻しない」これだけの理由 MMTが提唱する経済政策の正当性を理解する”. 東洋経済新聞社. 2022年10月9日閲覧。
  6. ^ 【拡散希望】財務省が慌てふためく!『財政破綻論』が崩れる歴史的瞬間が来た!(参議院財政金融委員会質問 令和4年3月15日)”. Youtube. 2022年11月23日閲覧。
  7. ^ 第3章 裁量的財政政策の非効率性と財政赤字”. 財務省. 2022年10月9日閲覧。
  8. ^ 財政健全化に向けた基本的考え方(概要) 平成25年5月27日 財政制度等審議会”. 財務省. 2022年10月9日閲覧。
  9. ^ 国の財政破綻を防ぐ手段について 伊 藤 隆 敏 (コロンビア大学教授(政策研究大学院大学教授兼任))”. 会計検査院. 2022年10月9日閲覧。
  10. ^ 第3章 我が国財政の総合的把握 第1節 拡大する財政赤字”. 内閣府. 2022年10月9日閲覧。
  11. ^ 文藝春秋2021年11月号”. Amazon. 2022年10月9日閲覧。
  12. ^ 財務次官論文を考える 明治大学教授 田中秀明”. 日本経済研究センター. 2022年10月9日閲覧。
  13. ^ 矢野康治・財務次官「論文」、誰も指摘しない“あまりにもヤバい”問題の本質 中野剛志:評論家”. ダイヤモンド社. 2022年10月9日閲覧。
  14. ^ 高市早苗氏、矢野財務次官の「反乱」に激怒も、霞が関の深奥なうごめき”. 株式会社ソーシャルラボ. 2022年10月9日閲覧。