舞台照明

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舞台照明の例

舞台照明(ぶたいしょうめい)とは、舞台によって演出するための灯具・調光装置・配電設備などを含んだ舞台用照明設備のことである。また、それらによって舞台上に実現された光を言う。

日本国内の各地に建設されている多目的ホールでは、舞台をさまざまな用途に利用できるよう、定石的な設備が用意されており、催物によって照明灯具の場所・光の照射方向・調光設定を変更できるようになっている。一方、クラシック専用ホールや専用の舞台では、限定された用途の催物を効果的に演出するための設備が行われている。また「野外コンサート」など仮設舞台では、独特の照明セッティングが行われている。 ここでは一般的な「市民ホール」などの舞台照明を例に紹介する。

設置場所による分類

舞台真上の照明

BL

ボーダーライト(Border Light)。100~200Wの電球を舞台の横幅と同じだけ並べたライトで、舞台全体を均一に照らす。通常3回路程度に分かれている。仕込み作業などの際に一部だけ点灯して作業灯とすることもある。

SUS

サスペンションライト(Suspention Light)、通称サス。サスバトンにつり込む。

サスバトンは、器具接続用電源コンセントの組み込まれたフライダクト又はコンセントボックスを有する装置であり、催物にあわせて器具を仕込み使用する。

会館等の施設では、手動式か電動式の昇降可能な装置である。 数量は施設の規模によって異なり、小・中規模ホールでは1~3本程度、大型ホール・放送用ホールで5~6本以上設置されていることもある。客席に近い方から順に1サス、2サス、3サス…と呼称する。

UH(UHL)

アッパーホリゾントライト(Upper Horizont Light)。舞台奥の白いホリゾント幕を照らす多灯照明。3ないし4系統の回路を持ち、カラーフィルターを使用しその色の組み合わせで多彩な色を表現できる。UHだけではホリゾント幕の上半分しか照らせないので、LHと併用する。多彩な色を表現する。ホリゾントも参照。

舞台床面からの照明

FL

フットライト(FootLight)。舞台前面のへりや、花道床面に設置してある。「脚光をあびる」の語源になった明かり。

LH(LHL)

ロアーホリゾントライト(Lower Horizont Light)、通称「ローホリ」。舞台後方のホリゾント幕を下から照らす多灯照明。通常の舞台では、黒くて長いLHを観客から見えないように、舞台の色にあわせた「ついたて」をLHの前に立てる。ホリゾントも参照。

舞台横からの照明

SS

ステージサイド(Stage Side Spot)もしくはサイドスポットライト(Side Spot Light)。通称エスエス。舞台袖中に設置したライト。

Tor

トーメンタースポットライト(Tormentor Spot Light)。通称トーメン。プロセニアムアーチの大臣柱舞台側上部に設置されるライト。

観客席側から照らす照明

舞台真上だけの照明だと顔に当たる明かりが無く表情が見えないので、客席側からの明かりを必要とする。 通称「前明かり」「前サス」。

CL

シーリングライト(Ceiling Light)。客席の天井、つまり舞台の斜め上からライトをあてることができるよう、観客席天井に灯体を吊る。

FR

フロントサイド、フロントサイドライト(Front Side Light)。客席内部の両側にあるライトで、主にCLの補助的な役割として使われるが、光の方向がはっきりしているので、夕陽などにも利用される。規模が小さい所には設置されていない事が多い。

PIN

ピンスポットライト(PIN Spot Light)、通称ピン。演技者のフォロー用スポットライト。主に光量の大きなキセノンピンスポットライトを使用。照明調整室と同じ場所か、スポットライト専用の部屋を設けて設置する。通常1つのピンスポットライトに対して一人のピンスポットオペレーターが操作する。

調光装置について

舞台照明では、数多くの電気回路を効率的に制御し、明るさを変える必要がある。 操作部である調光操作卓と、負荷設備に電源を供給している調光器盤が頭脳であり心臓部となる (操作部と調光器が一体化した装置もある)。

舞台照明機材のコネクタについて

一般的な舞台照明機材では、消費電力が大きいことや安全性確保の観点から、家庭でよく使われる平行型はあまり利用されていない。かつてはT型A型が多用されていたが、「接地極」が用意されているC型への移行が進んでいる。 C型には20A、30A、60Aと電流容量の異なる3つのタイプがある。 最近はムービング等の200V以上の機器ではD型が主流になっている。

詳しくは、配線用差込接続器#演出空間で用いられる差込接続器を参照。

関連項目