腎虚
腎虚(じんきょ)とは、漢方医学で言う内分泌系や免疫機能など全般の機能低下によりおこる症状を言う。
概要
漢方医学では六臓のうち腎は五行思想で言う水を司る機能を指し、六腑で言えば膀胱、五官で言えば耳、五体で言えば骨や歯に相当するため腎の機能の低下は(西欧医学で言う腎臓の機能障害とは異なる)頻尿、性欲・精力の減衰、耳鳴り、身体のだるさ、手足のむくみなどがあらわれるとされる。漢方医学では腎に人間の精気のうち生殖能力に関わるものを貯めるとされているために腎の機能不全すなわち腎虚は広く精力減退を指す言葉として用いられている。
対処としては知柏地黄丸や八味地黄丸などの補腎剤が用いられる。
鍼灸においては五行や東洋医学の治療方針の関係から五行では自経が虚すれば、その母を補うとされており、この場合、水の気である腎が虚すれば金の気である母の肺を補えとされており、腎経の復溜穴、肺経の經渠穴が用いられる。
俗説
精力減退として有名な腎虚は、一部で男性機能の終わりという意味で用いられることがある。古くから男性の射精は回数が決まっているという迷信があり、一生のうちに決められた量の精液を出し尽くすと男性は死亡するとされていた。この死因を腎虚と称した。俗説は以下のとおり。
- 男性は射精しすぎると最後には赤い玉が出て、それ以上の射精が不可能になる。
- 男性は一生に一升瓶2本ぶん(または10リットル)の精液を出すことができる。
これらの俗説に決定的と言える根拠は無いが、自慰への禁忌として過剰な自慰が体力の減衰や老化、早死につながるとまことしやかに語られることが多い。