循環定義
循環定義(じゅんかんていぎ、英: Circular definition)は、関わりのある二つの語がある場合、一方を定義するためにもう一方が使われている状態が、両方向に行われていることである。この場合、定義しようとする用語について事前の理解がなければ役に立たない。
概説
例えば、"カシ"の定義として、「どんぐりをつける木」としたとき、どんぐりの定義を「カシの作る種実類」とするのが循環定義である。どの木がカシで、どの実がどんぐりなのか知らない人には、これらの定義は無意味である。
循環定義の例
初期のキログラムの定義でこのような循環定義が発生した。キログラムは当初、1リットルの水の標準気圧および最も密度の高くなる気温(約 4℃)での質量と定義されていた。圧力の単位は平方メートル当たりのニュートンであり、ニュートンは1キログラムの質量を毎秒毎秒1メートル加速する力である。水の容積は気圧に依存するため、キログラムの定義には自分自身の定義が使われていることになる。混乱を解決するため、キログラムは後にセーヴルにある金属製のキログラム原器で定義されるようになった。
「死」の定義もかつては循環定義がつきまとっていた。死を「生命の体液の永久的な流動停止」と定義した際に、「生命の体液」とは何かが問題となった。
数学の一理論である非有基的集合論では循環集合を構築できる。循環集合は様々な循環する性質をもつ事象のモデル化に便利で、よく利用されている。情報工学では再帰呼び出しを定義に使った手続きがあるが、これらの定義は最終的に完了するので循環定義ではない。
2007年版のウェブスターの辞書には "hill" と "mountain" が次のように定義されている。
- Hill - "1: a usually rounded natural elevation of land lower than a mountain"(自然のなだらかな小高い陸地で山より低い) [1]
- Mountain - "1a: a landmass that projects conspicuously above its surroundings and is higher than a hill" (周囲から目立って突き出している、丘より高い陸地)[2]
これも循環定義の典型的な例である。