ドングリ

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マテバシイのドングリ

日本語でドングリ(どんぐり、団栗)とはクヌギカシナラカシワなどの果実の総称である。ドングリは全てブナ科の果実である。

ドングリは以下に詳述する通り、一部または全体を殻斗(かくと)に覆われる堅果であるが、これはブナ科の果実に共通した特徴であり、またブナ科にほぼ固有の特徴である。よって本項ではブナ科の果実についても述べる。

内部の種子の大部分を占める子葉デンプン質に富み、人間を含む動物の食料になる。日本の古典的な玩具(独楽など)の材料にもなった。

目次

[編集] ドングリの範囲

日本語でドングリとされるのは、ブナ科果実の内、普通クヌギカシナラカシワなどである。クリは含まれない。ブナ属は普通含まれない。スダジイをドングリとは呼ばない事も多い。

狭義ではクヌギの実を指す[どこ?][いつ?]

ブナ科の果実では、固有の名称を持つものがある。クリの実は「栗」もしくは「栗の実」と呼ばれる。「の実」、「なら」の実の語もある。ブナの実は、「そばぐり」と呼ばれる事もある。

ブナ科ではないが、似た外見のものとして、ヘーゼルナッツ等のハシバミ類の堅果や、トチノキの種子(「とち」もしくは「とちのみ」と呼ばれる)がある。

[編集] 日本に自生するブナ科の木

[編集] 特徴

ドングリは果実(堅果)であり種子ではない。樹種により形状は多様であるが、ドングリに限らずブナ科の実の共通の特徴として、先端はとがり、表面の皮は硬く、上部はすべすべして茶色、下部はぶつぶつした薄めの褐色である。実の下部または全部を覆うおわん状・まり状のものは殻斗(かくと、英語: cupule)である。ドングリの殻斗は俗には「ぼうし」「はかま」などと呼ばれる。

ドングリのイメージとして、細長く、下部をぶつぶつとした殻斗が覆う、というものがしばしば見られるが、クヌギではドングリは丸く、殻斗は毛が生えたようになっている。クリまたスダジイなど殻斗がどんぐり全体を覆うものもある。クリの殻斗はトゲが生え、「イガ」と呼ばれる。

殻斗は総苞片が集まり癒合変形、乾燥したものであり、ブナ科ナンキョクブナ科植物の果実特有のものである。このことから、かつてブナ科は殻斗科と呼ばれた[1]。ブナ科の堅果は、他の堅果と区別して殻斗果またはどんぐり状果と呼ばれる。

殻斗を持つなど、ブナ属に酷似する果実をつけるナンキョクブナ科ブナ科に近縁である。かつてはブナ科ナンキョクブナ属に分類されていた。

[編集] 分類と判別

ドングリからその樹種を判別する事は可能だが難しく、木自体を見る方がはるかに易しい。ただしの見分けは比較的やさしい。以下は日本に自生するものの見分け方である[1]

  • コナラ属コナラ亜属 (ナラの仲間とウバメガシ):果実の基部は湾入せず、殻斗は果実の基部を覆う。殻斗は鱗片状。
  • コナラ属アカガシ亜属(カシの仲間。ウバメガシとシリブカガシはアカガシ亜属ではない):果実の基部は湾入せず、殻斗は果実の基部を覆う。殻斗は輪層状。
  • マテバシイ属マテバシイとシリブカガシ):果実の基部が湾入し、殻斗は果実の基部を覆う。2、3の殻斗が基部で癒合している場合がある。
  • クリ属(クリの仲間):果実はが2つあり、殻斗が全体を覆う。
  • シイ属(シイの仲間):果実は稜がなく、球状ー円柱状で、殻斗が全体を覆う。
  • ブナ属(ブナの仲間):果実は稜が3つあり、三角錐状、殻斗が全体を覆う。

日本国外に分布するものでは多様な形状を示す。マテバシイ属のドングリには殻斗が全体を覆うものが多く存在する。シイ属では別名のクリガシ属が示唆する通り、クリ属のように複数の果実がイガに覆われ、クリそのものの形をしたものも多い。北米には常緑樹でクリ属によく似た殻斗をつけるトゲガシ属Chrysolepis英語版。かつてはシイ属に含められていた。)が2種が存在する。逆に北米産のチンカピングリ(Castanea pumila英語版)はクリ属ではあるが、実には平たい面がなく、丸い。

[編集] 餌としてのドングリ

ドングリを作るブナ科植物は、暖帯から温帯にかけての森林では、どこでも主要な構成樹種である[要検証]。暖帯では常緑のシイカシ類が照葉樹林の主要構成樹種であり、温帯ではブナミズナラなどが落葉広葉樹林の中で占める割合が大きい。人工的な撹乱がある場所では、クヌギコナラなどが出現する。 これらブナ科植物の果実は個々の果実も大きく、肥大した子葉に大量のデンプンを蓄え、また生産量も多い事から、特に哺乳類にとって、秋の重要な食料であり、ドングリの出来不出来が、森に棲む野生動物の秋から冬の生存に大きな影響をもたらす。2004年は、秋に北陸で多数のツキノワグマが人里に出没した事で話題をよんだが、この年の落葉樹林のドングリは不作だったとされている。

イベリコ豚の重要な飼料として、イベリア半島に自生するコルクガシなどのドングリが利用される。また中央ヨーロッパにはヨーロッパブナの林の中でブタを飼う養豚林がある[2]。日本でもかつてオキナワウラジロガシのドングリがの飼料として利用された。

[編集] 種子散布システムとしてのドングリ

果実としてのドングリは特に目立った種子散布器官を持たないように見えるため、古くは種子散布の形式を重力散布(つまり、落ちる事)とみなされた[要出典]。しかし、今日では上述の動物の餌としての重要性がこの仲間の種子散布に大きな役割を果たしているとされている。

ドングリを秋から冬にかけての重要な食料としている動物の中に、ネズミ類、リス類、カケス類のように林床に少数ずつ分散して埋蔵貯食するものがある。こうした動物が埋めたドングリは、大半が越冬時の食料として消費されるが、春までに一部が余って食べ残される。これが親植物から離れた地点で発芽して新世代の植物となる。

また、ドングリは乾燥に弱く、単に林床に落ちただけでは乾燥によって速やかに発芽能力を失うことが多い。ネズミ等による貯食は、この乾燥から免れる効果もあるとされている。

イノシシ、シカ等の大型哺乳類の採餌により森林の下草、ササなどが取除かれ、蹄耕により土壌が露出すると、そこにはネズミ、リス等のげっ歯類カケス類がドングリを埋められる条件が生まれてくる。

ドングリを作るブナ科の植物はネズミ類、リス類が誕生する以前、約6500万年前の白亜紀にはすでに出現していたことが明らかになっており、土壌の攪乱を当時の大型の草食恐竜が担い、当時の小型だった哺乳類の祖先がネズミやリスの代わりを担っていたと推定されている[3]

[編集] 利用

[編集] 食品

  • ドングリの渋抜きの方法としては、流水に数日さらす方法と、煮沸による方法がある。特に煮沸の場合、木灰汁を用いることがある。日本においては、前者は主に西日本から広がる照葉樹林帯の地域で、後者は東北地方信州に広がる落葉広葉樹林帯で認められる。また、渋みの少ない種の場合は、から煎りでもあく抜きになる。
  • 北海道アイヌ民族はドングリを「ニセウ」と呼んでいた。秋にトゥンニ(ミズナラ)やコムニ(カシワ)の実を拾い集め、何度もゆでこぼしてアクを抜いたものをシト(団子)やラタシケプ(煮物)に加工して食べた。
  • 北上山地山村では、ナラ(ミズナラ)の実を粉砕して皮を除き、湯、木灰汁などを用いて渋抜きした「シタミ粉」と呼ばれるものが作られていた。シタミ粉は通常湯で戻し、状にして食べた。
  • 熊本では、カシ類(イチイガシ)の実から採取したデンプンで作る、「イチゴンニャク」や「カシノキドーフ」、あるいはシイの実を用いた「シイゴンニャク」といった葛餅状の食品が知られている。
  • 韓国では、ドングリ(韓国語で「トトリ(도토리)」)から採取したデンプンを、「ムク()」と呼ばれる葛餅ないしういろう状の食べ物にする。元々は食料が不足していた時代や、飢饉の年に食べられた救荒食料だが、一部の地方で受け継がれ、最近では健康食品として見直されたことにより、大量生産されて市場に流通している。大衆食堂で副食として出されることが多いが、最近ではクッパのようにと一緒にスープに入れた「トトリムク・パプ(도토리묵 밥=トトリムク飯の意)」が一品料理にもなっている。
    また、以前は、皮を剥いてから、水さらしと加熱によって渋抜きをしたドングリの実を用い、米と炊いたドングリ飯、また粉を用いたドングリ、ドングリ、ドングリうどん、ドングリ水団なども作られていたようである。
  • 縄文時代の遺跡からドングリが出土することがあり、稲作以前にも日本に農耕文化があったことが示唆されている。

[編集] その他

玩具や工芸品の材料として用いられる。例えば、軸を付けてヤジロベエ独楽(コマ)などの玩具とする。

[編集] どんぐり銀行

「どんぐり銀行」と呼ばれる、いくつかの活動がある[4][5][6]。おおむね共通して、預金になぞらえてどんぐりを送り、一定数たまると、たとえば苗木を送ってくれるというものである。

ここではどんぐりが自然の象徴になっているものの、遺伝子汚染の観点からは必ずしも好ましいとは言えない。

[編集] いろいろなドングリ

[編集] ドングリに似た堅果、種子

[編集] ことわざ・慣用句

団栗の背比べ
抜きん出たものが存在しない集団をあざけって言うこと。似たり寄ったりで、大きな差がないこと。人のことをとやかく言う本人が、それと同じような状態にあること。
どんぐりまなこ
大きな丸い目のこと。

[編集] 作品

[編集] 出典

  1. ^ a b 横山 和正、「どんぐりを利用したブナ科植物の自然観察」
  2. ^ 週刊朝日百科 世界の植物 81 シラカンバブナ 1931頁 北村四郎「用途の広いブナ林」(朝日新聞社)昭和52年6月12日
  3. ^ 週刊朝日百科 植物の世界87、 8-74頁、渡邊定元「恐竜と共存して進化したミズナラ」
  4. ^ どんぐり銀行、香川県 県民総参加のみどりづくり事業
  5. ^ どんぐり銀行 - ベネリックベネリック株式会社
  6. ^ 大村どんぐり銀行高知県土佐郡大川村

[編集] 参考文献

[編集] 関連項目

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