堆積相対比の法則

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堆積相対比の法則(たいせきそうたいひのほうそく、英語: law of the correlation of faces[1])は垂直的な地層において、一つの堆積相が他の堆積相に漸移した際、これらが示す堆積当時の環境は隣接していたことを示すという法則である[2]:66

概要[編集]

発見者のヨハネス・ワルター英語版

堆積相: sedimentary facies)はとある一群の地層の中においても、それぞれの堆積状況の違いによって複数の分類が可能であることがあり、このような場合においてその分類のことをいう[3]。ここで垂直的な地層を考えると、上下の堆積相によって当時の環境を復元することが可能であり、これを堆積相対比の法則という。

この法則は露頭以外においてもボーリングコアやそれをもとに作成された柱状図でも成り立ち、古環境を復元するために活用されている[2]。また、鍵層が存在しなくともこの法則が成り立つのであれば、垂直的な相の隣接は水平的な相の隣接と対応するため、相の隣接を層の対比に活用する際に活用されている[4]:142-143

名称[編集]

発見者の名前をとって「ワルターの法則」ともいう。英語においても「Walther's Law of Facies」とも呼称される[1][5]。またロシアにおいては「Golovkinsky-Walther's Law」とも呼称されており、これはロシア人の地球科学者ニコライ・ゴロビンスキーロシア語版英語版が独立にこの法則を発見されたといわれているためである[6]

脚注[編集]

  1. ^ a b "Walthers law". Encyclopedia.com英語版. 11 August 2020. 2020年9月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年9月5日閲覧
  2. ^ a b 保柳康一、公文富士夫、松田博貴 著、日本地質学会フィールドジオロジー刊行委員会 編『堆積物と堆積岩』共立出版〈フィールドジオロジー〉、2004年、65-67頁。ISBN 4-320-04683-8 
  3. ^ "堆積相". 日本大百科全書. コトバンクより2020年9月5日閲覧
  4. ^ 佐野弘好『基礎地質学ノート』古今書院、東京、2019年6月6日。ISBN 978-4-7722-3191-6NCID BB28302674OCLC 1109731739OL 31934583M 国立国会図書館書誌ID:029674063 全国書誌番号:23233011 
  5. ^ Walker R. G. (1992). "Facies, facies models and modern stratigraphic concept". Facies models, response to sea-level change. St. John's, Nfld. : Geological Association of Canada = Association géologique du Canada: 1–25. NAID 10004023291. OCLC 26256239
  6. ^ Nurgalieva, N. G.; Vinokurov, V. M.; Nurgaliev, D. K. (2007). "The Golovkinsky strata formation model, basic facies law and sequence stratigraphy concept: Historical sources and relations". Russian Journal of Earth Sciences. 9: 1–7. doi:10.2205/2007ES000222

関連項目[編集]

外部リンク[編集]