器官なき身体
器官なき身体(きかんなきしんたい)とはジル・ドゥルーズとフェリックス・ガタリがアントナン・アルトーの言葉をもとに自らの哲学的概念として展開した概念である。
身体には有機体的サイクルとは別個の欲望する身体とでもいうべき「器官なき身体」が存在し、それにとって個体の生存を維持する諸器官は必要とされない。植物における成長サイクルと生殖サイクルをたとえにすれば、人間にとっては生殖器という器官は性行動にとって結果として使われるものに過ぎず、五感、全身を使って生殖活動があらゆる社交活動、創造活動へと広がってゆく。それは女性的な身体と言えるかもしれない。器官ある身体が、男性的身体、生存してゆく身体、個体を形成する身体だとすれば、器官なき身体とは、女性的な、包み込む、癒しの身体、対象を欲望し、また生み出す身体ということがいえるかもしれない。