南下浦断層

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
三浦半島の地形図

南下浦断層(みなみしたうらだんそう)は、三浦半島南部に位置する右横ずれ断層である[1]。総延長約6km[2]陸上部f約3.7km[3]

概要[編集]

神奈川県三浦半島を東西に横切る右横ずれ断層であり、三浦半島断層群の中でも南部に位置する。[1]垂直方向には高角逆断層[注釈 1]であることが明らかとなっている[4]。なお、平均活動周期が判明していないため、当断層による地震発生確率は求められていない[5]。最新活動時期は、約2万2千年から2万6千前、平均変位速度は0.8m/千年、単位変位量は最低でも2.2m と報告されている[3]

西端付近の三浦市初声町下宮田の黒崎集落周辺には南下浦断層によって形成された断層崖が存在する。この断層崖は比高が最大4mのものであり、これによると南下浦断層の主断層は関東ロームを切っていないとみなされている[6]

東端に位置する三浦市立南下浦中学校付近から東京湾に面する海岸において肉眼で明瞭に観察可能であり[7]、2016年と2018年には市民団体「三浦半島活断層調査会」により観察会が開かれた[8][9]。南下浦中学校には「地層サンプル室」が存在し、ボーリング調査結果などを観察することが可能となっている[7][10]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 水平面と断層面の角度が45°を超えた逆断層のこと

出典[編集]

  1. ^ a b 三浦半島断層群”. 地震調査研究推進本部. 2020年6月28日閲覧。
  2. ^ 産総研:活断層データベース
  3. ^ a b 飯田高弘, 磯部翔平, 上原真一, 溝口一生「南下浦断層における断層破砕帯の性状および断層岩の鉱物学的・地球化学的特徴」『日本地質学会学術大会講演要旨』第123年学術大会(2016東京・桜上水)セッションID:T1-P-1、日本地質学会、2016年、340頁、doi:10.14863/geosocabst.2016.0_340 
  4. ^ 垣見俊弘、平山次郎、岡重文、杉村新「南下浦断層の変位の性格, とくに垂直変位量について」『第四紀研究』第10巻第3号、日本第四紀学会、1971年、81-91頁、doi:10.4116/jaqua.10.81ISSN 0418-2642NAID 1300015657932020年6月28日閲覧 
  5. ^ 三浦半島断層群における地震発生確率が高くなった可能性について”. 三浦市 (2018年6月5日). 2020年6月28日閲覧。
  6. ^ 伊藤吉助、岡重文、垣見俊弘、小林竹雄「三浦半島の南下浦断層と段丘地形の関係 試錐による断層地形検討の一例」(PDF)『地質調査所月報』第21巻第10号、経済産業省産業技術総合研究所地質調査所、1970年10月、619-626頁、ISSN 00167665NAID 40018038301国立国会図書館書誌ID:82997972020年6月28日閲覧 
  7. ^ a b 森山功二郎. “8.南下浦断層エリア” (PDF). 早稲田大学. 2020年6月28日閲覧。
  8. ^ “地震リスク理解深め 「南下浦断層」見学会”. 神奈川新聞. (2016年6月20日). オリジナルの2020年6月28日時点におけるアーカイブ。. https://archive.today/APi5L 2020年6月28日閲覧。 
  9. ^ “海底に眠る活断層に学ぶ”. タウンニュース. (2018年4月6日). https://www.townnews.co.jp/0502/2018/04/06/426948.html 2020年6月28日閲覧。 
  10. ^ 南下浦中学校”. 三浦市. 2020年6月28日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]