先天性内反足
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先天性内反足(せんてんせいないはんそく、英: club foot, talipes equinovarus)は、生まれつき足が尖足・内反・内転位をとり矯正困難な,先天性の足の形態異常である。通常は、他の疾患を合併していない場合に先天性内反足と呼ぶ。
病態・原因
先天性内反足の病態は,先天的な足部の骨の低形成や配列異常である。その原因は、いまだにはっきりしていない。
疫学
発生頻度は0.1%以下.女の子より男の子に多くみられる。両側例と片側例はほぼ同数である。
診断
足の変形が明らかなので出生直後に診断がつく。そのため、生後1~2週間以内に医師の診察を受けることが多い.変形は,足底が裏返しになって完全に患児の顔の方向に向いた状態であり,尖足・内反・内転位と表現される.変形のある足は動きが少なく、筋肉の萎縮が見られる。初診時の触診で変形の矯正がどの程度可能かで、重症度がある程度予測できる。最近は、超音波を利用して足根骨の配列異常を評価する方法が試みられている。
治療
早期治療が原則で、出生直後からでも矯正ギプスによる治療を開始する。矯正ギプスは,足の変形をできるだけ矯正した状態で大腿あるいは下腿からつま先まで固定するギプスで,これを繰り返すことで徐々に変形を矯正するものである.ギプスの巻き換えは、原則として1週間おきに行ない、巻き換えを行なう日には、受診直前に母親自身でギプスを除去してもらい、同時に入浴も済ませるようにする。最近では、数回のギプス矯正の状態により、アキレス腱の皮下切腱(細いメスを用いて皮膚下でアキレス腱を切る方法)を行う(Ponseti 法)。その後、引き続き2~3回のギプス矯正を継続し、左右の足を連結するデニス-ブラウン装具に移行する。生後7~8ヶ月時で這い這いが可能となった時点で、日中は左右別々の装具を使用し、夜間はデニス-ブラウン装具をできるだけ長く使用する。生後10ヶ月前後で変形が残っている場合には、手術を考慮する。保存的治療と手術的治療の境界線上にある症例では、歩行が可能となった時点で歩き方を確認の上決定する。歩行開始以降は屋外用の靴型装具と屋内用の装具を併用し、変形の再発傾向がなければ2~3歳時から,屋外では市販の靴(深めで踵のしっかりした靴)に足底板を入れた簡便なものに変更する。足底板は幼稚園(保育園)や学校の上履でも併用し、成長終了時まで使用する。 基礎的疾患がありその随伴症状として内反足がみられる場合には、概して治療に難渋し最終成績も不良なことがある。
参考文献
- 『標準整形外科学』 医学書院、2008年 ISBN 978-4-260-00453-4