不正スタート

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不正スタート(ふせいスタート)は、競走競技のスタート時における反則である。

フライングスタート

各競技のスタートに関する規定によりどのような行為が不正スタートにあたるかに差異はあるものの、多くの場合、正しいスタートタイミングより早くスタートラインを越えると不正スタートとして反則となる。

日本では単にフライング(和製英語)と呼ばれることが多い。英語ではbreakaway, false start, flier, flying start, jump start, jump the gunなどと呼ぶ。ただし、flying単独でflying startを意味することはない。

その他の不正スタート

競泳や、陸上競技クラウチングスタートなどのように、スタート前に静止が義務づけられている競技においては、静止状態に入ってからスタートまでのあいだに体が動いた場合も不正スタートとなる。

競艇では、定められたスタートタイミングより遅れてスタートした場合も、不正スタート(スタート事故と呼ぶ)となり競走除外(欠場)となる。

ペナルティ

不正スタートに対するペナルティも競技のルールによって異なる。陸上競技では、2002年までは1選手当たり1回までフライングが許されたが、2003年より2回目以降のスタートでフライングした全ての選手が失格となるようルールが厳格化され、2010年より1回目のフライングで即失格となるようさらに厳格化された。カーレースなどのモータースポーツでは、強制的なピットストップ指示などによりペナルティが加えられる事が多い(詳しくはペナルティ (モータースポーツ)を参照)。競泳、競艇は1回で当該レースから除外されるが、オートレースのフライングでは1回では再発走、2回目で出走停止となる。ドラッグレースゼロヨンの場合はフライングした場合、クリスマスツリーのレッドライトが点灯しタイム計測が無効となる。

スタート判定の技術

スタートのタイミングを感知するためのセンサーなどの技術革新により正確にスタートの判定が出来るようになったこともあり、競技によってはヤマ対策のため、反応時間が極端に短い場合もフライングと判定する場合もある。オートレースではセンサーを用いてミリ秒(1000分の1秒)単位でフライングを判定している。陸上競技では医学的根拠などに基づいて合図から0.1秒以内に反応するとフライングと判定するとしていたが、後の研究で0.1秒以内に反応できる選手がいるのではないかという可能性が提示され、議論を呼んでいる。 事実、金井大旺選手が2019年・2020年それぞれ日本室内選手権と日本選手権において0.099秒で失格となり話題となった[1]

競馬のカンパイ

競馬において発馬合図前にスタートした場合(フライング)や、発馬機(スターティングゲート)が故障して動かない場合などに、スタートをやり直すことをカンパイと呼ぶ。また馬の突進などにより発馬機が強制開扉される[2]場合があるが、この場合は正式にはまだスタートしていないので、フライングではあるがカンパイではない。なお、それらの要因によって発馬機が破損した場合は当該レースにおける一番外の枠よりさらに2枠外の枠より発走することとなる。これを外枠発走という。

脚注

  1. ^ [1] 陸上競技のフライングって何秒から?基準やルールを解説!
  2. ^ 競馬の発馬機は電磁石の力で閉じられており、安全上、馬が突進した場合などにその力で簡単に開扉できる構造になっている。

関連項目