ユメオチル、アリス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

2021年9月12日 (日) 06:08; 永野 耀彩 (会話 | 投稿記録) による版 (→‎書誌情報: 関連項目追加)(日時は個人設定で未設定ならUTC

(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)

ユメオチル、アリス』は、鮎川歩による日本ライトノベル。イラストは立花オコジョガガガ文庫小学館)より2011年3月刊行。

あらすじ[編集]

カガミマクラ。それはよくある都市伝説。鏡を枕の下において眠ると、夢魔が現れ、夢の世界に連れて行ってくれるが、その世界に魅入られた人間は目覚めることができなくなり、廃人になって死ぬ、というもの。 預けられた叔父の家で虐待されていた高校一年生の有栖幹人は、噂通り、廃人になっても構わないとカガミマクラを試してみた。その日見た夢の中に現れたのは一人の少女。ルルディ・リデルと名乗った少女は、幹人には完全なる夢の世界『完全明晰夢』を会得できる才能があると告げる。 幹人は叔父からの虐待から逃れるため、現実から逃げ切るため、『完全明晰夢』を手に入れるべく、ルルディが編み出した夢見特訓ゲーム『アクム・クエスト』に挑む。

主な登場人物[編集]

有栖幹人(ありす みきと)
主人公。高校一年生。地の文における『僕』。両親は既に亡くなっており、一緒に暮らしていた姉も失踪したため、叔父夫婦に預けられ、叔父の「日課」である虐待を受けている。
唯一であり絶対の特技は現実逃避。『夢見』の能力は高く、ルルディの生み出した学園ラブコメ全開の夢を見破った。また、夢の中でも現実と変わらないだけの五感を持つことが出来る。
現実を逃げ切るために『アクム・クエスト』に挑むことを選択。最初は夢をコントロールすることが上手く出来ないでいたが、他者の夢に干渉し、その世界に自分の意図を介入させることも出来るようになる。
ルルディ・リデル
『ワンダー』。白い肌に、癖のあるベリーショートの白髪、金の目をした少女。一人称は『ボク』で少年のような話し方をする。
幹人が彼女の生み出した夢を見破ったことで、彼に『完全明晰夢』の才能があることを見いだし、『アクム・クエスト』に挑まないかと提案する。
普段は白いワンピース姿だが、『アクム・クエスト』では白いライダースーツ姿になったり、森の妖精の格好をしたりすることもある。また、自分でつくった世界観を無視してやりたい放題することも多い。
普現佳奈実(ふげん かなみ)
幹人の幼なじみ。高校一年生。髪を一つに纏め、大きな瞳に黒縁眼鏡をかけた小柄な少女。
見た目通り成績優秀で面倒見が良く、頼まれたら断れない性格のため、幼稚園時代の「お手伝い係」からずっとクラスの委員長。幹人の姉とは仲が良かった。
幹人のことを気にかけているが、幹人はうっとうしいと思っている。
窪田理雄(くぼた りお)
幹人のクラスメイト。高校一年生。軽く茶色に染めた短髪に、日焼けした肌の人懐っこそうな顔をした少年。
人当たりが良く、社交的な性格のクラスのムードメーカー的存在。幹人にカガミマクラの都市伝説を教える。
幹人の前に『アクム・クエスト』に挑んだ人物。あと一歩の所でリタイアを申し出た。ルルディによって記憶を消されていたが、中途半端なままだった『夢見』の力により、無自覚な願望による『不完全明晰夢』を生み出し、暴走する。
有栖綾芽(ありす あやめ)
幹人の姉。軽くウェーブのかかった長髪に右目の泣きボクロが特徴。本編の三年前のクリスマス・イブに失踪した。
コーヒーを淹れるのが好きだが、自身はカップの中が真っ白になるくらいミルクを入れないと飲めない。だが、彼女の淹れる珈琲は絶品。
両親が死んだあとも親戚からの誘いを断り、大学を中退して働き、幹人と二人で暮らすことを選択した。
普段はぽけっとしているが、他人の機微には敏感で、お節介焼き。

用語[編集]

『カガミマクラ』(かがみまくら)
作中の都市伝説。
鏡を枕の下に敷いて眠ると、夢魔が現れ、眠っている人間を夢の世界に連れて行くのだという。その先に広がる夢に魅入られた者は夢魔に心を取り込まれ、現実世界に帰れなくなる。そして、目覚めることができなくなり、廃人になって死んでしまう、というもの。
ワンダーと完全明晰夢のこと。
『ワンダー』(わんだー)
サキュバスと同じような存在。『ワンダー』という呼び名はルルディの造語。ルルディの説明に幹人は『他人の夢に勝手に入り込んで変な夢を見せる妖怪』と要約した。
カガミマクラはワンダーと人間の波長を合わせ、ワンダーが人間の夢に入り込むきっかけである。
ただし、夢の波長を知ってしまえば、カガミマクラのサポートがなくても自由に知っている人間の夢の中に入り込むことが可能。
呼び出した人間の夢の中に移り住んでいる間は、その人間が現実で見聞きしたことを少しなら知ることも出来る。
『夢見』(ゆめみ)
夢を操る才能のこと。
ルルディによると、『基本的にその人の妄想力や厭世観、現実逃避の割合が強ければ強いほど高まるもの』。
『完全明晰夢』(かんぜんめいせきむ)
『夢見』の力を極限まで高めた者しか見ることが出来ない、明晰夢の進化系。夢の世界を完全に制御し、自在に操作することが出来る。
この夢の中では想像は創造であり、見ている人間のイメージが夢の世界に反映される。例えば、お菓子の山を想像すれば、夢の世界はお菓子で一杯になる。
『完全明晰夢』を手に入れた人間の魂は肉体から切り離され、現実に戻る必要すらなくなる。
『アクム・クエスト』(あくむ・くえすと)
ルルディが編み出した、本人曰く『超革命的夢見特訓ゲーム』。
全部で十ステージあり、それぞれの悪夢に設けられたクリア条件を満たせば次のステージに進むことが出来る。
全てをクリアする頃には『完全明晰夢』が見られるくらいに『夢見』の力が高まる。

書誌情報[編集]

関連項目[編集]