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各種のプラニメータ
プラニメータ (Planimeter ) は、地図 など平面上の図形 の輪郭 をなぞることにより、その面積 を計測する装置。面積計 ともいう。
多角形の面積を計算するには図形の隣り合う2つの頂点とある特定の点を結んでできる三角形 の面積を加算(積分 )することで得ることができる。プラニメータはこの原理を利用している。
以前は写真のような機械式のものが多かったが、現在は二つの車輪の回転量から面積を測定するデジタル 型のものが主流になっている。
土木 測量 などの分野でよく使用される。
上図を用いてリニアおよびポーラープラニメータの動作を示す。測定する表面 S の輪郭 C にプラニメータの一端にあるポインタ M を沿わせる。リニアプラニメータの場合、エルボ E の動きはy軸上に制限されている。極プラニメータの場合、原点 O とつながっているアームのもう一方の端点にエルボ E は接続されている。アーム ME には、回転軸が ME に平行な測定ホイールが接続されている。アーム ME の動きは、ホイールが回転することで起こる ME に垂直な動きの成分と、ホイールが滑ることで起こる ME に平行な動きの成分とに分解される。平行な動きの成分は読み取りには影響しない。
リニアプラニメータの動作原理
動作原理の概略説明のため、例としてリニアプラニメータを用いて右図の長方形 ABCD の面積を測定することを考える。測定は以下のステップからなる。
ポインタ M を A から B に移動すると、アーム EM は黄色の平行四辺形
A
′
A
B
B
′
{\displaystyle A'ABB'}
を移動する。この平行四辺形の面積は PQ×EM に等しく、さら平行四辺形
A
″
A
B
B
″
{\displaystyle A''ABB''}
の面積とも等しい。測定ホイールで距離 PQ(EM に垂直)を測定する。
ポインタ M が C から D に移動すると、アーム EM は緑色の平行四辺形を反対方向に移動する。この平行四辺形の面積は長方形
D
″
D
C
C
″
{\displaystyle D''DCC''}
の面積に等しい。測定ホイールは前者からこの読み取り値を差し引く。
BC と DA に沿った動きは同じだが向きが反対であるため、ホイールの読み取りに正味の影響を与えることなく、互いに打ち消し合う。
最終的な結果として、ABCD の領域である黄色と緑色の領域の差の面積が測定される。
より数学的に厳密には、リニアプラニメータの動作は次式の成分を持つ (x,y ) 平面上のベクトル場
N
→
(
x
,
y
)
=
(
b
−
y
,
x
)
{\displaystyle {\vec {N}}(x,y)=(b-y,x)}
にグリーンの定理 を適用することで説明できる。ここで b はエルボ E の y 座標である。
このベクトル場
N
→
{\displaystyle {\vec {N}}}
は測定アーム EM に垂直である。つまり
E
M
→
⋅
N
→
=
x
N
x
+
(
y
−
b
)
N
y
=
0.
{\displaystyle {\overrightarrow {EM}}\cdot {\vec {N}}=xN_{x}+(y-b)N_{y}=0.}
また
N
→
{\displaystyle {\vec {N}}}
の大きさ(ノルム)は一定でありアームの長さ m に等しい。つまり
‖
N
‖
=
(
b
−
y
)
2
+
x
2
=
m
.
{\displaystyle \|N\|={\sqrt {(b-y)^{2}+x^{2}}}=m.}
したがってグリーンの定理を用いて
∮
C
(
N
x
d
x
+
N
y
d
y
)
=
∬
S
(
∂
N
y
∂
x
−
∂
N
x
∂
y
)
d
x
d
y
=
∬
S
(
∂
x
∂
x
−
∂
(
b
−
y
)
∂
y
)
d
x
d
y
=
∬
S
d
x
d
y
=
A
{\displaystyle {\begin{aligned}\oint _{C}(N_{x}\mathrm {d} x+N_{y}\mathrm {d} y)&=\iint _{S}\left({\frac {\partial N_{y}}{\partial x}}-{\frac {\partial N_{x}}{\partial y}}\right)\mathrm {d} x\mathrm {d} y\\&=\iint _{S}\left({\frac {\partial x}{\partial x}}-{\frac {\partial (b-y)}{\partial y}}\right)\mathrm {d} x\mathrm {d} y\\&=\iint _{S}\mathrm {d} x\mathrm {d} y\\&=A\end{aligned}}}
となる。ここで
∂
∂
y
(
y
−
b
)
=
∂
∂
y
m
2
−
x
2
=
0
{\displaystyle {\frac {\partial }{\partial y}}(y-b)={\frac {\partial }{\partial y}}{\sqrt {m^{2}-x^{2}}}=0}
を用いた。
したがって上式の左辺は輪郭で囲まれた面積 A に等しい訳だが、これはホイールで測定された距離に比例する。比例係数は測定アームの長さ
m
=
‖
N
‖
{\displaystyle m=\|N\|}
である。
リニアプラニメータはその測定アームに垂直な動きのみを、あるいは
N
x
d
x
+
N
y
d
y
≠
0
{\displaystyle N_{x}\mathrm {d} x+N_{y}\mathrm {d} y\neq 0}
のときのみ記録を行っていることに注意する。上記の導出にはこのことが用いられている。この量を閉曲線 C で積分しグリーンの定理を用いることで面積が導出される。