ドライアイス洗浄

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。219.127.28.98 (会話) による 2012年5月6日 (日) 11:24個人設定で未設定ならUTC)時点の版であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

ドライアイス洗浄(ドライアイスせんじょう)は、洗浄物の表面にドライアイスを吹きつけて洗浄する方法。

概要

この洗浄手法を用いた装置をドライアイス洗浄機といい、ドライアイスで洗浄できる意外性からテレビ番組『世界一受けたい授業』で紹介されるなど、マスコミでも話題となっている。コンプレッサーの圧縮空気を使い、ドライアイス洗浄機を通じて洗浄する。サンドブラストに比べてアルミナなどの後処理に困らないと考えられ、粉塵公害なども起こりにくいものと考えられている。

ドライアイス洗浄機は機内でドライアイスペレット(3mmペレット)を弱い圧力で必要量にして集めた後、300m/分の速度で一気に放出される。粒状またはパウダー状のドライアイスを圧縮空気と一緒に洗浄対象物に吹きつけ、汚れを落とす。ドライアイス洗浄は欧米諸国では非常に実績が高く、この洗浄方法が生まれてから約25年の歴史になろうとしている。国内でも採用する企業が徐々に増えてきており、先進性の高い生産技術や保全部門などで採用されていたが、軽量コンパクトで低価格のモデルも発売されるなど、中小の工場にとっても手に届きやすくなってきた。しかし、大量の圧縮空気を利用するため、それに対応したコンプレッサーの使用が求められたり、ノズルからの騒音がするといった課題も抱えている。ドライアイスペレットは安価で流通しており、専用保冷容器に入れれば1週間ほど保管できる。

洗浄方法

  1. 高速でドライアイスペレットを吹き付ける。
  2. ドライアイスの極度の低温(-78.9℃)による熱収縮の効果により付着物が急速に割れる。
  3. 剥離した付着物と母材との間にドライアイスが入り込んで急激に気化し、その体積が750倍へ膨張変化し、この体積変化により洗浄する。

洗浄物

注意すべき点

ドライアイス洗浄の密閉空間での使用は、酸素欠乏だけでなく二酸化炭素中毒にも気をつけなければならない。コンプレッサー内の大量に圧縮した空気(1m3/min以上)を必要とする洗浄方式のため、通常二酸化炭素濃度が3%を超える可能性は低いとされているが、同じ作業エリア内に複数の同時洗浄作業、または大量のドライアイスが長期間保管されているなど、重なった要因により危険な状態に置かれることも考えられる。対策として、専門の機関やメーカーに強制換気システム、洗浄ブース、回収装置など提案を求めると良い。二酸化炭素濃度計も安価に手に入るため、携わる人は携帯して作業にあたる。また、保護のために保護メガネ耳栓手袋を使用する。