シングルトン限界

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シングルトン限界: Singleton bound)とは、符号のパラメータの比較的大雑把な限界値を指す。符号 C のパラメータとは、符号語の長さ 、シンボル数(アルファベット、最小ハミング距離 である。

定理[編集]

個の要素の上の符号において、符号語の長さが であり符号の最小ハミング距離が であるとする。すなわち、任意の2つの符号語 について が成り立つとする。

このような符号の符号語数の最大値を とする。このとき

が成り立つ。

証明[編集]

q進数の符号で、符号語の長さが n なら、符号語数 r の最大は qn となる(符号語の各桁は他の桁とは独立に q 種類の値をとりうるため)。

C がq進数の符号であるとする。その全符号語 はそれぞれ異なる。各符号語の先頭から 桁を除去したとき、全符号語の最小ハミング距離 なので、残った符号語もそれぞれ異なる値でなければならない。したがって、符号語数 は変化しない。

この新たな符号の長さは

となり、可能な最大符号語数は

となる。したがって、元の符号も符号語数について同じ限界を持つ。

関連項目[編集]