エピゴーネン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。ナリブ (会話 | 投稿記録) による 2018年7月12日 (木) 12:50個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎関連項目)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

エピゴーネンドイツ語: Epigonen)は、文学芸術の分野などで、優れているとされる先人のスタイル等をそのまま流用・模倣して、オリジナル性に欠けた作品を制作する者を指す。「模倣者」、「亜流」、「身代わり」。

現代において「パクリ」と言われるものも、用法的な意味合いとしてはこれに極めて近い。

言葉の由来

「エピゴーネン」という言葉はドイツ語から日本語に入った概念であるが、大元をたどれば古典ギリシア語の「エピゴノイ(epigonoi, επιγονοι)」からの派生である。エピゴノイは「エピゴノス」の複数形で、エピゴノス(epigonos)は、「後に生まれた者」を意味する。

ギリシア神話においては、アドラストスを指揮者とするテーバイ攻めの七将が敗死した後、10年後に、七将の子供たちが復讐を誓い、再びテーバイを攻めた故事において、この七将の子供たちを、「エピゴノイ」と呼んだ。これにちなんで「先人の行為の模倣者」というような意味のエピゴーネンが生まれた。

エピゴーネンの例

エピゴーネンの例は非常に多数存在している。オリジナルの芸術等に高い価値があり、エピゴーネンは芸術性において劣っていると見なされるのが通常である(模倣した者の方が同等かそれ以上に優れていた場合は、エピゴーネンとは呼ばず、「影響を受けた者」「発展形」ということになる)。

歴史的に顕著なものとしては、古典ギリシアにおける様々な芸術と、その文化継承者であるローマの関係が、大なり小なり創造者とエピゴーネンの関係になる。特にギリシアの彫像技術は、高度な芸術品で、ペイディアスの作品などは古代において広く名声を博していた。

古代ローマは軍事や土木建築の技術には卓越していたが、芸術的感性では凡庸なところがあり、ローマ時代に、古代ギリシアの彫刻像を模倣して造られた多数の彫像は、芸術的にオリジナルと比較しようもない水準のものであった。ローマの彫刻家たちは、こういう意味で、ギリシアの彫刻家のエピゴーネンということになる。

芸術分野以外でのエピゴーネン

エピゴーネンは文学や芸術だけではなく、例えば、政治体制政治思想、または一般的な哲学思想工業技術などにおいても存在する。

関連項目