Y-Δ変換

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。ROE100 (会話 | 投稿記録) による 2022年11月25日 (金) 06:59個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (tmp)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

Δ接続回路とY接続回路

Y-Δ変換(ワイ-デルタへんかん、Y-Δ transform)、スターデルタ変換(star-delta transform)、T-Π変換(ティ-パイへんかん、T-Π transform)とは、Y字型に接続したY接続(Y diagram)回路と、三角形に接続したΔ接続(Δ diagram)回路が、等価の回路になるように変換する手法である。回路の形状がアルファベットのY・Tやギリシア文字のΔに見えることからこの名前がつけられた。なお、イギリスではY接続回路をスター接続(star diagram)回路と呼ぶ。

一部の文献では、Y接続からΔ接続への変換をY-Δ変換と定義し、逆変換(Δ接続からY接続への変換)を、Δ-Y変換デルタスター変換Π-T変換と記載している。

Y-Δ変換の基本

変換は図に示す3端子の回路で行なわれる。それぞれの回路の端子は同一の端子である必要がある。この変換式は、実数(抵抗素子)の場合だけでなく、複素数(容量素子、誘導素子)の場合でも成立する。

Δ回路からY回路への変換

一般に、Y接続回路のある端子に接続されるインピーダンスRyは、Δ接続回路で隣接するノードへのインピーダンスから次のように表される。

ただし、はΔ接続回路の全てのインピーダンスの和である。これから次式が得られる。

  • 上記公式の導出は、以下のように行う。

1. 並列接続した抵抗値を求める公式から以下の3式を導く

2. 上記3式の両辺を足して、以下の式を導く

3. 元の3式との差を取ることで、インピーダンスを計算する式が導きだせる

例)

との差を取ると、

Y回路からΔ回路への変換

一般に、Δ接続回路のある端子間に接続されるインピーダンスは、以下の式で表される。

ただし、であり、Y接続回路中のインピーダンスの2つの積の和である。は、に対抗する辺のインピーダンスである。これから次式が得られる。

グラフ理論

グラフ理論ではY-Δ変換は、グラフ中のYのサブグラフを同等のΔのサブグラフに置き換えることである。この変換はグラフのエッジの数を増加させることは無いが、グラフのノードの数を増加させる。2つのグラフは、Y-Δ変換と逆変換を行い、もとに戻るのであるなら、Y-Δ等価であるという。例えば、ピーターセングラフはY-Δ等価なクラスである。