Y-Δ変換

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Δ接続回路とY接続回路

Y-Δ変換(ワイ-デルタへんかん、Y-Δ transform)、スターデルタ変換(star-delta transform)、T-Π変換(ティ-パイへんかん、T-Π transform)とは、Y字型に接続したY接続(Y diagram)回路と、三角形に接続したΔ接続(Δ diagram)回路が、等価の回路になるように変換する手法である。回路の形状がアルファベットのY・Tやギリシア文字のΔに見えることからこの名前がつけられた。なお、イギリスではY接続回路をスター接続(star diagram)回路と呼ぶ。

一部の文献では、Y接続からΔ接続への変換をY-Δ変換と定義し、逆変換(Δ接続からY接続への変換)を、Δ-Y変換デルタスター変換Π-T変換と記載している。

Y-Δ変換の基本[編集]

変換は図に示す3端子の回路で行なわれる。それぞれの回路の端子は同一の端子である必要がある。この変換式は、実数(抵抗素子)の場合だけでなく、複素数(容量素子、誘導素子)の場合でも成立する。

Δ回路からY回路への変換[編集]

一般に、Y接続回路のある端子に接続されるインピーダンスRyは、Δ接続回路で隣接するノードへのインピーダンスR'R''から次のように表される。

R_y = \frac{R'R''}{\sum R_\Delta}

ただし、\sum R_\DeltaはΔ接続回路の全てのインピーダンスの和である。これから次式が得られる。

R_{a} = \frac{R_{ab}R_{ac}}{R_{ab} + R_{bc} + R_{ac}}
R_{b} = \frac{R_{ab}R_{bc}}{R_{ab} + R_{bc} + R_{ac}}
R_{c} = \frac{R_{bc}R_{ac}}{R_{ab} + R_{bc} + R_{ac}}
  • 上記公式の導出は、以下のように行う。

1. 並列接続した抵抗値を求める公式から以下の3式を導く

R_{a}+R_{b} = \frac{R_{ab}(R_{bc}+R_{ac})}{R_{ab} + (R_{bc} + R_{ac})}
R_{b}+R_{c} = \frac{R_{bc}(R_{ac}+R_{ab})}{R_{bc} + (R_{ac} + R_{ab})}
R_{c}+R_{a} = \frac{R_{ac}(R_{ab}+R_{bc})}{R_{ca} + (R_{ab} + R_{bc})}

2. 上記3式の両辺を足して、以下の式を導く

R_{a}+R_{b}+R{c} = \frac{R_{ab}R_{bc}+R_{bc}R_{ac}+R_{ac}R_{ab}}{R_{ab} + R_{bc} + R_{ac}}

3. 元の3式との差を取ることで、インピーダンスを計算する式が導きだせる 例)

R_{b}+R_{c} = \frac{R_{bc}(R_{ac}+R_{ab})}{R_{bc} + R_{ac} + R_{ab}}

との差を取ると、

R_{a} = \frac{R_{ab}R_{ac}}{R_{ab} + R_{bc} + R_{ac}}

Y回路からΔ回路への変換[編集]

一般に、Δ接続回路のある端子間に接続されるインピーダンスR_\Deltaは、以下の式で表される。

R_\Delta = \frac{R_P}{R_\mathrm{opposite}}

ただし、R_P = R_{a}R_{b}+R_{b}R_{c}+R_{c}R_{a}であり、Y接続回路中のインピーダンスの2つの積の和である。R_\mathrm{opposite}は、R_\Deltaに対抗する辺のインピーダンスである。これから次式が得られる。

R_{ab} = \frac{R_{a}R_{b}+R_{b}R_{c}+R_{c}R_{a}}{R_{c}}
R_{bc} = \frac{R_{a}R_{b}+R_{b}R_{c}+R_{c}R_{a}}{R_{a}}
R_{ac} = \frac{R_{a}R_{b}+R_{b}R_{c}+R_{c}R_{a}}{R_{b}}

グラフ理論[編集]

グラフ理論ではY-Δ変換は、グラフ中のYのサブグラフを同等のΔのサブグラフに置き換えることである。この変換はグラフのエッジの数を増加させることは無いが、グラフのノードの数を増加させる。2つのグラフは、Y-Δ変換と逆変換を行い、もとに戻るのであるなら、Y-Δ等価であるという。例えば、ピータースン・グラフはY-Δ等価なクラスである。