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Wikipedia:良質な記事/良質な記事の選考/氷貿易 20190210

氷貿易 - ノート[編集]

選考終了日時:2019年2月24日 (日) 16:29 (UTC)2019年3月10日 (日) 16:29 (UTC)

  • (推薦)2019年1月の月間新記事賞受賞による自動推薦。--Eryk Kij会話2019年2月10日 (日) 16:29 (UTC)[返信]
  • 賛成 とても面白い主題だと思いました。元の英語版がよくまとめられていたのでしょうが、優れた内容です。ice tradeをどう訳すかという悩みがありますが、貿易に限らずアメリカ国内での取引も含まれていることを考えると、「氷取引」か「氷産業」という訳もありではないかと思います。後者だと現代の人工氷産業についても触れなければならなくなるかもしれませんが。--Tam0031会話2019年2月12日 (火) 14:58 (UTC)[返信]
  • 賛成 かつて栄えた一つの産業について、大変読みやすく解説されているものと思います。項目名についてはTam0031さんのご指摘の点は気になりますが、流通の話がメインのようなので「氷貿易」か「氷取引」かなと思います。項目名としては氷貿易が目を引きやすいでしょうか。--Mogumin会話2019年2月15日 (金) 12:25 (UTC)[返信]
  • 賛成 翻訳記事ということで訳語の問題などはあるかと思いますし出典そのものは全く確認していませんが、関連する画像や動画まできちんと整備され、また全体の構成が優れた記事であり、経済史や産業史の記事として申し分ない水準であると思います。--TEN会話2019年2月18日 (月) 16:04 (UTC)[返信]
  • 平成最後の執筆者さんの検証を受けてですが、一時賛成票を取り消したいと思います。基本的に優れた記事であるという認識は変わりませんし、多少誤訳が残存していても大枠の理解が変わらなければそこまで重視する必要はないとも思うのですが、検証内容のうち1番についての指摘事項は妥当であるように見え、選考終了前に修正(或いは下記指摘事項の反映)が行われた方が良いのではないかと思います。自分で確認と修正をやってみようと思ったのですが、事前知識も参考文献の手持ちも無い題材のため自分の英語力ではむしろ誤訳を付け加えかねないため手が出ていません。4のカバーする内容範囲として日本に関する情報は確かにあればより良いとは思いますが、現状結構手堅く構成がまとまっているように思えるので、私見としては網羅していなくても良質な記事としては十分だと思います。5の記事名については最終的に変更されるにせよされないにせよ、選出に問題は無いと考えます。--TEN会話2019年2月19日 (火) 16:01 (UTC)[返信]
  • コメントとても興味深いトピックですし、ボリュームもありますので翻訳したという意味では功労賞に値すると思います。
一応の日本語になっていますので、日本語だけを読む方には気づきにくいかもしれませんが、すでに多くの修正がなされているものの、まだ修正の余地が残っています。ウィキペディアの「良質な記事」の目安を見ますと、翻訳記事の場合に訳文の正確性や出来自体を問題にするような基準はなさそうなので、コメントといたします。個人的には、これでいいんだろうかという疑問はありますが。
これだけの長文ですとなかなか全文を検証できませんので、今までに気付いた点のみを記します。特に後半は部分的にしか読めていません。
  • 1.翻訳の内容について
>>貿易の始まり、1800年–1830年
  • (英語)West Indies (訳語)インド西部 → (正)西インド諸島
チューダーは結果的には「インド」にも輸出しましたが、最初に狙った市場は「西インド諸島」です。まさしくコロンブスも間違えた点ですね。
  • At these lower prices, ice began to sell in considerable volumes, with the market moving beyond the wealthy elite to a wider range of consumers, to the point where supplies became overstretched.[29] 価格がここまで下がったことで、氷は相応に大規模な取引がされるようになった。富裕層だけでなくさまざまな階級の消費者に氷の市場は開かれるようになり、供給過剰状態にすら陥った[29]。
最後の部分の訳が逆の意味になっています。"overstretch"は"make excessinve demands on"(Oxford新英英辞典)で、「供給が追いつかなくなった」となります。メイン州や氷河など、チューダーが他の供給源を模索したところの記述につながる伏線です。参考文献の原文は"cut-rate prices lowered depot supplies to the danger point"です。この文脈ですので、considerableは「大幅に」といった意味で、「価格を下げると取引量が大幅に増え、富裕層だけでなくさまざまな階級の消費者に氷の市場が開かれ、ついには供給が追いつかなくなる場合もあった」といったところです。
  • The price of the imported ice varied according to the amount of economic competition; in Havana, ... 輸出された氷の価格は、競争原理が働いたこともあり、時と場合によって流動的であった。ハバナでは、 ...
原文は"varied according to" + "the amount of" + "economic competition" と書いていて、「競争の激しさに左右された」と述べています。この後に続く説明は、米国内では(おそらく産地に近く、競争があったから)価格が安く、ハバナではチューダーがダンピングで競合を寄せ付けなかったと説明しています。本土では競争原理が働いたかもしれないけれど、ハバナではチューダーがコスト割れで売ったり、再度価格を上げたりして意のままに市場価格を操作できた、すなわち「市場原理は働かなかった」というわけです。
>>拡大と競争、1860年–1880年
  • Less trade was brought through New England as other ways of reaching western US markets were opened up, making it less profitable to trade ice from Boston, while the cost of producing ships in the region increased due to deforestation. ニューイングランドを起点とする貿易が衰退したことで、アメリカ西部と取引をするための選択肢も広がり、ボストン産の氷を輸出しても事業としては儲からなくなっていった。さらにこの地では森林伐採も進んでいたため、船舶の建造費も上昇していた[92]。
原文が正しいとしても、ここは因果関係が逆に訳されていて、英語記事は「as other ways of reaching western US markets were opened up」(西部の市場への新たな流通経路が開けたため)、「Less trade was brought through New England」(ニューイングランドを経由する取引が減)と書いてあります。ただ、ここの記述を修正するために、参考文献を確認したところ、他の問題がありましたので、それについては後述します。
>>貿易の消滅、20世紀
  • In response to this increasing competition, natural ice companies examined various options. Some invested in plant ice themselves. 人工氷との競争が新たな段階に入ったことで、天然氷を取り扱う会社の経営者はいくつかの選択肢を試した。例えば人工氷そのものに投資をする者もいた。
"themselves"は"Some (of the natual ice companies)"を指しているので、「人工氷そのもの」ではなくて、「天然氷を取り扱う会社自身が」人工氷に投資した、という意味です。
  • The Natural Ice Association of America was formed to promote the benefits of natural ice, and companies played on the erroneous belief amongst customers that natural ice melted less slowly than manufactured ice.[142] 天然氷のよさを広報していくためにアメリカ天然氷協会が設立され、また各社でも消費者に広まっている、天然氷は人工氷よりも溶けるのが速いという誤解の訂正に努めた[142]。
先に訳文の修正を手がけてくださった方がご指摘のとおり、原文の参考文献を見るとこれは原文が誤っていることがわかります。less slowlyではなくmore slowlyが正しく、"play on"は少し前の「こうした汚染に対する不安感を利用」にも使われていて、つけ込む、利用する、などの意味があります。つまり、「天然氷は人工氷よりも解けるのが遅いという誤解につけ込んで天然氷の販促に努めた」という意味です。なお、原文の記事に使われていない他の文献には「アメリカ天然氷協会」自身がそうした「デマ」を流布したと書いてあるものあります。
>>貿易の最盛期、1880年–1900年
>>輸送
  • ... and conditions were laid down on the handling of the ice along the route. 条件は航路を進むあいだの氷の扱い方に基づいて変えられた
「航海中の扱い方が定められた」という意味でしょう。
>>食用
  • The ice trade enabled the consumption of a wide range of new products during the 19th century. 氷貿易が盛んになったことで19世紀には食用としての氷に様々な新しい使われ方が生み出された。
後続の例でわかるように、必ずしも氷自体が食用だったわけではなく「氷の流通によってさまざまな新しい商品が生まれた」という主旨でしょう。
  • 2.原文の問題点について
上で書いた原文に関する疑問点です。以下はひとつのパラグラフです。たまたま訳文を修正しようとして、参考文献を読めるかたまりでした。このような問題がこの部分以外にあるかどうかは不明です。
  • In supplying this demand, the ice trade increasingly shifted north, away from Massachusetts and towards Maine.[90]こうした需要をみたすため、氷貿易の中心地がマサチューセッツ州からさらに北のメーン州に移るまで時間はかからなかった
参考文献を見ても、マサチューセッツ州から shift away したとはっきり書いてあるわけではありません。ただ、ニューイングランド南部の需要が高まって、南部諸州の地元の供給では足りなくなったので、メイン州に採氷ブームがきた、とは書いてありますので、こう(英語で)書いても大きく違いはしないのかもしれません。なお"increasingly"は「時間はかからなかった」より「徐々に/ますます」の方が原文の意図に近いかと思います。
  • Various factors contributed to this.
「これにはさまざまな要因があった」という記述自体には出典がありません。ここから英語版の記事が独自のロジックを展開しています。
  • 理由① New Englands' winters became warmer during the 19th century, while industrialisation resulted in more of the natural ponds and rivers becoming contaminated.[91]
参考文献は、「マサチューセッツ州からインドへの輸出が減った要因」としてこれを一つに挙げています。産地がメイン州に移ったとは言っていません。
  • 理由② Less trade was brought through New England as other ways of reaching western US markets were opened up, making it less profitable to trade ice from Boston, while the cost of producing ships in the region increased due to deforestation.[92]
参考文献はまったくこのようなことを言っておらず、運河や鉄道がニューヨークを発着点として発達したので、ボストンの商業のハブ(中心地)としての機能がニューヨークにとられ、氷取引についてもニューヨークよりボストンが物流の拠点として不利になったことを説明しています。最初の「マサチューセッツ州からメイン州への氷取引のシフト」の理由にするためか、原典を曲解しています。
  • 理由③ Finally, in 1860 there was the first of four ice famines along the Hudson-warm winters that prevented the formation of ice in New England-creating shortages and driving up prices.[88] ついに1860年にはハドソン川流域の暖冬により最初の氷飢饉(英語版)が起こり、ニューイングランド産の氷はその在庫が払底したことで値上げを余儀なくされた[88]。
ここは訳語の選択の問題になりますが、この"Finally"は「ついに」というより、いくつか挙げた理由の「最後に」というところかと思います。


  • 3. その他訳文について
* 訳文を読んでやや気になった点のひとつとして、「~すること」の多用があります。一回も使ってはいけないというのではないのですが、無用に冗長な場合もあります。
たとえば、
収獲した魚を氷によって保存することが可能になったイギリスの漁師は、さらに航路を伸ばして漁獲高を増やすことができるようになった。
は、
収獲した魚を氷で保存できるようになり、イギリスの漁師は航路を伸ばして漁獲高を増やせるようになった。
売れ残りの氷を利用することで新鮮な状態を維持することができた
売れ残りの氷を利用して新鮮な状態を維持できた
のように見直せば全体的にすっきりしそうです。
* 「~たり、~たり」表現の二つ目の「~たり」が省略されているケースがいくつかありました。「実害はない」という考え方もあるそうですが、できるだけ基本に忠実な書き方にする方がよいかと思います。[氷 1]
* 4. カバーする内容について
* 日本語版なら、日本に関わる記述もあって欲しいと感じます。ボストン産の氷は日本にもやってきたそうで、「ボストン氷」と呼ばれたそうです。[氷 2] こちら [氷 3]は個人の方のサイトのようですが、参考になりそうな関連文献のリストやリンクがたくさんあります。
* 5. 記事名について
他の方が全員口をそろえて指摘なさっているように、やっぱりこの項目は「何の記事だったんだろう」と感じるところがあります。アメリカという国の性格もあって州際取引も "trade" です。日本語でこれを「貿易」とするとどうしても国際取引を第一に想像する一方で「アメリカ国内」に関する記述の多いのがひっかかる原因のひとつになっているのではないでしょうか。何がベストかすぐには思い付かないのですが、一単語でなくてもよいのなら「19世紀前後の氷業(氷産業)と流通」などでもいいのだろうかと考えていました。
* その他の参考資料 http://wattandedison.com/nakanishi_reinetsu.pdf

--平成最後の執筆者会話2019年2月19日 (火) 10:01 (UTC)[返信]

  • コメント 選考終了時点で賛成2票のため、選考期間が2週間自動延長となります。--Mogumin会話2019年2月24日 (日) 23:39 (UTC)[返信]
  • コメント 上記平成最後の執筆者さんの指摘事項は大変有効であると考えましたので、勝手ながらこちらで反映する作業を行いました。1番の訳の問題点は、ほぼそのまま使えると考えて反映しました。2番の原文に含まれる出典との乖離は、現時点で判断が難しいと考えて、若干の表現の修正以外はそのままです。3番の文章の推敲は、またこれからおいおいやろうと考えています。4番の日本での事情については、ニチレイのウェブサイトのコラムは信頼できる情報源に当たると思われますので、これを参考に若干の追加を行いました。記事名についてはまた検討が必要かと思います。--Tam0031会話2019年2月26日 (火) 16:17 (UTC)[返信]
  • コメント Tam0031さん、ありがとうございます。私がここで指摘した、あるいは指摘する点につきましては、どなたでも遠慮無く改善作業を行ってください。
このエントリーについては、翻訳だけでなく原文もすべてを再検証する必要がありそうだと感じましたので、前回の指摘以降、可能な限り英語記事原文の参考文献を読んで一文一文を確かめています。もっとも、この項目のかなりの部分を占める Cummings, Richard O. (1949). The American Ice Harvests: A Historical Study in Technology, 1800–1918. Berkeley and Los Angeles: California University Press. OCLC 574420883 は書籍を購入しない限り全文を読む方法がなくスキップするほかないのと、全体が多いのでいまだに全部を両言語で読破しきれていません。
前回以降の検証で気付いたのは、英語原文はよくまとめてあるように見えて、複数の参考文献をつなげて独自のロジックを展開しているきらいがある点(たとえば、In the early 1860s, Lake Oppegård in Norway was renamed "Wenham Lake" with the aim of confusing the product with New England exports, and exports to England increased.[86] はいかにももっともらしいが、参考文献はウェンナム湖を騙ることが英国への輸出が増えた原因とは書いていない)、それに参考文献からのまとめ方がはしょり気味で、その真意を確かめないまま単語・文章の置き換えをしている、思い込みで変換しているために日本語で書かれた説明が不明瞭・不正確・または本来の意味からずれた表現になっている(たとえば、the report was successfully challenged by the natural ice industry, この報告書は天然氷業界からの抗議で取り下げられたが)点があるということです。このほか、英語の記事がそもそも史実を整理しきれていない部分もあります(ワイエスが発明した器具に関する記述)。
以上の点を前回と同様、詳細に説明しようとすると非常に時間がかかりますが、今回はそこまで手が回りませんでした。率直な感触として、この記事については分量が多いだけに相応の時間をかけて改善を加えてやる必要があるように思います。--平成最後の執筆者会話2019年2月27日 (水) 16:47 (UTC)[返信]

選考終了時点で賛成3票のため、通過となります。--Mogumin会話2019年3月10日 (日) 23:33 (UTC)[返信]