Wikipedia:良質な記事/良質な記事の選考/抗生物質 20211011

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選考終了日時:2021年10月25日 (月) 00:05 (UTC)2021年11月8日 (月) 00:05 (UTC)

  • 賛成 テーマについて大変よくまとめられており、よくあるような、部分的には過剰なほど詳細に解説されているのに全体的には不足が感じられるような記事でもなく、一方で、§3.1 「抗菌薬として使用される抗生物質」のように、説明で必要になる前提知識は簡潔に記述されており、アメリカン航空191便墜落事故と同様に、「痒いところに手が届く」ような丁度良い説明になっています(ただし、後述するように「βラクタマーゼ」に関連する部分だけはいただけませんが)。予備知識もさほど必要なく読める内容で(といっても高校の生物学程度の基礎知識は必要ですが、学問的分野におけるWikipediaの記事はどんなものでも、その程度の基礎知識は必要でしょう )かつ、簡潔すぎない程度には掘り下げた説明がなされており、必要十分な内容だと思います。全体的には非常にバランスよく書かれている記事だと思います。改めて査読依頼の方も拝見しました。査読依頼以前の版と比較すると相当質が上っていると思います。かなり大き目になった記事を改めてここまで書き直すのはなかなか大変だったと思います。まずはお疲れ様でした。
全般
§1「名称と定義」では「抗生物質への耐性の歴史も非常に古く、抗生物質が発見されるはるか昔、数十億年前からある種のβラクタマーゼは存在していたと推定されている。 」 文脈から考えれば、「βラクタマーゼ」とは、抗生物質を無効化するために細菌類などが産生する物質であろう、と推測はできます。が、やはりもう少し補足的な解説が欲しいところです。また、§5.3 「併用療法」でも「抗生物質が抗生物質への耐性を抑える薬剤と共に用いられることもある。例えば、β-ラクタマーゼを持つ細菌に感染した患者に対しては、βラクタム系の抗生物質がクラブラン酸やスルバクタムのようなβ-ラクタマーゼ阻害薬と併用されることがある」とありますが、これも同じです。§7.1.2「耐性のメカニズム」まで読めば、結局のところ「β-ラクタマーゼを持つ細菌=βラクタム系耐性菌」ということはわかりますが、最初から読んでいくとわかりません。さすがにこれは予備知識として要求するのは無理かと思われるので、「耐性のメカニズム」にアンカーリンクを貼るか、その場で注釈をいれるか、「β-ラクタマーゼを持つ耐性菌」あるいは単に「耐性菌」とするかが望ましいでしょう。
§1 名称と定義
まあどうでもいいことかもしれませんが、"antibiotic" の日本語訳としての「抗生物質」という言葉は、いつ、誰が、どこで使い始めたのでしょうか。
  • 「抗生物質の単語を初めて定義したのは、抗生物質の一種ストレプトマイシンを発見してノーベル賞を受賞したセルマン・ワクスマンである」
何時どのような形(論文または著書の中で、あるいは学会での提案など)で定義を発表したのか、という情報も欲しいところです。
  • 「抗生物質が高い濃度で存在しない自然界において抗生物質は抗生作用を示さないことが知られる」
この文の意味がはっきりつかめません。これは、自然界において、ある環境やある生物体の内外で「抗生物質」として知られる物質が存在することが確認されても、その周辺で「抗生作用」と認められるような現象は観察されない、ということでしょうか。
  • 「厳密には抗生物質には含まず「合成抗菌薬」と呼ぶが、抗生物質として扱われることもある。一方、ポリエンマクロライド系のように細菌ではなく真菌に毒性を示して...(中略)...物質も微生物に由来する薬剤として利用されている。」
この文脈では、「一方」以下で紹介されている物質は「抗生物質」としては扱われない、と解釈されかねません。少なくともポリエンマクロライド系は、後の§3.2「抗真菌薬として使用される抗生物質」において歴とした抗生物質として扱われているので、文章として違和感があります。その前の「天然の誘導体から半合成されるものもある」「半合成の抗菌薬も抗生物質と呼ばれる」も含めて説明の流れを再構成した方がよいと思います。
§2.2 合成抗菌薬の開発
  • 「近代的な抗生物質の歴史はサルバルサンを開発したポール・エーリッヒと、ペニシリンを発見したアレクサンダー・フレミングの2人と結びつけられることが多く」
本節もよく読むと「前史」ですね。エーリッヒは「抗生物質」を発見したわけではなく、抗生物質の発見に関連するエーリッヒの業績は、「合成抗菌薬の発見」、「スクリーニングを用いた治療薬開発の手法の開発」、「選択毒性に基づく感染症の化学療法という概念の確立」という点にあると思います。うっかり読むと「エーリッヒが抗生物質を発見した」と読めるので、抗生物質の歴史におけるエーリッヒの立場と貢献をもう少し明瞭化して説明した方がよいと思います。
§3.1.2 タンパク質合成阻害薬
  • 「タンパク質合成阻害薬の選択性は単に親和性に依存しており、量的な選択毒性を示す」
この文の意味がわかりません。「量的な選択毒性を示す」 というのは、薬が毒性を示す細菌の種類は投与量によって異なる、という意味でしょうか。そういう意味だとしても「選択性は単に親和性に依存しており」との関連がわかりません。
§4.3 抗生物質の生産
  • 「半回文培養」
おそらくこの段落における解説の要になるキーワードだと思いますが、字面だけ見ても、どのような方法なのかまったく見当がつきません。日本語版に項目がないのは仕方無いですが、せめて英語版にでも記事があればそちらへのリンクをお願いします。それもなければ注釈でも欲しいところです。
§ 6.1 動物に対する使用
  • 「成長促進を目的とした経済動物に対する長期の低容量の抗菌薬の使用である。」
これは初めて知りました。家畜への長期間に渡る抗生物質投与の是非を巡る議論は知っていましたが、家畜への投与も感染症予防の為だとばかり思っていました。成長促進作用の機構については、抗菌作用とは別の機構、もしくは抗菌作用と同じ機構による一種の副作用と思われますが、それについてもどこかの節で(やはり本節が最適でしょうか)簡単な解説が欲しいと思います。
  • 「アボパルシンはグラム陽性菌に効果を示す抗生物質として家禽やブタの成長促進用途で使用されるが、...」
家畜に投与する目的が成長促進のためであって、治療や感染症予防のためでないのなら、「抗生物質として」は文脈上おかしいです。たとえば「グラム陽性菌に効果を示す抗生物質であるアボパルシンは、成長促進の目的で家禽やブタに使用されるが、...」などとした方がよいと思います。
§ 6.2 植物に対する使用
  • 「高容量では毒性が問題となる」
この「毒性」というのは対象とする植物自体に対する毒性の問題でしょうか。それとも他の生物やヒトなどに対する環境汚染の原因としての問題でしょうか。
--Loasa会話2021年10月17日 (日) 07:08 (UTC)[返信]
  • 賛成 同じく、的確なまとめになっている記事だと思います。細胞壁の合成阻害が基本的な抗生物質の作用機序だと思っていたので、植物にも使うと聞いて驚きました。量的な問題で対象の植物には影響が出なくて済むのか、それとも作用機序が違う抗生物質を使うのか、といったあたりが気になります。--Tam0031会話2021年10月18日 (月) 14:22 (UTC)[返信]
  • 報告 選考期間終了時点で賛成票のみが2票ある状態であったため、選考期間が2週間自動的に延長されます。 --紅い目の女の子(会話/履歴) 2021年10月25日 (月) 01:06 (UTC)[返信]
  • 賛成 抗生物質は文章中にも出てくるモノバクタム系の記事を立項したこともあり愛着があります。読みやすい良い記事だと思います。名称に関しては厳密に分けようと試みた時代もありましたが現在は記事の内容に即した認識になっていると思います。量、質とも基準を超えていると判断いたしました。--Hanabishi会話2021年10月29日 (金) 13:59 (UTC)[返信]

賛成のみ3票以上の状態が48時間継続のため、早期終了・通過となります。--Tam0031会話2021年10月31日 (日) 14:24 (UTC)[返信]