Wikipedia:井戸端/subj/Google翻訳者ツールキットについて

Google翻訳者ツールキットについて[編集]

英語版などの他言語版記事翻訳に関して皆様のご意見を賜りたいと思います。Wikipedia:翻訳のガイドライン#翻訳記事に関する一般的注意事項にあります通り通常翻訳に際し一部の翻訳ソフトを除き機械翻訳は使用しないことになっています。しかしノート:Google Translation Toolkitをご覧いただければわかりますが、Google Translation Toolkit(Google翻訳者ツールキット)を使用する方法があり、ウィキメディア側でも紹介されているそうです。その記事「Google Translation Toolkit」も作成者がそれを使って翻訳したとのことです。しかし作成された方は削除になっても構わないとノートで仰っています。ですが、他の方が同じ方法で翻訳して物議をかもす可能性があると私は考え、このツールを使用することへの是非を皆様にお聞きしたいのです。ノートにあります通りWikipedia:執筆・翻訳者の広場Wikipedia‐ノート:翻訳のガイドラインで書くべきことなのは分かっていますが、あえて井戸端に書くことを判断しました。場違いと思われる方がいらっしゃいましたら申し訳ございません。よろしくお願いいたします。--122.132.186.157 2011年12月31日 (土) 08:52 (UTC)[返信]

こんにちは。自動翻訳の類は、結果を商業利用してはいけない、といった制約がかかっていることが多いような印象があります。そういう文章はウィキペディアでは受け入れられないということになると思います。
Google Translation Toolkitの場合はどうでしょうか? ざっと見たところ、(1)Google Translator Toolkit Additional Terms と(2)Google Terms of Serviceの2つに従う必要がありそうです。翻訳結果の商業利用を禁止するような規定は見当たりませんでした。ただ、以下のように気になった点があります。
  1. アップロードしたコンテンツについては、Googleに一定の許諾を与えなければならない、とあります。(2)の方の"11. Content license from you"にある規定です。
    • どこかのサービスにコンテンツをアップロードをする際に求められる許諾としてはよくあるもの、という感じがしますが、履歴保存とか、ライセンス・ノーティスの表示といった義務をGoogleが負うことにならない許諾になっているところがポイントだと思います。これは、クリエイティブ・コモンズ 表示-継承ライセンス 3.0とかGFDLの範囲で与えられる規約を超えています。
  2. そこで、英語版なら英語版の記事をGoogleにアップロードしてこういう許諾を与えるということが、ライセンス違反にあたる、という可能性がありそうに思いました。
    • あるいは、英語版の記事など「原文」にあたるものをアップロードすることがない(サービスがどういう設計になっているのか、細かいところは僕もよくわからないのですが)としても、訳文を改訂しながら保存していくと、その訳稿について、やはりGoogleに対して上記のような許諾を与えなければならないことになると思いました。
  3. そうだとすると、アップロードをした人は、クリエイティブ・コモンズ 表示-継承ライセンス 3.0の7.a.にある規定によって、許諾が自動的に打ち切られてしまうことになりそうです。(この規定によると、ライセンスに対するどんな違反でも、許諾の自動的な打ち切りにつながるようです。)
  4. 同じく、GFDLについても、9条の規定により、許諾が打ち切られます。すべてのライセンス違反をやめるような形で修復できれば一時的に許諾が得られることになる、と同9条にはありますが、Googleにアップロードしたコンテンツを削除したところでGoogleに与えた許諾を取り消すことはできないようです。(上記の(2)の規約11条にperpetual, irrevocableな許諾だとあるので恒久的で取り消し不可なのだと解釈しました。)
  5. 以上を考えると、技術的には可能だとしても、法律的には、翻訳した文章を投稿することはできなさそうです。投稿しようにも、既に翻訳をした人はその文章を翻訳する許諾とか、投稿する許諾とかを失っているように思いました。
  6. ただ、GFDLについても、クリエイティブ・コモンズについても、ライセンスに違反する形で作成されたものであっても、第3者はライセンスに従う限りは問題なく使い続けることができる、という規定があります。(GDFLは9条の一番最後のパラグラフ、クリエイティブ・コモンズは7(a)の第2文)そこで、既にウィキペディアに投稿されたものについては、他の人が編集したり加工することは問題ないかも(削除する必要はないかも)、ということも思いました。
もしかするとどこか間違っているかも知れませんが、ざっと見て考えたのは以上のようなことです。短く言い換えると、「翻訳の結果を商業利用してはいけない、というような縛りはかかっていないようだけれども、翻訳ツールを使おうとするとどうしてもライセンス違反をしてしまうことになるので、翻訳や日本語版への投稿はできないことになる」というようなことになりそうな感じがしました。
残念なお返事になってすみません。
Tomos 2012年1月1日 (日) 10:24 (UTC)[返信]
Tomosさんのご回答を拝見して少し疑問に感じる点がありましたので、教えていただければと幸いです。なお、本サブページを作成されたIPさんとは別の者です。
Google翻訳とGoogle翻訳者ツールキットでは何が異なるのでしょうか。また、Googleドキュメント上で翻訳作業を行うことも問題でしょうか。今回のご意見はGoogle利用規約を根拠とされているため、Google翻訳者ツールキットだけでなく、Googleが提供しているその他サービスにも適用できてしまいます。Google翻訳者ツールキットで行うべき基本的な作業は、Googleドキュメント上でGoogle翻訳を参考にマニュアルで翻訳を行うという作業と変わりはないと思います。wikipediaを利用する際に、Google翻訳を使用されている方は多数いらっしゃるでしょう。これまでのところ自動作成された訳文をそのまま投稿することが問題とされてきました。しかしGoogleに原文を送信した時点でライセンスに抵触しうるのでしたら、Google翻訳の訳文を翻訳の参考に用いることも困難となりますし、他言語版閲覧にGoogle翻訳を使用することも困難になります。
--49.243.245.22 2012年1月4日 (水) 16:43 (UTC)[返信]
こんにちは。ご質問を受けて、またあれこれ考えてみました。結論から書いてみます。
Google 翻訳者ツールキットについては、もう一度考えてみて、このツールを使って他の人とウィキペディアのページを共同で翻訳するのは、GFDLに照らすとライセンス違反、CC-BY-SA 3.0に照らすと違法な行為ではある気がしますが、ライセンス違反ではないようだ、という風に考えるようになりました。やっぱり推奨はできないかな、と思いますが、そう考える理由は前回とちょっと違っています。
Google ドキュメントへのアップロードについても同じようなことが言えそうです。
Google 翻訳を使うことは、どう考えてよいか迷いました。僕の法律的な知識の不足による部分もあるし、このサービスについての知識不足によるところもあります。そのあたりが実際どうなっているかによって合法であったり、違法であったりするのだろうと思います。
以下、まずは翻訳者ツールキットについて考えたこと(主に、訂正したい点)を書いてみます。Google翻訳者ツールキットを使ってウィキペディアのページをGoogleのサーバーにアップロードする際にGoogleに対していろいろ許諾を与えなければならないらしい点が気になるところです。(これは前回と同じ着眼点です。)
  1. これがどういう理由でGFDL違反になるのかどうか、もう一度考えました。GFDLの条件をすべて満たす形で(履歴の保存とか、そのほかもろもろをきちんと行って)アップロードすることができるか、というところがまずひとつ気になるところです。(新しい論点)
    • Googleアカウントを登録してログインしてみると、ローカルファイルのアップロードと、URLの指定と両方の選択肢があるようですから、ウィキペディアのページを一旦手元のPCに保存して、履歴やそのほかもろもろの要求をきちんと満たす形にした上でアップロードする、という形でこの問題は克服できるかも知れません。
  2. そういう形で問題の克服が仮に可能だとしても、前に書いたように、Googleに許諾を与えられるかというと、翻訳者ツールキットを使う人は執筆者(権利者)ではないので、無理だと思いました。この、自分が与えることのできない許諾をGoogleに与えることは、9条の2文目にいろいろ列挙されている禁止行為内の、ライセンスの規定に反したサブライセンシングをすることに該当すると思いました。(前回考えたことの補強のような、若干の修正のような論点)
  3. CC-BY-SAはどうでしょうか? CC-BY-SA 3.0 Unportedは、そもそもクレジットの付与などの条件は、公に上演したり公衆に配布したりする場合には満たさなければならないですが、そうでない場合には満たす必要はないようです。この点で、GFDLのようなややこしさはないかも知れない、と思いました。
  4. ただ、自分が与えることができない許諾をGoogleに与えなければならない、という点はやはり問題だと思います。ただ、このような行為を行うことが、CC-BY-SAライセンスの何に違反することになるのかは、ちょっとよくわかりませんでした。そこで、もしかするとライセンスの規定には違反しないかも知れない、という可能性に思い至りました。ライセンスで禁止されている行為ではない、ということは、アップロードする行為や、アップロードしたファイルを自分で、または他の特定少数の人と共同で翻訳・改訂していくような行為は、ライセンス上は問題ないかも知れません。ただ、法律的にはやはり違法な行為だろうと思うので、このツールの使用をウィキペディアとして推奨するべきなのかどうかは疑問が残るように思いました。(これは前回の意見の訂正になります。)
  5. 以上を総合すると、翻訳者ツールキットは、GFDL違反、CCライセンスには違反しないが、ライセンス上可能な範囲を超えた許諾をGoogleに与えることを求められるのでやっぱり合法には使えない、ということになるのではないか、と考えました。
  6. 他に気になる点として、Googleは利用規約を事前の通知なく変更できるようで、かつ、変更があった後にサービスを利用するとそれによって規約を受け入れたことになるという風にあります。これも利用規約の類にはよくある規定だと思いますが、仮に上に書いたようなことが間違っていて、実はGoogle翻訳者ツールキットを使うことに現時点では何も問題がないとしても、将来的にはどうなるかわからない部分が残るので、利用する前に各種規約をチェックして、ライセンス違反なり、違法な行為なりを起こしてしまうことがないかどうかを確認する必要がある、ということになりそうです。
次にGoogle ドキュメントについて考えてみました。これもアップロードが必然的にともなうサービスなので、同じように考えました。
  1. Googleドキュメントの利用規約は、やはりGoogleに対する許諾を与えるように求めていますが、許諾の範囲が限定されています。「このサービスをあなたに提供する目的に限って」(あれこれの許諾をGoogleに与えろ)、というような限定がついています。Googleドキュメントのサービスを隅々まで知っているわけではありませんが、例えばアップロードした文書を公開するという設定にしなければ公開されない、というように、Googleがアップロードした文書をどう扱うかについてはかなり利用者側でコントロールできそうにも思えます。
  2. そこで、GFDLやCC-BY-SAに照らして与えることができないような許諾をGoogleに与える、というようなことは避けられるかも知れません。
  3. 以上から、ちょっと意外ですが、Googleドキュメントの方がライセンスにも法律にも違反せずにウィキペディアの記事の翻訳作業ができる可能性がありそうに思いました。
最後に、Googleの自動翻訳を、閲覧に使う場合について考えました。これは、上に書いたようによくわかりませんでした。
  1. 理由はいくつかあるのですが、追加の規約があってよさそうなのに存在していない、というのがひとつの理由です。
  2. このサービスでは何かがアップロードされるようなことが起こっているのか、というのがわかりません。でも、Googleの利用規約を見ると、"submit, post or display"という風に書かれていて、アップロードするようなことがなくても、翻訳対象として表示させただけでGoogleにあれこれの許諾(例えば翻訳結果を公表する許諾)を与えることになっているように見えます。そんな無茶苦茶な要求をしているのも変だから何か追加の規約があるけど見つからないのか、それとも他のサービスも含めていろいろなものを念頭において作成されている規約なので翻訳サービスにはうまく対応していないまま放置されているのか、いずれでもない別の事情があるのか、など考えましたがよくわかりませんでした。
  3. 仮にいろいろな規約を与えることを求められるとすると、翻訳にかけることでGFDLに関してはライセンス違反になると思います。理由は、上に書いたようなサブライセンス禁止規定があるためです。CC-BY-SAについては、ライセンス違反とは言えないかも知れませんが、やはり他人のコンテンツについて自分が与えることができないはずの許諾をGoogleに与えてしまっているので、違法行為になっているのではないか、という感じがします。
ちなみに、他の翻訳サービスだったらどうか、というのを考えてみました。
  1. ずっと前にこの手の議論の対象にした記憶があったのでエキサイトの自動翻訳の利用規約を見たところでは、翻訳対象にする文章について許諾をエキサイトに与えることを求めるような条文はないようでした。
  2. そして、著作権法上は、日本では私的な使用のために他人の著作物を複製したり翻訳したりすることは30条と43条で無許可でやっても著作権侵害にならないとされています。こういう著作権の例外や制限をする規定について、CC-BY-SAライセンスは第2条で触れていて、そういう形で著作権法上認められている利用をライセンスによって制限することはこのライセンスの意図ではない、というようなことが書いてあります。
  3. これらをあわせて考えると、閲覧のために自動翻訳を使うこと自体は、日本法が適用される文脈ではCCライセンスに違反しないし、著作権侵害にもならないのでは、という感じがしました。(米国法とか他の国の法律が適用される場面ではどうなのか、とか、どういう場合にどの国の法律が適用されうるのか、などはちょっとよくわからないのですが。。米国であればフェアユースで済む場合が多そうな感じもします。。)
以上から、場合わけをして考えるとどうしても長くなってしまいますが、
  • 翻訳の共同作業みたいなものであればGoogleドキュメントを使うのがいいのでは
  • 閲覧なら、日本の著作権法が適用される場面では、Googleのように翻訳対象の文書に関する許諾を求められないものを探して使うと大丈夫なのでは
と思いました。2つのライセンスの規定と、サービス規約と、サービスの内容とか機能を考え合わせるのが難しくて、まだ間違いなどがあるかも知れないですがとりあえず考えたことは以上です。ご参考になれば幸いです。Tomos 2012年1月8日 (日) 17:40 (UTC)[返信]


(補足)
すみません。もうひとつ自信がない点を思い出したので補足させて下さい。
自動翻訳を使う際に、エキサイト翻訳など、翻訳対象にする文書について許諾を与えなくてもいいものは、個人的な閲覧に使ってもいいのではないか、という考えを上に書きました。
その根拠になる日本の著作権法上の規定には、例外があります。これをどう考えたものか、ちょっとよくわからないところがあります。
  • 他人の著作物の無断翻訳はNG,というのが著作権法の一般原則
  • 私的な使用(閲覧はここに含まれると思います)目的なら、無断翻訳もOK、というのが43条
    • 43条は、30条でOKとされる複製行為を、翻訳行為におきかえてもOKにします、というような規定の仕方をしています。
  • 30条では、私的な使用の目的なら、複製はOK,と書いてある
  • ただし30条にも例外があり、「公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう。)を用いて複製する場合」は私的な使用の目的であっても複製はNG、とあります。つまり自分の所有するコピー機を使うとか、手でコピーするとか、そういう複製はOKだけど、コンビニのコピー機みたいなものを使ってはならない、としています。
  • 著作権法の附則5条の2で、さらにそれに対する例外を設けています。「専ら文書又は図画の複製」のために提供されているものは自動複製機器とみなさないそうです。だから、文書用のコピー機を使ってコピーするのはOK、ということになります。
(つまり原則に対する例外(30条)、その例外に対する例外(30条1項1)、更にそれに対する例外(附則5条2)、という構造になっています。そして30条1項で複製が可能なら翻訳も可能だ、43条が規定しています。)
以上を踏まえると、自動翻訳を使うことはOKなのでしょうか? NGなのでしょうか?
  • 30条でOKとされている複製行為なら、翻訳行為におきかえてもOKのようなので、私的目的ならOKでしょうか。
  • 30条1項1では「公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器」による複製はNGとしているから、「公衆の使用に供することを目的として設置されている自動翻訳機器」とでも呼ぶべきウェブ上の自動翻訳サービスもNGでしょうか? その場合は、附則5条の1も適用して「専ら文書又は図画の翻訳」であれば自動翻訳機器とはみなさない、と考えてOKになるのでしょうか?
法のねらいなどを田村善之『著作権法概説』(有斐閣 僕の手元にあるのは第2版)のp.200-201, 著作権情報センターのこの件に関するQ&Aなども見てみたのですが、どうもよくわかりませんでした。自動複製機器に関する規定は自動翻訳機器みたいなものにまでは及ばないか、逆に及ぶとしたら「専ら文書又は図画の翻訳」のための機器を使うこともOKになるだろう、と何となく予想してはみたのですが、間違っているかも知れないとも思います。Tomos 2012年1月9日 (月) 11:42 (UTC)[返信]

(インデント戻します)

気になる話題で、他のコメントがないので、Wikibreak中ですが、コメントだけいたします。自分がもう少しアクティブに動けるなら各種提案など動くのですが、ちょっと難しそうなので、コメントだけで申し訳ありません。

結論から言えば、Tomosさんの意見と同じく、Google翻訳者ツールキットをWikipediaで利用することはNGと考えます。Tomosさんのコメントと重なりますが、要点を整理してみました。

  • 翻訳エンジンが要求する権利と原文に許可された権利

 今回問題となっているのは、翻訳エンジン(サイト)が要求する権利が、CC3.0やGFDLが許可する権利を超えているのではないかと言う点です。実際に要求する権利を見てみると、Tomosさんが考察しているように、Googleは著作権主張はしないものの、再生、翻案、修正、翻訳、公開、公衆実演、公衆展示、および配布などの無条件のライセンスを要求しており、これらはGFDL/CC3.0などのライセンス条件を満たすものではありません。そのため、Google翻訳者ツールキットの利用だけでなく、Google翻訳自体の利用も問題になると思います。

 ただ、これはGoogle側の立場から考えれば、Google翻訳者ツールキットが、過去の翻訳結果をデータベース化して翻訳精度を向上させるというものであることから、Googleに法的問題を発生させないためには必要であり、他の翻訳サイトと条件が異なるのはそれが原因ではないかと推測しています。

  • 翻訳文の権利とWikipediaでの利用

 その一方で、Googleで翻訳された文章(翻訳後の文章)の権利に関しての縛りは、それほど厳しいものではありません。そのため、翻訳文自体をWikipediaで利用することは問題がない様に感じます。 となると、問題は、現在Wikipediaにある「Google翻訳者ツールキットを用いて翻訳した文章」をどう扱うか、規約などの変更を行うかなどになります。前述の考察が間違えていたら問題はありませんが、もしあっている(=ライセンス上問題の)場合、なんらかの対応をしなくてはいけません。従来、履歴の継承違反などでは、追記or削除などで対処してきました。しかし、今回の場合、少し難しいように感じます。問題の翻訳文をライセンス違反だからと削除することは簡単です。しかし、履歴の継承違反などと異なり、ライセンス違反を行った証拠が、本人の主張だけと言う点であり、黙っておけば問題にならないものを、発言したから問題にするというのも疑問に感じます。そして、翻訳サイトに許されたライセンス以上のものを提供したと言う内容ですから、文章の削除によりライセンス違反を解消できるわけでもなく、対処が難しい問題です(良い案がありません)。

 今後、翻訳エンジンの発達により、他サイトでも同様の問題が発生する可能性があります。将来的にはガイドライン等に「翻訳サイトを利用する場合、要求している権利に注意してください。GFDL/CC3.0で許可された範囲を超える権利を要求している場合に、Wikipediaの翻訳を行うとライセンス違反となります。」の様な一文を追加して、後は利用者の良識に任せるのが落としどころかもしれません。

でも、これって翻訳以外の画像処理や音声処理でも同様の問題が発生する可能性がありそうな気もするので、考慮しておいた方が良いと思います。

  • 著作権法との関係

 著作権法43条には翻訳に対して30条の1項の規定を利用できると記載があります。Tomosさんは「自動複製機器」を「自動翻訳機器」に適用してよいのかと疑問を提示されていますが、これは当てはまらないと考えたほうが良いと思います。その理由として、43条に「自動複製機器」を「自動翻訳機器」に読み替える旨の記載がないためです。当然といえば当然なのですが、法律の改正時に自動翻訳が議論の俎上に上ることがなかったのではないでしょうか?(ところで、これって日本の著作権法が適用されるのでしょうか、Wikipedia、Googleとも米国で、利用者が日本人(の可能性が高い)の状況ですので、米国の著作権法が適用されるかもしれません)

-- Daisydaisy 2012年1月16日 (月) 11:13 (UTC)[返信]

こんにちは。まとめてくださってありがとうございます。また、結論がほぼ同じようで、ちょっと安心しました。

2点目の、削除などが必要かどうかですが、次のように考えることができるのではないでしょうか。

  • GFDLもCC-BY-SAも、ライセンス違反をした者に対しては以後その作品を利用してはならない、としつつ、第3者がライセンスの要求事項を満たす限りではその違反行為を通じて生み出された作品(複製であれ、翻訳などの形で加工されたものであれ)を利用することはOKとしています。
  • そこで、翻訳をした人は翻訳をする行為とか、翻訳したものをウィキペディアに投稿する行為については、ウィキペディアとしては当然推奨できない(他人の著作権を侵害する行為を推奨できない、という意味で)としても、いったん投稿されたものをほかの人が編集したり、閲覧できる状態にしておくことは、ライセンス上も法律上も問題がないのではない、と言えるのではないかと思いました。
  • 所有者が「撮影禁止」としている古い芸術作品を無断撮影することは違法ですが、無断撮影された写真をさらに第三者が利用することについては、所有者の権利は及ばない、とした判決があります。(著作権情報センターに解説があります。[1])そのひとつの帰結として、ウィキペディアにそういう写真が投稿されても、ほかの人が削除する義務まではない、ということになると思います。無断撮影を奨励したり、無断撮影したものを投稿するように呼びかけることはできないと思いますが、既に投稿されてしまったものを見つけたら、それは削除しなくてもいい。翻訳者ツールキットを使ったものについてもそういうことが言えるのかも知れないと思いました。

もうひとつ、また考え直した点があります。だんだん細かい議論に入って、わかりづらくなっている気がするのですが、翻訳ツールキットを使った場合のCC-BY-SA違反に関して、以下のように考えることはできるかも、と思いました。ウィキペディアとしては、投稿されたものを削除する必要はないかも知れないが、ツールキットの利用を推奨するべきではないだろう、という結論には変更はありません。

  • 翻訳者ツールキットを使う上では、利用者は、CC-BY-SAのライセンスによって可能になっている以上の許諾をGoogleに与える必要がある。そこで、翻訳者ツールキットの利用は、著作権侵害か、何かそれに類する権利侵害になる。(前回と同じ)
  • ただ、これはCC-BY-SAのライセンス違反にはあたらない。GFDLには違反することになる。(前回と同じ。)
  • 翻訳者ツールキットを使って作成した訳文は、従って、違法に作成した訳文だけれども、CC-BY-SAライセンスに反して作成した訳文ではない。(今回考えたこと)
    • これはたとえば、僕がある著作者のプライバシーを侵害したからといって、その人がCC-BY-SAライセンスで提供している作品を僕が使えなくなるわけではない、というのと同じようなことではないか。違法行為をはたらいたとしてもそれでライセンスが終了するわけではない。
  • そこで、訳文をウィキペディアに投稿して、公開する行為も、ライセンスの諸条件を守っているなら、特に権利侵害になることはない。その後の編集なども可能。(今回考えたこと)

今後の対応ですが、一番最初に質問をしている方の書いている内容から、財団とGoogleの間で何かやりとりがあって、ウィキペディアのページを翻訳するために特にアレンジがされた(インターフェースが設けられた、とか)というような経緯があるのかも知れません。そうすると、財団の誰かにこの件をお知らせして、Googleに利用規約を変えてもらうことができれば、将来的には問題の解決ができるのではないか、と思いました。(既に利用されてしまった分についてはどうにもできないかなと思いますが。)

まあ、僕がメールしたところで注意を払ってくれるものかどうかまではよくわかりませんが、直接Googleへ持っていくよりは望みがあるのではないでしょうか。もしうまく行かなければ、英語版なり、メーリングリストで注意を喚起して、そこででた結論も同じになったよ、という風に持っていくのがいいかも知れません。

何か進展があったらまたご報告します。Tomos 2012年1月21日 (土) 16:57 (UTC)[返信]

ウィキメディア財団の法務チームに連絡をし、やりとりをしました。問題意識はほぼ共有しました。Googleに連絡して、利用規約の改訂が可能かどうかを模索して下さるそうです。

Tomos 2012年2月4日 (土) 07:30 (UTC)[返信]

結論が出たのでは[編集]

m:Wikilegal/Copyright for Google Translations#Conclusion を見ますと、Google 翻訳を Wikipedia に使用する事は可能と判断された、という事ではないでしょうか。識者の方のコメントを頂ければと思います。--210.253.248.140 2012年10月4日 (木) 13:15 (UTC)[返信]

こんにちは。お返事が遅くてすみません。ご指摘のページで議論されているのは、Google Translateで翻訳された訳文についてGoogleが著作権を所有することになるかどうか、という問いについて、米国の著作権法をベースに答えたもののようですね。それに対してこちらのページで提起された問題は、ウィキペディアのコンテンツをGoogle Translation Toolkitを使って翻訳した場合に、Toolkitを使った者が原文の執筆者の著作権を侵害することにならないか、という別の問題です。

この件についてのメールのやり取りの記録をチェックしてみましたが、

  • 5月時点で確認したところでは、Google側から返事はあったが解決はしていない状態でした。
  • 2月時点では何往復かやりとりをしたのですが、その時点では、Googleと利用者が共にライセンスに違反し、著作権を侵害することになる(フェアユースなどが当てはまる場合は除く)、という見解でした。議論の細部で異同はありますが、着眼点はこのページにあったものとほぼ同じ(ライセンスと利用規約の齟齬)です。

Metaに掲載されているものがこの件と違う件だというのは、この件について結論が出ていないということではないですし、僕以外にも気にしている人がいます、ということと共にご報告して、今はどうなっているのか尋ねてみます。

Tomos会話2012年12月24日 (月) 15:51 (UTC)[返信]

もうひとつ、あまり重要なものではありませんが補足です。クリエイティブ・コモンズのライセンス群の改訂作業が現在進行中ですが、その中では、この問題を解決するような形で次のバージョン(4.0)のライセンスの規定を変更できないか、という提案も提出されています。改訂を担当しているクリエイティブ・コモンズのリーガル・チームのコメントからは、事情が伝わっていることは伺えますが、今のところ提案は採用されていません。
議論自体は、クリエイティブ・コモンズのウィキ上に設けられた、バージョン4.0のための改訂を議論するページのひとつ翻案の扱いについての部分にProposal 7と8として記載されています。
個人的にはライセンスの文面を変える方向からの解決は(ライセンスの基本的な部分を作り変えるような難しさや、範囲をどう限定するかの難しさなどもありそうで)難しいような気がしていますし、現にあまりそういう動きも見られないようですが、ご参考まで。。Tomos会話2012年12月24日 (月) 16:14 (UTC)[返信]
財団のリーガルスタッフ(foundation:User:Mpaulson_(WMF)さんがこの件ではやりとりをしてくれています)に、その後どうなっているか、伺ってみました。(僕以外にもよい報せを待っている方がいるということも伝えました。)頂いたお返事によると残念ながら進展はなく、Google側の動きを待つ状態が続いているということでした。。Tomos会話2012年12月28日 (金) 16:55 (UTC)[返信]