CDP-101

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。Nicnoc (会話 | 投稿記録) による 2022年7月8日 (金) 16:03個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (カテゴリ削除)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

CDP-101
製造元 SONY
種別 CDプレーヤー
販売期間 1982〜1985

SONY(ソニー)のCDP-101(シーディーピー・いちぜろいち)は、世界で初めて市販されたコンパクトディスクプレーヤーである[1]。日本で1982年10月1日に定価168,000円で発売された[2]

日本だけでの発売は、CDフォーマットの開発を担当していたフィリップスが、当初合意していた発売日に間に合わなかったことが原因でもある。SONYは発売日の全面的な延期に同意するのではなく、日本以外の国での発売を半年遅らせることに合意した[3]。フィリップスのCD100は1982年11月に発売されたが[4]、初期のフィリップスのプレーヤーにはSONYの部品が使われていた[5]

この合意に基づき、当機は1983年3月に海外でも発売された[6]

設計

ミラノのレオナルド・ダ・ヴィンチ記念国立科学技術博物館に展示されるCDプレーヤー SONY CDP-101

デモ機では、ディスクを縦置きにして再生中にCDの表面が透明な前面から見える、水平方向のトレイローディング方式を採用していた。ケースとフロントパネルはプラスチック製であった。

本体前面には、トラック番号や再生時間などの情報を表示する真空蛍光表示パネル、付属のリモコン用赤外線レシーバー、再生操作やトレイの開閉、再生時間と残り時間の表示の切り替えなどのボタンが装備されている。ダイヤルは1/4インチヘッドホン端子の音量レベルを調整するためのものだけだった。

ユニットの背面には2つのオン/オフスイッチがあり、1つは自動停止、もう1つは耐衝撃と書かれている。オーディオの左右チャンネルを接続するためのRCA端子が2つあり、26ピンのアクセサリーコネクターが付属している。背面にはヒートシンクもある[7]

リモコンユニット RM-101 は、本体とほぼ同じボタンを搭載している。開閉ボタンやディスプレイの切替は省かれているが、本体とは異なり、特定のトラック番号を選択できる番号付きのボタンを搭載している。

CDP-101というモデル名は、SONYのオーディオ事業部を率いていた出井伸之が選んだものである。「101」は2進法で 5 を意味し、出井が「ミディアムクラス」であると考えたことに由来する [2]

技術

当時はデジタル・アナログ変換器(DAC)のコストが高かったため、CDP-101は左右のオーディオチャンネルに1つのDACしか搭載していない。他のチャンネルの準備が整うまで最初のチャンネルを遅延させるサンプル・アンド・ホールド回路がないため、左右のチャンネルは約11μsの同期が取れない[8]

フィリップスのCD-100

フィリップスのCD100がアンダーサンプリングで14ビットDACを採用しているのとは異なり、CDP-101はソニーが自社で設計・製造した16ビットDACを採用している。16ビットCDエンコーディングを採用したのは、フィリップスがすでに14ビットDACを開発しており、14ビットエンコーディングを採用した場合、フィリップスが先に製品を市場に出すことができるのではないかというソニーの主張があったからである。

遺産

ソニーCDP-30 CDプレーヤーの正面と背面(1984〜1986年頃に生産)

ソニーはCDプレーヤーの生産を続け、その後もCDP-30などを発売した。

出典

外部リンク