祝もものき事務所

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祝もものき事務所
ジャンル コメディ
小説
著者 茅田砂胡
イラスト 睦月ムンク
出版社 中央公論新社
レーベル C★NOVELSファンタジア
巻数 既刊4巻
テンプレート - ノート
プロジェクト ライトノベル

祝もものき事務所』(しゅくもものきじむしょ)は茅田砂胡による日本ライトノベル。イラストは睦月ムンク。2015年現在、既刊4巻。

背表紙では「祝」の部分だけ赤文字になっている。3巻目は短編集。

概要[編集]

やる気なし、根性なし、能力なしの探偵もどき事務所所長・百之喜太朗は、本人も無自覚な特殊能力の持ち主だった。それを知るのは亡き祖母・百千代、その友人・光圀八千代、太朗の学生時代からの友人4人と、八千代の姪・越後屋銀子

もともと大地主であった百之喜家に生まれた怠惰な性格の青年は、このままでは何も社会に貢献せずに行くだろう、と死ぬ間際の祖母の策が原因で都内にある自宅の土地のみを相続した。築100年近い日本家屋である自宅そのものは、相続税対策として友人でこれまた日本屈指の資産家でもある八千代に贈与し、八千代はその管理権を姪の銀子に預けたのである。

そして銀子に脅されるような形で探偵もどきの事務所を開くことになった太朗は、自分が給料を出す秘書として花祥院凰華と引き合わされたのだった。凰華は太朗のやる気のなさに戸惑いながらも彼の扱いを覚えていき、太朗の友人たちの手も借りつつ事務所を取り仕切る日々を送る。

主な登場人物[編集]

百之喜太朗(もものき たろう)
主人公。探偵もどきの調査事務所「もものき事務所」の所長で27歳。中学生の時、両親を同日に起きた別々の事故で失い、その後育ててくれていた祖母も2年前に亡くなったため現在天涯孤独の身。特技はコーヒーと紅茶を入れること。その紅茶の趣味もいい。
基本的にやる気のないだらけた性格だが、意図せず『偶然にも』事件の真犯人に出くわしたり、『偶然にも』証拠を見つけたりするという、超常的な体質の持ち主。警視庁職員(刑事ではない)時代の3年間で計7回真犯人の逮捕に貢献するなど、幼い頃から度々周囲の人間を窮地から救ってきた。このような『偶然』が起こるときは、不意に突拍子もない行動を取ったり、奇妙な方向音痴を発揮する他、些細な災難が重なる。本人は基本的に無自覚だが、「災難が重なるとき=面倒ごとに巻き込まれる予兆」程度の認識はある。
自宅に両親の遺品を含めた様々な高級品があるため、骨董品や高級品に少々詳しい。
花祥院凰華(かしょういん おうか)
事務所の有能美人秘書。普段の財源はFXで稼ぎ、年賀状を毎年2000枚以上出すという人脈が武器。
もともとは光圀八千代の経営する大会社の系列会社で働いていたが、有能すぎて入社半年で自分に与えられた作業すべてを午前中で終わらせるまでになり、昇格も「規定で無理」「来年度まで待って」と言われたため辞表を出した。秘書の資格を持っていたため、一時銀子の秘書となった後、太朗に引き合わされる。実は母が銀子の知り合いだったらしい。
両親の離婚をきっかけに現在の名字になり、仰々しい名字を嫌って、周囲の人には下の名前で呼ばせている(「おうか」なら初対面の人には「大岡」という名字と間違ってもらえると期待してのこと)。
雉名俊介(きじな しゅんすけ)
太朗の幼馴染の1人で主に刑事事件を扱う弁護士。祖父も業界では有名な弁護士で、25歳で個人事務所を開いた頭脳派。そのため警視庁職員時代の太朗とよく関わる羽目に陥り、苦労させられていた。現在は、事と次第によっては太朗に依頼人を仲介している。梓の姉と仲がいい、2つ年上の姉がいる。
犬槇蓮翔(いぬまき れんしょう)
太朗の幼馴染の1人で総合格闘技の格闘家。10代でも通る童顔と間延びした口調が特徴。小柄だがその体は鍛え上げられており、ケンカも強い。また、着やせする性質なので、童顔と合わせて初対面で格闘家と見破れる人はまずいない上、20代半ばになった現在でも私服の時に女性に間違われることもある。マイナーな業界ではあるが女性を中心にファンが多く、試合の相手がファンを恐れて彼の顔を狙った攻撃を仕掛けられない。試合がない時はスポーツジムのトレーナーとしても働いている。格闘家の後輩たちにも慕われており、凰華の依頼に対して自分が動けないときは後輩を紹介することも。
実は梓の実家である古武術の道場に昔から出入りしており、正式な門下生ではないにも拘わらずかなりの手練れである。3人兄弟の次男で、弟とマンションで同居している。
芳猿梓(よしざる あずさ)
太朗の幼馴染の1人で売れない舞台役者。普段は無口でおとなしい青年だが、舞台上では役になりきる。生活費を稼ぐバイト中も「舞台の上」だと思うことで接客業をこなしたりしている。警備会社や鍵業者など、様々なバイトを経験しているが日雇い仕事も多いので、お金が底をつき、行き倒れすれすれに陥っていることもある。眠そうな目や醸し出す雰囲気が原因で忘れられがちだが、幼い頃から運動神経はよく、剣道は段持ちで蓮翔に次ぐ武闘派。祖父母とともに山でキャンプしていたこともあって、飯盒炊爨もお手の物。蓮翔とは家族ぐるみの付き合いがある。
鬼光智也(おにみつ ともや)
太朗の幼馴染の1人で区役所職員。職場での評価は「爽やかな好青年」だが、実は天才的技量のハッカーでもある。幼馴染や凰華の要請を受け、仕事の合間であっても同僚に悟られることなく様々な場所へハッキングしては情報を提供する。やや古風な思考をしがちで非常な心配性。大学生の妹のほか、弟が一人いる。
越後屋銀子(えちごや ぎんこ)
太朗の祖母・百千代(ももちよ)の親友・光圀八千代(みつくに やちよ)の姪で大きな会社の経営者。凰華同様名字で呼ばれることを嫌う。彼女も幼い太朗に救われた1人で、現在は太朗の自宅の大家。推定40代の派手な美女。凰華の知人(お金持ち)の中でも破格の「特上」にランク付けされる。

書誌情報[編集]

  1. 2010年11月25日ISBN 978-4-12-501129-5
  2. 2011年11月25日、ISBN 978-4-12-501176-9
  3. 2012年11月30日ISBN 978-4-12-501226-1
  4. 2015年7月31日ISBN 978-4-12-501346-6

脚注[編集]