狐物語

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ルナールとイザングランとの決闘の場面。13世紀終わりごろの写本

狐物語』(きつねものがたり、:Roman de Renart)は、12世紀後半にフランスで生まれた物語群(サイクル)。12世紀中期に書かれたラテン語作品『イセングリムス英語版』などを先行作品として、複数の異なる作者によって作られた挿話(枝篇)がまとめられて成立し、現在30ほどの枝篇が知られている。物語は擬人化されて描かれた悪賢い狐ルナールを中心として、ルナールが他の動物を騙そうとする様々な話や、狼のイザングランとの闘争、ライオンの王のノーブルの前で行われる裁判などが風刺的に描かれている。写本のかたちでヨーロッパ中で広く親しまれた。この物語が流布した結果、フランスではそれまで「狐」を意味していたラテン語由来のフランス語グピ(goupil)にかわり、この物語の主人公の名前にすぎなかったルナール(Renart、現代フランス語ではRenard)が「狐」を意味する一般名詞として使われるようになった。ゲーテの『ライネケ狐』(1793年)もこの物語を翻案した作品である。

参考文献[編集]

  • 『狐物語』 鈴木覚、福本直之、原野昇訳、岩波文庫、2002年