オックスフォード版シェイクスピア全集

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オックスフォード版シェイクスピア全集』(オックスフォードばんシェイクスピアぜんしゅう、The Oxford Shakespeare: The Complete Works)は、オックスフォード大学出版局が出版しているウィリアム・シェイクスピアの全集。オックスフォード大学出版は他にも『William Shakespeare: A Textual Companion』、『William Shakespeare: An Old-Spelling Edition』を刊行していて、総称して「The Oxford Shakespeare」と呼ばれる。「The Oxford Shakespeare」の編集主幹はスタンリー・ウェルズ(Stanley Wells)とゲイリー・テイラー(Gary Taylor)。

シェイクスピア全集

『オックスフォード版シェイクスピア全集』は1986年初版、全1巻で綴りは現代英語。シェイクスピアの全戯曲、全、さらに伝記風の序説が含まれる。それぞれの作品に1ページの序説がついている。注記はないが、本の最後に用語集がついている。

他のシェイクスピア全集と異なるのは初版のテキストより、むしろ初演された時のテキストを提供しようと試みている点である。それは多くの論争の的となる選択をもたらした。たとえば、『ハムレット』では最初の上演の後にシェイクスピアが追加したという根拠からいくつかの名台詞が消されている。『リア王』では現存する2つのテキストの間に重大な差異があることから、それぞれのテキストを紹介している。『ヘンリー四世 第1部』では、印刷では変えられているが初演では使われたという歴史的証拠から「フォルスタッフ」の名前を「オールドカースル」に「戻している」。

『オックスフォード版シェイクスピア全集』はシェイクスピアの「合作説」を強調した最初のものである。『マクベス』、『尺には尺を』、『アテネのタイモン』はトマス・ミドルトンの改訂もしくは合作、『ペリクリーズ』はジョージ・ウィルキンス(George Wilkins)との合作、『ヘンリー六世 第1部』は数人の誰かわからない劇作家たちとの合作、『ヘンリー八世 (シェイクスピア)』と『二人の貴公子』はジョン・フレッチャーとの合作とした。さらに伝統を破って、ジャンルによって分けるのではなく年代順に紹介した。

2007年に出版された第2版には、シェイクスピアの文章が含まれている可能性のある『サー・トマス・モア』および部分的にシェイクスピアが書いたと信じられている『エドワード三世』の全文が追加された。

W・W・ノートン社(W. W. Norton & Company)が出版している『ノートン版シェイクスピア』は大きくはオックスフォード版のテキストに基づいているが、オックスフォード版の決定の一部は外している。

他のシリーズ

「The Oxford Shakespeare」には他に次の2つが含まれる。

  • William Shakespeare: A Textual Companion - 戯曲の研究者のための追加データが提供されている。
  • William Shakespeare: An Old-Spelling Edition - オリジナルの綴りで紹介している。

「The Oxford Shakespeare」という語はオックスフォード大学が出しているシェイクスピア劇・詩の個々の版も指す。個々の版は『全集』と同じ方針だが、それぞれの編者たちはもし強くそう感じるのなら、『全集』の選択を拒むことが許されている。たとえば、デヴィッド・ベヴィングトン(David Bevington)編の『ヘンリー四世 第1部』は「オールドカースル」ではなく「フォルスタッフ」を使っている。ハードカバー版は紫色のブックカバーが特徴で、ペーパーバック版は古典文学の「Oxford World's Classics」のデザインに従っている。

外部リンク