済生勅語

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済生勅語(さいせいちょくご、旧字体濟生敕語)とは1911年2月11日済生会設立に際し明治天皇より出された勅語のこと。このとき皇室よりの下付金150万円が出された。

勅語の内容[編集]

原文[編集]

朕󠄂惟フニ世局ノ大勢ニ隨ヒ國運󠄁ノ伸張ヲ要󠄁スルコト方ニ急󠄁ニシテ經濟ノ狀況漸ニ革マリ人心動モスレハ其ノ歸向ヲ謬ラムトス政ヲ爲ス者󠄁宜ク深ク此ニ鑑ミ倍〻憂勤󠄁シテ業ヲ勸メ敎ヲ敦クシ以テ健󠄁全󠄁ノ發達󠄁ヲ遂󠄂ケシムヘシ若夫レ無吿ノ窮民ニシテ醫藥給セス天壽ヲ終󠄁フルコト能ハサルハ朕󠄂カ最軫念シテ措カサル所󠄁ナリ乃チ施藥救療以テ濟生ノ道󠄁ヲ弘メムトス茲ニ內帑ノ金ヲ出タシ其ノ資󠄁ニ充テシム卿克ク朕󠄂カ意󠄁ヲ體シ宜キニ隨ヒ之ヲ措置シ永ク衆庶ヲシテ賴ル所󠄁アラシメムコトヲ期󠄁セヨ

大意[編集]

世界情勢に随い国運を伸張させることはまさに急を要することであり、経済の状況は徐々に変革し、人心も変動するようになれば、その動向を誤ることもある。政治を行うものは、どうかこれに鑑みて、ますますこれを憂慮しつつ職務に勤め、産業を発展させ教育を手厚くし、健全に発達させるように。声なき貧窮の民に医薬を与えられないまま、生涯を終えることは、私の最も気がかりにしていることであり、片時も忘れることはない。それゆえ医薬を施し、医療で救命することで、「済生」の道を広めることにする。ここに皇室より資金をだし、その元手に充てる。政府に勤めるものは努力して私の意志を体現し、事態の改善されるように必要な施設を設置し長く庶民が頼る場所にするようにすること。

関連項目[編集]

参考文献[編集]