楊谷寺谷戸横穴群

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楊谷寺谷戸横穴群 概観
手前に下群(下2段)、右上に上群(上2段)。
楊谷寺谷戸 横穴群の位置(神奈川県内)
楊谷寺谷戸 横穴群
楊谷寺谷戸
横穴群
楊谷寺谷戸横穴群の位置
地図
地図

楊谷寺谷戸横穴群(ようこくじやとおうけつぐん)、または楊谷寺谷戸横穴墓群(ようこくじやとおうけつぼぐん)・楊谷寺谷横穴墓群は、神奈川県中郡大磯町大磯にある横穴墓群。神奈川県指定史跡に指定されている。

概要[編集]

上群
下群

神奈川県南部、全国屈指の横穴墓の密集地域として知られる大磯丘陵の東部、高麗山支谷の丘陵南腹に営造された横穴墓群である。4段にわたり27基が確認されている(7基は土の流入で埋没)[1][2]1879年明治12年)・1962年昭和37年)に調査が実施されている。

本横穴墓群は、平面方形で切妻造家形天井の11号に始まり、次いで四方の長押の上に寄棟造が退化したドーム形天井の5号、さらに退化したアーチ形断面の筒形天井の4・7号などの順の構築と推測される[2]。いずれも盗掘に遭っているため、断片的な副葬品以外は詳らかでない[1]。研究史上著名かつ大磯丘陵では代表的な横穴墓群であるとともに、様々な内部構造の横穴墓から構成されることから、形態の変遷過程の基準としても重要視される遺跡になる[1][3]

遺跡域は1966年(昭和41年)に神奈川県指定史跡に指定されている。

遺跡歴[編集]

主な横穴墓[編集]

開口部 内部
11号
5号
4号
7号

文化財[編集]

神奈川県指定文化財[編集]

  • 史跡
    • 楊谷寺谷戸横穴群 - 1966年(昭和41年)7月19日指定[5]

関連施設[編集]

  • 大磯町郷土博物館(大磯町西小磯、県立大磯城山公園内) - 楊谷寺谷戸横穴群の出土品等を保管・展示。

脚注[編集]

  1. ^ a b c 楊谷寺谷戸横穴群(平凡社) 1984.
  2. ^ a b 史跡説明板(神奈川県教育委員会、1982年設置)。
  3. ^ 史跡説明板(大磯町教育委員会、2010年設置)。
  4. ^ a b 楊谷寺谷横穴墓群(古墳) 1989.
  5. ^ a b 指定(選択・登録)文化財一覧) (PDF) (大磯町ホームページ)。

参考文献[編集]

(記事執筆に使用した文献)

  • 史跡説明板(神奈川県教育委員会1982年設置板、大磯町教育委員会2010年設置板)
  • 「楊谷寺谷戸横穴群」『日本歴史地名大系 14 神奈川県の地名』平凡社、1984年。ISBN 4582910335 
  • 大谷猛「楊谷寺谷横穴墓群」『日本古墳大辞典東京堂出版、1989年。ISBN 4490102607 

関連文献[編集]

(記事執筆に使用していない関連文献)

  • 『神奈川県大磯町の横穴(大磯町文化財調査報告 第1冊)』大磯町教育委員会、1964年。 
  • 三瓶裕司・柏木善治「楊谷寺谷戸横穴墓群の家形横穴墓の構造 -三次元計測とそれに基づく遡源形態の試論-」『情報考古学』第27巻1・2、日本情報考古学会、2022年、22-35頁。 

関連項目[編集]

座標: 北緯35度19分10.40秒 東経139度18分51.63秒 / 北緯35.3195556度 東経139.3143417度 / 35.3195556; 139.3143417 (楊谷寺谷戸横穴群)