有効状態密度

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半導体において有効状態密度とは、伝導帯電子密度や価電子帯正孔密度を表すときに用いられる状態密度である。

半導体のキャリア密度[編集]

オレンジ:半導体の状態密度(上は伝導帯、下は価電子帯)、青:フェルミ分布、緑:キャリア密度(上は電子、下は正孔)

伝導帯の電子密度と価電子帯の正孔密度は次のように与えられる。

ここでは伝導帯の状態密度、は価電子帯の状態密度、フェルミ分布である。伝導帯の電子と価電子帯の正孔の状態密度は、自由電子の状態密度の質量を状態密度有効質量に置き換えるだけでよい。

ここでは電子の状態密度有効質量、は正孔の状態密度有効質量である。また温度について次式を仮定すると、フェルミ分布はボルツマン分布に近似でき、非縮退半導体となる。

ただしフェルミ準位である。これら結果、電子密度と正孔密度は次のように与えられる。

ここで伝導帯の有効状態密度価電子帯の有効状態密度と呼ばれる。また真性半導体フェルミ準位真性キャリア密度とすると、有効状態密度は次のように表せる。

よって伝導帯の電子密度と価電子帯の正孔密度は次のように書ける。

これより以下の関係が非縮退半導体について成り立つ。

参考文献[編集]

  • B.L.アンダーソン、R.L.アンダーソン 著、樺沢宇紀 訳『半導体デバイスの基礎』 上巻(半導体物性)、丸善出版、2012年、97-101頁。ASIN 462106147XISBN 978-4621061473NCID BB09996372OCLC 793577200