忌み言葉
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
忌み言葉(いみことば)とは、それを口にすることを良しとしない言葉。あるいは、それを言い換えた言葉。
目次 |
概要 [編集]
日本語の場合、血や死を不浄とする傾向がありこれらの関係語にはかなり忌み言葉が存在する。伊勢神宮の斎宮は仏教用語を避ける(斎宮の忌み詞)。結婚式や受験、選挙関係では、離婚や再婚、落第、落選をイメージする語が避けられる。
性的な言葉や不潔な言葉を避けることもある。これらは言い換え語も遠からず性的な、あるいは不潔なイメージを持つこととなり、次々と新しい言い換え語が生まれることも多い。
これら悪しとされる語とは逆に、天皇や皇室に関する語が畏れ多いとして避けられることもある。
また中国には皇帝の名や諱の漢字を避ける避諱の習慣がある。避諱した言い換えのまま定着した語や、そのまま日本語に入った語も多い。
差別用語、性的に中立でない語、NHKにおける商標の忌避・言い換えも、広い意味では忌み言葉の一種と考えられる[要出典]。
特定の状況での忌み言葉の例 [編集]
- 結婚式
- 離婚や再婚を連想させる言葉の使用を避ける。
- 例: 別れる、分かれる、切る、切れる、断つ、絶つ、経つ、離れる、戻る、逃げる、帰る、片付ける、しまう、捨てる、やめる、終わる、過ぎる、ほどける、破れる、閉じる、割れる、折れる、重ねる、重ね重ね、止まる、去る、再び、流れる、壊れる、死、四、苦、九
- 受験・選挙
- 不合格や落第、落選を連想させる言葉の使用を避ける。
- 例: 落ちる、降りる、下がる、滑る、転ぶ、つまずく、倒れる、沈む、溺れる、散る、参る、退く、重ねる、流れる、滅びる、枯れる、抜ける、果てる、やられる、破れる、敗れる、負ける、減る、経つ、過ぎる、去る、終わる、戻る
- 新築・新居、開店・開業、就職・成人式
- 火事や倒産、破産、閉店、災害、左遷、解雇、退職を連想させる言葉の使用を避ける。
- 例: 焼ける、燃える、焦げる、壊れる、崩れる、震える、揺れる、傾く、曲がる、倒れる、沈む、流れる、折れる、閉じる、終わる、失う、消える、枯れる、破れる、廃れる、錆びる、抜ける、飢える、潰れる、砕ける、滅びる、腐る、飛ぶ、やめる、火、灰、炭、首
- 病気・お見舞い
- 死を連想させる言葉の使用を避ける。
- 例: 重ねる、重ね重ね、ますます、たびたび、再び、参る、終わる、切れる、抜ける、折れる、倒れる、果てる、行く、逝く、去る、骨、死、四、苦、九
忌み言葉の言い換えの例 [編集]
カッコ内が言い換えの語にあたる。
本来の意味を避けたもの [編集]
- 死ぬ(亡くなる、身まかる) 天理教においては、「出直す」という表現がある。
- 便所(ご不浄・憚り・お手洗い・化粧室) 排泄自体を恥ずかしむ風潮から。英語でも「waiting room」という表現がある。
- 強姦(いたずら、乱暴、暴行)
- 月経(生理)古語に「月のもの」とか「月のさわり」などの婉曲語がある。また生理用品メーカー・アンネから「アンネ」という表現もあった。
語呂合わせを避けたもの [編集]
- アシ(ヨシ)〔イネ科植物〕 アシが「悪し」に通じることから。
- おから(卯の花、きらず、雪花菜) 「空(から)」に通じることから。
- おしまい(おひらき)おしまいの「し」が「死」に通じることから(一説によると、「おしまい」がそのまま「死ぬ、自害する」に通じるからとも)。
- 家事(手伝い、サポート)「火事」に通じることから。
- 鏡割り(鏡開き) 「割る」に通じることから。今の表記では「鏡開き」が主流となっている。
- 亀梨(亀有) 昔は「亀梨」という地名だった。「梨」が「無し」に通じるため、江戸時代初期ごろから変更。
- 外人(外国人) もとは略称として使っていたが、「外の人」という意味にも通じてしまって外国人を差別してしまうなどの欠点があったため、忌み言葉となっている。親しい人以外で目上の人(例:上司、社長、課長など)や外国人にはあまり使わないほうがよいと言語学は指摘している。
- カラオケ(アラオケ、サウンドボックス、サウンドバンク) 「カラ」が「空」に通じることから。とくに祝いなどの時には、「虚しい」などといったイメージを出さないようにするため、言い換えられることがある。
- 今日(本日) 「キョウ」が「凶」につうじることから。特に神社などご利益のある場所では、「本日」と言い換えられる。また、今日を「きょう」とは読まず「こんにち」と読み替えることもある。
- 去年(昨年、旧年)
- 九・く(きゅう)「苦しむ」に通じることから。特に病室の番号および病院の待ち番号では使用されない。
- 切り身、刺身(お造り) 「切る(切腹する)」に通じることから。
- 櫛(かんざし)「苦死」につながることから。贈答の際の目録には「簪」や「髪飾り」と書かれることが多い。
- コツ(ポイント、ひけつ) 「骨」に通じることから
- 猿(得手、エテ公のエテのこと) 猿が「去る」に通じることから。
- 四・し(よん) 死に通じることから、訓読みの「よつ」から新しい読みが作り出された。アパート・マンション・ホテル・病室の番号および病院の待ち番号などでは使用されないことがある。特に病室の番号および病院の待ち番号では絶対と言って良いほど使用されない。しかし現在、アパート・マンション・ホテルや学校の出席番号ではあまり気にされず使用されることが多い。
- 仕事(はたらき、役目、役割、、ワーク、英語で仕事を表すワーク(work)または ジョブ(job)のこと) 仕事の「しご」が「死後」に通じることから。
- 醤油(むらさき) 醤油の「し」が「死」に通じることから。
- 塩(浪の花) 塩の「し」が「死」に通じることから。
- シクラメン 「シク」の部分が「死苦」に通じることから見舞いで持ち込むには禁忌とされている。
- シネマ(キネマ) シネが「死ね」に通じることから。
- シネラリア(サイネリア) シネマ同様、「死ね」に通じることから、シクラメンと共に禁忌とされる。
- ○ステ(○○ステーション) ステが「捨て」に通じることから。以下の例が有名。
- プレステ(プレイステーション) ソニー関係者の間では「プレイステーション」か「PS」と言い換えられる[1]。
- Mステ(ミュージックステーション) 新聞のテレビ欄などでは正式に「ミュージックステーション」と書かれるなど、忌み言葉対策がとられている。
- する(あたる) スルが「摩る(ギャンブルに負ける)」に通じることから。
- フグ(ふく) 「不具」(=身体障害)に通じることから。下関市周辺で用いられる。
- 不法 (悪質)「不法」が「訃報」に通じる、もしくは同音であるため。
- 不法投棄 (悪質投棄)
- 鉄(鐡)「金を失う」という意味に通じることから。鉄道会社や製鉄会社では社名に旧字体の「鐡」を用いることがある(「鐡」は「金の王なる哉(かな)」とも読めることもある)。また旁を「失」ではなく「矢」に変えた字(「wikt:鉃」)にすることもある。→鉄#イメージを参照
- 豆腐(豆富)腐るという言葉を避けたことから。
- 梨(有りの実) 梨が「無し」に通じることから。
- はしご(お登り、登り棒、踏み台) はしごの「し」が「死」に通じることから(一説によると、「しご」がそのまま「死後」に通じるからとも)。
- ワルツ(舞) ワルツの「ワル」が「割る」または「悪い」に通じることから。とくに、結婚式などでは「悪い」や「割れる、別れる」など、離婚を連想させないようにするために「舞」などと言い換えられる。
脚注 [編集]
- ^ “プレステ禁止令の実情を探る!”. livedoorニュース Anigema (トレビアンニュース). (2007年8月6日) 2010年6月22日閲覧。