夢小説

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

夢小説』(ゆめしょうせつ、Traumnovelle)は、1926年に発表されたアルトゥル・シュニッツラーの中編小説。医師フリドリンがウィーンの町で体験する、夢と現実とのあわいのような一晩の出来事を描く。1999年スタンリー・キューブリックの映画『アイズ・ワイド・シャット』の原作となった。

あらすじ[編集]

子供を寝かしつけ妻と語り合っていた医師フリドリンは、急患の知らせを受けて患者の家に駆けつけるが、患者はすでに事切れている。患者の娘から愛の告白を受けた後、フリドリンは家に帰る気がなくなり夜の町をさまよう。そうしてふと入ったカフェで、旧知の間柄で音楽家くずれのナハティガルに出会い、彼から秘密の仮面舞踏会の話を聞く。

興味を引かれたフリドリンは、その夜の舞踏会に忍び込むことを決める。首尾よく入り込んだかに見えたフリドリンだったが、しかし仮面をつけた女性の一人からすぐに立ち去るようにと警告を受ける。やがて仮面以外は一糸まとわぬ姿の女性たちがピアノの演奏をともなって現れ、フリドリンが目を奪われていると、不審に思った男の一人がフリドリンを詰問し、彼が招かれざる客であったことが判明してしまう。しかし先の女性が身を挺してフリドリンをかばい、彼はただ夜の街に連れ帰されるだけで済む。

家に戻ったフリドリンは、朝目覚めた妻からついさっき見たという夢の話を聞く。一件脈絡のないその夢からフリドリンは妻の内心の不貞を感じ取り、妻への復讐として昨晩自分の身に起った出来事をなんとか解明しようと考える。しかしその日のうちに探索を始めると、ナハティガルはすでに連れ去られていることがわかり、さらに記憶を頼りに昨晩の屋敷を訪れると、そこで彼に対する警告の手紙を受け取ることになる。

思いに耽りながらカフェに入ったフリドリンは、新聞でとある男爵夫人が服毒自殺したという記事を読み、彼女こそが昨夜自分を助けてくれた女性ではないかと考える。その夜フリドリンは病院の死体置き場を訪れてその男爵夫人の死体と対面し、やはりこの夫人があの女性だったのだという強い思いを抱く。家に帰ったフリドリンは妻の前で泣き崩れ、その間に起ったことをすべて話す。二人は許しあい、これからのことに思いを馳せているうちに夜が明ける。

主な日本語訳[編集]

  • 夢小説・闇への逃走 他一篇(池内紀訳、岩波文庫、1990年)
  • 夢奇譚(池田香代子訳、文春文庫、1999年)
  • 夢がたり―シュニッツラー作品集(尾崎宏次訳、ハヤカワ文庫、1999年)

外部リンク[編集]