侵襲

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侵襲(しんしゅう、invasion)とは生体内の恒常性を乱す事象全般を指す医学用語である。

意義[編集]

医学用語であるため、一般の感覚と異なる[1]。侵襲とは、「病気」「怪我」だけでなく「手術」「医療処置」のような、「生体を傷つけること」すべてを指す。なぜなら、病態であれその治療であれ、侵襲に対する生体の反応は同じであり、それを知らずして(侵襲を以て)人を治療することはできないからである。 英語では、形容詞形のinvasiveとして使われるケースが多い。その対義語の non-invasiveは「非侵襲」という。

医療行為としての侵襲[編集]

医療行為としての侵襲は、外科手術などによって人体を切開したり、人体の一部を切除する行為や薬剤の投与によって生体内になんらかの変化をもたらす行為などを指す。

このような行為は医師法により医師でなければ行ってはならない。一般に行われている医療行為は人体に対する侵襲である。医業かどうかの境目はこの侵襲する行為があるかどうかによって判断が分かれる。人体を侵襲する目的で作られた器具や機械は医療機器として扱われる。

侵襲に対する生体の反応[編集]

細胞死
生体が侵襲を受ければ、「予期しない細胞死」(ネクローシス)が起きる。ネクローシスした細胞は、死に際に警告物質を周囲に残す。
免疫・炎症反応
警告物質によって白血球が誘引される。これらはさらに強力な警告物質(サイトカイン)を出す。それによってさらなる免疫反応が誘発され、それらは周囲の組織を汚染されたとみなし、組織ごと破壊する。
線維化
免疫系による組織破壊に対し、臓器の崩壊を防ぐために線維芽細胞がその線維により穴埋めをする。しかし、その線維が生き残った細胞を圧迫したり、臓器全体を硬化させ、その正常な機能を損なう。
皮膚であれば、傷跡(ケロイド)が残る。心臓であれば、急性であれば心破裂を起こし、慢性であれば心筋症となる。肝臓であれば、急性であれば劇症肝炎、慢性であれば肝硬変となる。であれば、急性に起これば急性肺傷害、慢性に起これば間質性肺炎となる。

脚注[編集]

  1. ^ 法律・行政用語において、(事件事故)⊆事案、(事案・現象)⊆事象となるのと同様である。